13話:コーラシル砦と父との再会
ドナドナされること半日。
コーラシル砦に到着した。
そういえばなんだろうドナドナって…お母様は鶏が馬車に積まれて王都に行くとき「ドナドナね…」って言っていて、荷馬車に積まれていくことをドナドナなんだなぁと思ってるんだけど。
それはともかく、砦に着くとお父様たちに出迎えられた。
「ミリア!よくきたね。…しかしミリアが戦場に行くことを選ぶとはな」
「タリム子爵家として立派に努めてきます」
「うむ…だが死ぬんじゃないぞ。こんな戦いで命を落とすなんて馬鹿げているからな」
なんだかお父様の目がうるんでいる。
やっぱりお父様は私が戦場に行くのは反対みたいね…王命だから仕方がないということかしら。
「それにしてもミリアの迷彩服はなんだか可愛らしいデザインだな」
「お母様からもらったのですが、お父様たち騎士の方たちの服と少し違いますね」
「ミリアが女の子だから専用のを用意したんだろう…しかし普通の軍服と違うから戸惑ったんじゃないか?」
そうなのだ、平然と砦の兵士たちはお母様が開発したという迷彩服を着ているけれど、王国軍や他の貴族兵団だったらみんなもっと派手な格好をしている。
アルミナ王国のカラーである青を基調としたジャケットを羽織っていて、ズボンや上着は白がおおい。
騎士たちはまた別で全身甲冑だとかベースの服の上にプレートをつけたりした格好が多い。
そして、指揮官はさらに兜や帽子に羽などをつけて派手にする。
だから、お母様から指揮官は戦場で見ればわかるって言われたんだよね。
「ふむ、ミシェルはミリアにKar98を渡したのか」
「これが唯一の完成品だと聞きました」
「まぁそこまで長射程なのはそれだけだろうな…全部ミシェルが試し撃ちした結果がそれだからな」
薄々気がついていたけれどお母様が試射したのか。
というかお母様一人で1000mの狙撃を成功させたのですね…怖いです。
「今日は一泊していくのだろう?なるべく食料は追加で持っていくことを勧めるよ。
なにせ互いに1万以上の兵士がにらみ合っているからね…食料配給が厳しいそうだ。
士気にかかわるからとガリム領からも支援として食料を輸送しているが…十分かと言われるとまだ難しいそうだ」
「そうなのですね、お母様から数十分のパンと鶏のハムにピクルスを渡されたのはそういうことですか」
「あぁ、ピクルスの汁も無駄にするなよ?水筒の水に入れたりして活用しなさい」
なかなか厳しそうだな…前線って。
それでも私は貴族だからある程度優先して食料なんかをもらえるとは思うけれど…
「ところでお父様?射撃の腕はどうなりましたの?お母様が心配されていましたわ」
私の問にニッコリと微笑むお父様の圧がすごい。
「レイノルド様は今なら100m先の的にあてられますよ」
「まぁすごい!」
お父様普通のマスケット銃だと10mすら外してましたからすごい進歩です!
「まぁこの砦のものならマスケットでも100mの射撃は当てられます。それに配備された銃や大砲なら1000人攻めてきたって、砦に取り付かれることは無いと思いますね」
「そうなのですね…ということは弾はかなりあるのかしら?」
「えぇ5000発ほど保管されています。ミリアさまが必要であれば木箱一つお渡しできますよ」
今もらっても絶対困る。
その木箱どうやって運ぶのよ現地で…
「とりあえず今ルーナと二人で210発ももってますから大丈夫だと思います」
そんなにいっぱい撃つ機会もないと思ってるし今でも十分な量なんじゃないかな?
「そうか、何かあれば砦まで連絡をよこしなさい。すぐに補給を送る」
お父様がそう言ってくれたのでちょっと安心した。
弾だけじゃないからね不足するものって多分…




