クロネコのユメ

◇私はユメ◇

夢の仕事

ユリとソウと一緒にいられるのもあまり長くないだろうと思う。

なるべくみんなと一緒に居たい。

早くから目が覚めた。

まだご飯を食べていないかな？

「おはようにゃ！」

「ユメちゃん早いわねー！」

「ユメおはよう」

今食べている最中だった。

少しだけ遅かったみたいだ。

「ユメちゃんも朝ご飯食べる？」

「食べるにゃ！出せるもので良いにゃ」

「ご飯、塩鮭、味噌汁、目玉焼き、納豆で大丈夫？」

「それ食べるにゃ」

ユリはすぐにご飯を作ってくれた。

ご飯を出したユリから聞かれた。

「まだ早いけど、どこかでかけるの？」

「お店手伝うにゃ！」

「それは、ありがとう。無理しないでね」

ユリはすぐに食べ終わり、私を見ていた。するとソウが、「俺が居るから良いよ」と言った。ユリは「外を掃いてくるわ」と言って、階段を降りていった。

外を掃いて来るだけにしては遅いなと思ったら、又、客が並んでいたらしい。しかも、お土産ではなく、今からランチに並んでいるのだとか。

みんなそんなにもユリの料理が食べたいのか。

ユリは本当に凄いんだなと思った。

食べ終わった食器はソウがまとめて洗ってくれると言うので頼んだ。

ユリが又いないので厨房にいくと、もう何か作っているみたいだった。

「うん、上出来！」

「ユリもう仕事するにゃ？」

「ユメちゃん、まだ準備よ」

でも何か作っているように見えたけど・・・？

「なにやってるにゃ」

「はい、これ、クリームのバラよ」

逆さまにしたプリンカップに、白いクリームの花が乗っていた。

「凄いにゃ！ 食べられるにゃ？」

「あー、これは練習用だから、害はないけど、美味しくもないわ」

「練習にゃ？」

「リラちゃんに覚えてもらおうと思ってね」

凄い！私も教えてもらいたい！

「一緒に覚えるにゃ！」

「そう？ じゃあ、見ててね」

ユリはものすごく簡単そうに花を作った。

真似してやってみたが、全く花にならない。

「難しすぎるにゃ！」

「私も、バラに見えるようになるまで かなりかかったわ」

ユリも難しかったなら、いっぱい頑張らないとできないな。

「がんばるにゃ！」

「疲れない程度にほどほどにね」

「がんばるにゃ」

集中して頑張っている間に、ユリは今日の準備をはじめていた。

ふと視線を感じて振り替えると、リラが来ていてこちらを見て驚いているようだった。

ユリと話していたと思ったら、リラは袋にグラタンを詰めだした。又外に並んでいる人がいて売ってくるのだと思う。

なんか凄い数だ。あれを一度に持っていくつもりなんだろうか？

少し手伝おう。

「リラ、少し持つにゃ」

「ユメちゃん、ありがとう！」

二人で外に持っていった。

リラは聞くことなくミニミニグラタンを売っていった。頼んだ人を全員覚えているらしい。凄い記憶力だ。

冬箱を手に持っている人が何人かいて、その人たちには中身だけ売り、袋は持って帰った。

たまに、黒猫クッキーを頼まれると思ったら、帰りがけに沢山声をかけられた。

袋を持っていたので待っていてくれたらしい。

戻ると、リラは何かを細く切っていた。

キャベツかな？ 今日はフライなのかな？

ユリが挽き肉をこねていたので、手伝いを申し出ると、ハンバーグなので、量ってまとめてくださいと頼まれた。

量ったものをユリがハンバーグの形にまとめていた。

野菜を切り終わったリラが、「レタス終わりました」と言って、手伝いに来た。

あれはレタスだったのか。

ユリに任されたので、2人で頑張った。

形ができたハンバーグを冷蔵庫にいれた。

ユリを見るとグラタンを作っているらしいので、グラタン皿を並べた。すでに茹でて用意してあるマカロニとブロッコリーを分けていれた。

少し余ったけど、そのままで良いと言われ、ユリが作ったホワイトソースをいれると少しあまり、更にグラタン皿を持ってきて2つ増やした。残っていたマカロニとブロッコリーもちょうどなくなった。

リラと2人でグラタンにチーズを乗せた。

ユリが時間が余ったと言っていた。

リラはクリームのバラの練習をするらしい。

私は少しだけ休憩した。

少しするとリラが、言い出した。

「あ！ランチ前に、ミニミニグラタン売った方が良いですよね？」

「それもそうね」

「見てくるにゃー」

リラと一緒に外を見に行った。

手前の方の人はさっき売ったので、ミニミニグラタンが欲しい人は店から少し離れている。

注文を聞いていると、黒猫クッキーを頼まれた。

リラに先に戻って貰った。

リラはユリと一緒に袋入りミニミニグラタンを、持ってきていた。

やっと売り終わって3人で店に戻った。

ユリは、外のイーゼルにおすすめメニューの看板をのせていた。

あー、今日は、グラタンと、ハンバーグなのか。

あの細く切ったレタスは何に使うのかな？

お店のランチが始まった。

いつものように、トレーやセットを用意した。

ユリに頼まれて、辛味調味料の使い方を説明しに行った。

ユリは、「これは辛味を足す調味料です。ものすごく辛いので、少しだけ足すと美味しいです。子供には辛すぎます。お好みでどうぞって言ってね」といっていたので頑張って説明した。

「辛味調味料にゃ。ものすごく辛いにゃ。少しだけ足すと美味しいらしいにゃ。でも辛過ぎるのにゃ。辛いの好きな人だけ足すのにゃ」

「出来ましたー！ お願いしまーす！」

ユリに呼ばれたので、料理を取りに行った。

グラタンだけ先にだした。

ハンバーグは、レタスとチーズとトマトの入ったソースをかけてしあげていた。

ハンバーグに、レタスを使うんだったのか！

「すみませーん！」

「はーい」

客が呼んでいたけど、ユリが見に行った。

なんと、グラタンを辛くしたい人がいるらしい。

料理を出すと少し暇になるので、外の様子を見に行った。

又列が延びていた。

リラとミニミニグラタンを売った。

食べ終わった人が帰り、新しいお客が入ってきたので、又、辛味調味料の説明をした。

食べ終わってからミニミニグラタンを頼む人がいたので、袋に入れて売った。結構忙しい。

後ろにいるリラが注文を聞いていると、グラタンとハンバーグを両方頼む人たちが又来たらしい。

最後の方で、ユリから「あと3つでグラタン完売ですー！」と声がかかった。

「あ、足りなければどっちでも良いよ」と言ってくれる客がいたので、もめずにすんだ。

黒猫クッキーを進呈しておいた。

すごく喜んでいた。

帰るときには、「ハンバーグにしてよかったよ！」と笑顔で帰っていった。

久しぶりに働いて疲れた。