表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ



街の中心から少し離れた所にある館。


長い間手入れされておらず、植物の蔦が絡み付いている。窓は割れ、カラスが集団で屋根に止まっている。


その館は、近所の住人にその容姿から「幽霊屋敷」や「魔女の館」と不気味がられ、誰も近づかなくなった。


そんな寂しい場所に、数年ぶりに足を踏み入れる二人の人間がいた。


一人は、長い髪と高い身長が目を引く、黒のスーツを着た男。


もう一人は、同行者との身長差が30cmがありそうな小柄な少女。


二人とも深刻そうな表情を浮かべている。


来訪者が歩くたびに、弱くなった廊下が軋む。


「・・・此処は、いつ来てもいい気がしないな。全く、彼は何を考えているんだ?」


自分のスーツにかかった蜘蛛の巣を払いながら、男の方が眉をひそめる。


「“ゼイキン対策”じゃない?」


それに少女が答える。


「・・・・・・それは、意味を分かってて言ってるのか?」


「・・・・・・・・。」


少女はその意味を分かっていなかったらしく、押し黙ってしまう。


その場には、暫らく沈黙が訪れた。


「・・・・・・この世には、絶対に犯してはならない三つの禁忌がある。一つ目は、魂、肉体、足跡をそれ以外の目的なしに故意に傷つける行為。二つ目は、直接手を下さなくてもそうなるように仕向ける行為。そして、三つ目は―・・・・。」


男が突然、しかし前から切り出そうとしていた話題を慎重に持ち出す。


「それは聞き飽きたわ。そんなに言わなくても、分かってるわよ。」


男がそう言うと予測していたらしい、少女はバサリと切り捨てる。


「しかし、ノア、君は現に―・・・・・・。」


「いいの。分かっててやってるもの。」


ノアと呼ばれた少女の意思は固いようだ。


「あいつは、危険だ。君が今やっていることが終わればどうなるか分かってるのか?」


「・・・・・・分かってる。」


「では何故―・・・・?」


「大丈夫。大丈夫よ。心配しないで。」


彼に言うというより自分に言い聞かせているような口調だ。


「絶対、うまくいくんだから―・・・・・。」


言いながらノアは引き出しの鍵を開け、中の瓶を取り出し、そのまま男を残してその場を立ち去った。



―――――――――――――――――――――――


分かってるわよ。無謀だってこと。


でも、こうするしかないの。


こうしなきゃ、あの人は取り戻せない。


私には、もう居場所がないのよ。




還る場所 が 見付からないの



to be continued...


初投稿します。


よかったらお付き合いください。感想待ってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ