24話:敵補給部隊強襲
帝国側から来る馬車の台数は12台にもなった。
服装から御者は平民、その周りを2つの部隊が護衛していた。
特徴的な羽飾りとマントをつけた騎士が2名。部隊の隊長格…つまりは将校だろう。
「荷は食料と…弾薬類でしょうね」
「王国側と変わりはないわね…奥の将校から狙いましょう」
ルーナは双眼鏡と手持ちの小さな風車を取り出して風向きなどを調べる。
「2時方向、距離1000、風速3、風向3時方向」
「了解」
私は完全に寝そべり銃を構える。
スコープを覗けば目標の騎士を確認できた。
息を止めてトリガーに指をかける。
パスッ!
頭部に命中して馬に乗っている騎士がぐらりとバランスを崩して落馬する。
カチャリと音を立てて排莢し、次弾を装填する。
「ルーナ、次」
「1時方向、距離800、その他同じ」
敵兵たちが騒ぎ出す中もう一人の将校に狙いをつける。
くそ!落馬した騎士の様子を見るために横移動してる。
私はお母様から言われた偏差射撃を思い出す。
未来に来る位置を予測して撃つやり方。
パスッ!!
再装填。
「見事当たりましたね」
「薬莢を回収して移動しましょう」
お母様からも排莢した薬莢は必ず回収するように言われている。
敵には絶対わたってほしくないモノの一つだから。
まだ熱いはずの薬莢をルーナは手袋一つで袋にいれる。
「回収しました。行きましょう」
「えぇ!」
敵輸送隊は混乱状態だった。
急に指揮官が二人も倒れたわけだから、誰が指揮をするのか、何があったのかと声が聞こえる。
「こちらに気が付く様子はないわね」
「そのようですねミリア様」
ギリースーツをしっかりと着込んだ私たちは腰を低くしてその場を離れた。
*****
帝国軍陣地が見えるあたりにて、ルーナは双眼鏡で、私はスコープで物資置き場と思われる場所を見ている。
「何言ってるかわかる?」
「補給部隊が遅いということに対して、伝令と思われる兵が隊長が倒れたと報告しているようです」
「…なんでわかるのよ」
「口の動きを読むのですよミリア様」
なるほど、読唇術か。
私は出来ないもんな流石に。
「少なくとも一時的な後方かく乱は出来たかと」
「一度本陣に戻りましょう」
私の提案にルーナが頷く。
往路は地形の確認なども含めたため時間がかかったが、帰りは余計なことをせず移動しているので敵本陣まではかなり迅速に戻ってこれた。
後は王国軍まで戻って、今回の斥候の結果を報告ね。
*****
「というわけで、敵補給部隊を守っていた隊長2名を討ち取りました」
「やはり敵もこちらと同じ程度の補給は行っているか」
ベアロン伯爵に今回の斥候の報告を行った。
戦線の膠着状態を考えても妥当だろうし、常にこの補給が続くのであれば戦争はいつまでもにらみ合いになる。
「タリム嬢、君には引き続き後方の物資輸送の妨害をして頂きたい。そして、可能であれば敵本陣への攻撃もしてほしい」
わーお…敵本陣を直接ですか?
横にある林から狙える範囲には限りがあるんだけどなぁ
「物資輸送の妨害については積極的に従事します。ですが敵本陣については…」
「わかっている。無駄に攻撃をしろというつもりはない。“可能であれば”だ。見つかるなよ、君の仕事は見つからないことが最優先だ」
「わかりました」
一礼して報告を終え宿舎に戻る。
今後は敵補給線を叩くとなると、敵将校だけでなく、輸送そのものをとん挫させるようなこともしないといけないだろうから…何か考えないといけないわね。




