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まにしによる妄想と、現実の想い人
ある中学校の玄関。
完全下校時刻が近づく中、一人の少女が雨宿りをしていた。
───妄想
「あ、まにし。」
「誰か待ってるの?……え、傘忘れたから帰れない!?しかも、財布忘れたから公衆電話かけれない!?」
「弱ったな……あ、じゃあさ……いやでも……ブツブツ………え?あ、えと………」
「も、もし嫌じゃなかったら、その……俺の傘、入る?」
「あっほんと、嫌じゃなかったらだけどその……ゴニョゴニョ」
「……えっ、俺は全然いいよ?てかむしろ……ううん、何でもない」
「じ、じゃあ、うん……行こっか。照」
───現実。
「あれ、まにし。」
「誰か待ってるの?……え、傘忘れたの!?」
「しかも財布忘れたって……まじか。公衆電話もかけれないじゃん」
「困ったな………あっ、じゃあ俺の傘貸してあげる」
「え、俺?あぁ、折りたたみ持ってるから平気。明日返してくれればいいから」
「……いいって。まにしが風邪ひいたら嫌だし」
「じゃあ、また明日。」
折りたたみ傘を開き、去っていくゆうり。
まにしはポカンと突っ立っていたが、渡された傘をそっと、きゅっと握りしめた。
「……そういうとこが、好き。」