20話:装備を整理しましょう
ある程度落ち着いた私は、明日から早速斥候に出るための準備をすることにした。
尚、朝ごはんは黒パンにハムとチーズが挟まっているサンドイッチでした。
この海を渡った先にあるエクスワーク王国から伝わった軽食は瞬く間にアルミナ王国に広まった。
誰でも気軽に作れるうえに、シルバーを使わないで済むというところからお茶会などでも出される軽食になっている。
タリム家発祥のお菓子の一つクレープと最近はタメを張る品です。
クレープも甘くもしょっぱくも出来ますが、今サンドイッチも同じですからね。
「せめて野菜が欲しいわね」
「新鮮な野菜は中々用意できないそうですよ。従軍料理人がぼやいていました」
「野菜は全部スープの中って訳ね」
夜にはこれ以外に肉と野菜のスープが兵士には配られるそうで、それはそれなりに美味しいらしい。
戦争が始まった当初は乾パンだとか干し肉だとかが配給されていたそうだけれど、貴族夫人会…べリリム侯爵夫人を含めた貴族夫人の団体から
「国を守る兵士たちがおいしくないご飯を食べていては士気がさがる!」
との声が上がり、さらには各家からもお金が提供されて兵士のご飯はある程度まともになったらしい。
それでもこのレベルなんだから当初はどんなご飯を食べていたんだか…
「ルーナ、食べ終えたら明日からの準備をしたいのだけれど」
「わかりました。荷物の整理をしましょう。持ってきたものを全部持っていくと嵩張りますし、今一度装備を確認するのが良いと思います」
そうよね、お母様からもらった背負いカバンはかなり大きい。
着替えもそうだしタオル類なんかの日用品もつまっている。
全部もっていくと歩くだけで大変なんだもの。
「まず、何日ぐらいかけて斥候をするかで荷物が変わります」
それはそうだよね。
「報告をすることを考えれば毎日戻ってくるべきと思うのだけど」
報連相は大事。お母様からも言われているし。
しかしルーナはそれを否定する。
「戦線が動かないならそうですが、夜間に敵が動くことも考えなくてはいけませんよ」
「なるほど…」
「それに前線だけが戦場ではありません。物資がどの程度補給されているのか、兵の交代などの動きを見ることを考えれば、前線よりも敵陣側へ進むことが必要です。私たちは徒歩移動ですから往復3日ぐらいは持っていくのが最善かと思います」
はっきり言って戦場のことなんて学校でちょっと習った程度でわからないことだらけなのです。
ここはルーナの言うことを信じて準備をしましょう。
「じゃあ着替えと水筒と、3日分の食料と…」
「斥候として偵察するうえで火は使えません。もらってきた食料は1日一食にすれば7日程度ですから追加をお願いしたほうが良いかと思います」
むむむ、1日一食しか食べられないのか…今夜はたくさん食べとこう。
「最悪現地でベリーなどを食べることを考えましょう」
「かなりなサバイバルね」
「ミリア様はそういうのお好きでしょう?」
「まぁね」
そこに関しては実は楽しみだったりする。
机に向かうより野原を駆け回るほうが好きだったんだもの仕方がない。
人を撃つのはまだ抵抗感が強いけれど、こればっかりは王国の為だから頑張ろう。