18話:斥候狙撃兵ミリア・タリム誕生
「タリム子爵令嬢の射撃は見事としか言いようがない」
ベアロン伯爵が褒め称えてくれるよこでロベルト子爵は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
あの狙撃を見ればうちの部下の方が上手いとはとても言えなかったのだと思う。
銃を貸せとすら言われなかった。
言われたら最悪試し撃ちしてみればいいと言うつもりでいたのだが。
「これで彼女の実力は問題ないことが分かっただろう?ロベルト子爵」
「…彼女と同じことをできるものなど私の部下にはいますまい…仮に銃の性能が飛び抜けて良いのだとしても付人の指示で1発で必中できるのは実力と言わざるをえん」
誠に遺憾であるって顔に書いてあるけれどねロベルト子爵。
あんまりぐずぐずいうと後ろから撃たれる可能性も考慮してこの辺が幕引きだよね?
「では当初の予定通り、ミリア・タリムとメイドには偵察任務とともに、敵将校を射殺し我が軍の支援をしてもらう」
「承りました」
私が辞令を受け取ると天幕に伝令兵がはしりこんできた。
「帝国軍で動きがありました!敵方は現在位置から発砲を繰り返しています!」
「将校が急に撃たれたから反撃のつもりだろう…負傷者はいるか?」
「おりません。発砲音だけが聞こえている状態です」
まぁ普通そうだよね。
反撃しようと思うよね。
ましてやこっちには三人もの司令がいたの見えてただろうし。
「奴らの弾が届かないなら、このまま待機だ。下手に動いても蜂の巣になるだけだぞ」
「はっ」
「ふん、帝国の奴らも恐慌状態なんだろう。音もなく突然撃たれたとあっては当然の反応だ」
ロベルト子爵が意外と冷静に戦況を分析していた。
彼は副司令官だそうなので、伊達に司令官はしていないってことね。
「今後はタリム嬢が活躍すればするほど帝国軍は恐慌状態となるだろう。其方の活躍に期待しているぞ」
「はい」
斥候として敵を偵察し、タイミングを見計らって敵将校を狙撃する。
これが私の仕事と正式に決定した。
お母様の言った通りになったわね。
退室を許可されたので、天幕を出るとルーナが1人待っていてくれた。
遠くの方からは発砲音がまだ聞こえている。
「ミリア様、大丈夫ですか?」
「大丈夫…と言いたいところだけどちょっと足が笑ってるし手が震える」
「初めて人を殺めたのですから仕方のないことです…私も初めはそうでした」
…は?
ルーナ、まって初めはって貴女…人を殺したことがあるの!?
「詳しい話はお部屋に戻ったらお話しします」
そう言われてはこの場で問い詰めても仕方がないので宿舎にもどることになった。
これ、実際に斥候に出られるのは明日かな…
なんか今日はもう無理な気がする。
色々疲れちゃったよルーナ…




