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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の苺飴

私とキボウが厨房へ行くと、ユリは誰かと話していた。


「キボウ、あれは誰にゃ?」

「レギュムー。イリスおやー」

「イリスの親なのにゃ?」

「あたりー」


キボウは私の質問に答えた後、空の籠を持ってウロウロしていた。そして、ユリの話が終わらないと考えたのか、リラのそばに行って、何か訴えていた。


「キボー、てつだうー。イチゴパイー、ないー」

「私が用意しましょうか?」

「たのむー」


リラがキボウの持つ籠に、イチゴパルミエを詰め込んでいた。天板から取っていたので、昨日最後に焼いた分だと思う。


キボウは、お店に行って待機するのか、さっさと行ってしまった。


少しすると、9時から開店させるとユリが宣言していた。

ユリは、キボウがリラからイチゴパルミエを受け取ったのを見ていなかったらしく、リラにキボウの行方を聞いていた。


「気付かなかったわ。リラちゃんありがとう」


私はどうしたら良いかな? お店は行きたくないな。分からなくなったことが多すぎる。


「ユリ、私は何をしたら良いにゃ?」

「ユメちゃん、何か希望有る?」


お店は、みんなに迷惑をかけてしまうかもしれない。


「作るのが良いにゃ」


作る方なら、分からないときにすぐに回りに聞ける!


「イチゴパルミエを作る?」

「作るにゃ!」


リラが教えてくれるというので、お願いした。


「ユメちゃん、このパイ生地を使ってください。このまま伸さずに使えます」


リラは、四角く切った大きなパイ生地を、麺棒に巻き付けて持ってきた。


「他に何が必要にゃ?」

「グラニュー糖、イチゴの粉、刷毛と水です」

「用意するにゃ」


私がグラニュー糖とイチゴの粉を持ってくると、リラが刷毛と水を用意してくれた。


「まずは、この定規を上下に置いて、同じ色を合わせます。中心を決め、線の場所に、長いナイフの背を使って折り目の目印を付けます」

「何のためにゃ?」

「遊びで作る少量なら、適当でも良いですが、お店で出すなら大きさや形を揃えなければならないと言うことで、ユリ様がこの定規を作ってくださいました」

「凄いにゃ! 分かりやすいにゃ」


何本かの線を付けた。


「手早く刷毛で水を薄く塗って、グラニュー糖を均一にまぶします」


リラが手本を見せてくれたので、引き継いで私が塗って、グラニュー糖も振りかけてみた。


「イチゴの粉を振りかけます」


グラニュー糖は手で振りかけたけど、イチゴの粉は茶漉しで振るってかけた。


「出来たら、両端から線の通りに折っていきます。最初だけ、定規を下に差し込んで持ち上げると、やり易いですよ」

「本当にゃ!」


長細い棒状になった。


「これは一旦冷蔵します。本当は、イチゴを連続で作った方が良いのですが、葉っぱを教えますね」


リラは、さっきよりも薄そうな生地を持ってきた。


「こちらも、刷毛で薄く水を塗って、グラニュー糖をまぶして、抹茶を振りかけます」


同じ作業だと思って油断した。抹茶はイチゴの粉より細かいらしくて、どさっと同じところにたくさん落ちてしまった。


「にゃー」

「大丈夫ですよ。星型で抜きます。なるべく余りがでないように上手に抜いてください。この星型の中心に、厚みの有るストローで、少し強めの跡を付けておきます」


説明の通りに作っていった。


「星形も、出来たら1度冷蔵してください」


出来上がった星形を傾けたら、余分な抹茶が全部落ちた!

全ての場所を星型で抜き終わると、リラは最初の生地を持ってきた。入れ替わりに、私は星形を冷蔵した。


「この生地を5mmくらいにカットしていきます」


潰れたハート型のようなものがたくさん出来上がった。


「これを焼くと、ハート型になるのにゃ?」

「はーと? あ、はい、王国(ハート)型になります。王国(ハート)型の上の部分に、星形の裏に卵を少し塗って、尖りを下に向けて貼り付けます」

「なんで裏に卵を塗るのにゃ?」

「卵を塗らないと、くっつかないのです」


せっかくイチゴ型なのに、葉っぱが落ちてしまっては、イチゴではなく、ただのハートになってしまう。


「リラ、ありがとにゃ! 分かりやすかったにゃ」

「分からない時は、何でも聞いてくださいね」

「わかったにゃ」


教わった通りに、私はイチゴパルミエを作っていった。

天板1枚分が出来上がったので、リラに焼いて貰おうと思い、声をかけた。


「リラ、天板1枚分出来たにゃ」

「2枚ずつ焼くので、取り敢えず冷蔵庫にしまいますね」


イチゴを連続で作ると言われた意味が良くわかった。しかも、焼く前に1度冷蔵する必要があるらしい。


私が頑張って作っていると、メリッサがパルミエの注文を頼みに来た。


「ユリ様、キボウ君の配っているイチゴパルミエを買いたいそうです」

「いくつ欲しいの?」

「15枚だそうです」


これから売れるのかな?


「ユメちゃん、この後追加来ても大丈夫?」

「大丈夫にゃ!」


しっかり教わったから、焼くの以外出来ると思う。


「イチゴパルミエ、1枚300(スター)です」

「はい。伝えてきます」


リラが急いで焼いてくれるみたいだった。


「ユリ様、外の張り紙の、1月休みについて、エルム様がおみえです」


今度はイリスだった。すると、ソウが説明しに行くと、ユリに声をかけていた。確か、お店の広報誌を作っている人だったはず。


「ユリ、私も少しだけ話してきて良いにゃ?」

「構わないわよ。無理しないでね」


ソウについて行き、挨拶をしようと思った。


「ホシミ様、ご無沙汰しております」

「挨拶は良いよ、用件は、休みについてだよね」

「はい。どこかにお出掛けされるのでしょうか?」

「いや、色々事情があって、世界樹様に挨拶に行くんだよ」

「え、それで、お帰りが2月なのですか!?」

「恐らくね。帰れるなら1月中に帰ってくるけど、たぶん2月だと思うからさ」

「かしこまりました。では、2月2日からでございますね」

「それでよろしく。あ、正月の祝いの返礼は、リラが配ってくれるそうだから、人が来ても大丈夫らしいよ」

「それは、(わたくし)も何かお手伝いをいたしましょうか? 貴族の聞き分けの良くない者もおりますし」

「ユリからチラッと聞いただけだから、正確なことは分からないけど、ラベンダーがリラの手伝いに来るらしいよ」

「ルビーレッド伯爵婦人のラベンダー様でございますか?」

「そのラベンダー」

(わたくし)の出番はなさそうでございますね」

「ま、そんな感じだから、よろしくな」

「かしこまりました」


ソウの話が終わったみたい。


「エルムにゃ?」

「ユメ様、こんにちは」

「ごめんなのにゃ。今の私は、相手がほとんど分からないのにゃ」


お別れ会に来てくれた記憶が、ギリギリ残っている。


「はい、(わたくし)は、お店の公式広報誌を発行させていただいております、エルムと申します。パープル領の領主補佐という役職でございます」

「私の日記にも書いてあったにゃ。お別れ会に来てくれてありがとうにゃ」


私が答えると、エルムは、自分の事を日記に書いてある事に驚いていた。


「どこまで聞いているか分からないけどにゃ。私は、戻らないにゃ。来年からのお店をよろしくなのにゃ。ユリとソウとキボウとリラの事もよろしくなのにゃ」

「かしこまりました。お役に立てるように、尽力いたします」

「頼んだにゃ」


その場をあとにし、ソウと一緒に戻ってきた。


「ユメ、無理するなよ?」

「大丈夫にゃ。ソウ、いつもありがとにゃ」


私はパルミエ作りに戻った。


何度も、リラに機械でパイを伸して貰い、パルミエをたくさん作った。


葉っぱに使った抹茶の粉をかけてしまったパイ生地が、トレーにのりきらなくなってきた。だけどリラが見当たらない。


「ユリ、イチゴパルミエの、葉っぱの緑色のパイ生地の残りはどうしたら良いにゃ?」

「クロロッカンに使うから大丈夫よ」


ユリは使い道を説明してくれた。

そうじゃなくて、今片付けたいんだけど、どうしよう。


「ユメちゃん、こちらのトレーにのせて下さい」


リラが、空のトレーと変えてくれた。


「リラ、ありがとにゃ」


この後も作り続け、ユリの書いた予定数よりもたくさん作ったので、もう足りるらしい。


することがなくなり、次はどうしようかなと考えているときだった。


「ハナノ様、冷蔵グラタンが残り5つになりました」


軽食用のグラタンが、足りなくなるらしい。


マーレイは玉葱を切り、リラはマカロニを茹で、シィスルはハムを切ってコーンの缶詰を開け、リナーリはブロッコリーを茹でるらしい。そして何と、ソウは黙ってグラタン皿を用意していた。


ユリは牛乳を鍋に入れ、何かを用意しに行ってしまった。私は何をすれば良いかが分からない。


「私も一緒に手伝いたいにゃ」


私の声が聞こえたのか、ユリがこちらを向いた。


「ユメちゃん、仕上げのチーズをのせてもらえる?」

「わかったにゃ!」


ユリから担当を振り分けられた!


冷蔵庫にチーズを取りに行くと、リラが「これです」と教えてくれたので、その袋を持ってきて、ユリが作るのを待っていた。


ユリがグラタン皿に白いソースを流し入れて、何か呪文を唱えていた。


「ユメちゃん、お願いします」

「わかったにゃ!」


全てのグラタンに、丁寧にチーズをのせた。

出来たばかりで熱いのかと思ったら、触っても全く熱くなかった。


「ユリ様が、冷却魔法を唱えたんですかね?」

「なんで冷やすのにゃ?」

「チーズの劣化を防ぐためとかなんとか以前おっしゃってました」

「リラ、ありがとにゃ」


私が触って不思議そうにしていたら、リラが教えてくれた。一緒に冷蔵庫にしまった。


少し疲れたので、厨房の端で椅子に座って休んでいた。


地味なワンピースを着たマリーゴールドがやって来て、ユリと話していた。私はぼんやりとそれを眺めていた。


次はキボウが戻ってきた。

お腹空いたのかな? ユリにご飯を聞いていた。


「キボウ、どこまで配ったのにゃ?」

「ぜんぶー」

「並んでいる全員配り終わったのにゃ?」

「あたりー」

「キボウは偉いのにゃ」

「キボー、えらーい、キボー、えらーい」


人が少ないなと思ったら、みんな休憩に行っていたらしい。そういえば、さっきご飯食べてたね。


ユリがご飯を作ってくれたので、1つの作業台に集まって、ご飯を食べ始めた。私、ソウ、ユリ、キボウ、リラ、マリーゴールド、イポミアで、一周だ。


「ユメちゃん、イチゴパルミエ、ありがとうございます。凄く評判が良いので、たくさん作ってくれて助かりました」

「教わった通りに作ったのにゃ」


イポミアが、最初にお店でお客に頼まれたらしい。


「ユメが作ったイチゴパルミエ、綺麗に出来てたな」


ソウも褒めてくれた。みんなの前で褒められて、ちょっと恥ずかしい。


「苺と言えばにゃ、ソウ、小説の中に出てきた、苺飴ってなんにゃ? イチゴ味の飴にゃ?」


不意に思い出したことをソウに聞き返してみた。


「どんな話で出てきたんだ?」


夏祭りにデートに行ったアベック(カップル)が、「林檎飴は食べきれないから、苺飴にしよう」という台詞だったはず。袋に入っている量が違うのかな?と不思議に思ったのだ。


「お祭りの話にゃ」

「あー、りんご飴とかの、いちご飴か。ユリなら作れるんじゃないか?」


ソウがユリに話を振っていた。


「え?何? いちご飴作るの? そんなに忙しくなさそうだし、苺も余ってるし、良いわよ」


ユリは作れるらしい。さすがだ。


「ユリ、ありがとにゃ!」

「ユリ様、お手伝いしますので、私も食べたいです!」

「キボーも、キボーも!」

「はいはい、みんなの分も作るわよ」


みんなの分まで作ることになったみたい。

ユリは「先に休むわ」と言って、食べ終わるとすぐに休憩しに行ってしまった。


「ソウ、林檎飴はどんなものにゃ?」

「生林檎に割り箸をぶっ刺して、回りに赤い色の飴を付けたものだな。大体食べきれないんだよあれ」


ソウが笑いながら話してくれた。挑戦したことがあるのかな?


「ホシミ様、何を用意すれば良いでしようか?」

「砂糖くらいじゃないか? 飴だし、苺はユリが持ってるだろうし」

「お砂糖ですね。ありがとうございます!」


ソウも休憩しに行ってしまい、厨房の端に行って、リラと話していた。


「楽しみですね!」

「どんなものか聞いただけで、作ることになったにゃ」

「ユメちゃんのお陰で、知らないものを知ることが出来ます!」


「私も作りたかったなぁ」


イポミアが戻ってきた。トイレにでも行ってきたのかな?


「ミア姉、休み時間のうちだったら作れたのにね」

「あー、リラは良いなぁ」

「ミア姉、作る方が良いの?」

「まあ、選ぶなら、そうかな。緊急の配膳のお手伝いだったから選択肢はなかったからね」


イポミアは、メリッサが急遽つれてきたらしい。


「あー、昔ね、ユリ様が、配膳の女性が足りなくてというお話をチラッとしたら、領主様のお屋敷のメイドたちが、こぞって応募したいって言い出して、屋敷が回らなくなるって、大騒ぎになったことがあったのよ。それで、ここの配膳は、お母さんの紹介ってことになったらしくてね」

「そうなのにゃ!?」「そうなの!?」

「そうらしいです。だから条件をクリアする配膳の女性さえ確保できれば、厨房の担当に鞍替えは出来るんじゃないかな?」

「条件って、あれよね? お金や品物の計算ができること、文字が書けること」

「そうそうそれ。ここに来た頃の、私が出来た事らしいよ」

「基準がリラだったの!?」


イポミアが、笑いだした。


「ユリ様が戻られたらすぐ作れるように、砂糖の準備でもしようか」

「グラニュー糖にゃ?」

「お菓子だからグラニュー糖だと思います」


どのくらい使うか分からないので、乾いたボールにグラニュー糖を1kg入れてリラが持ち、計量カップと秤を私が持ち、ユリを待っていた。


「いつから待ってるの?」


割りと早くユリが戻ってきた。


「ほんの少し前です! ホシミ様が、飴だから砂糖を使うとおっしゃってました!」


砂糖を用意したのは、確かにほんの少し前だね。


「そうね。後は、ホーローかステンレスの浅目の鍋、水、竹串、目の粗い網を2つをお願い」

「はい!」


私もユリが言った物の準備を手伝った。その間にユリが苺を用意してくれていた。


「苺の固い部分を残さないと竹串が抜けますので、(ヘタ)のギリギリまで残します。ここに竹串をまっすぐに差し込み、用意完了です」


まだ昼休み中なので、苺の串刺しには、イポミアが楽しそうに参加していた。


「グラニュー糖200g、水60mlを、飴の色が見えやすい鍋に入れ、かき混ぜずに、中火で火にかけます」


私とリラで量り、鍋はリラが火にかけてくれた。


「泡が立ってきて、そして大きな泡が立ってきたら、弱火にして、うっすら色がついたかな? という感じになったら火を消します」


タイミングを逃さないように、しっかり見つめた。


「ん!これで!」


リラが火を消した。


「火を消しました!」

「鍋を傾け、串に刺した苺に飴を絡めます」


ユリが見本を見せてくれたので、分かりやすい。思っていたより、簡単そうだった。


用意した目の粗い網は、重ねて、出来たいちご飴を差し込むためだったらしい。


まずはリラが2つ作った。次に私が2つ作った。なんか、簡単に出来て楽しい!

イポミアに交代すると、ウキウキしながら作っていた。

リラが声をかけ、シィスルとリナーリも作っていた。

マリーゴールドは普段着のまま作っていた。


「1人2つだから、誰かみんなの分もお願い」

「はい! 私が作ります!」


リラと交代で、みんなの分まで作った。


「イポミア、良かったにゃ」

「ユメちゃん、ありがとうございます!」


このいちご飴は、少し乾かす必要があるらしくて、みんなはすぐに食べられなかった。


「ユリ様、飴の残りはどうしますか?」

「再度加熱して、オーブンシートに、少しの油で拭いたクッキーの型を置いて、その中に流し入れると、鼈甲飴(ベッコウアメ)が出来るわよ。クッキーの型を使わなくて、適当に少しずつでも良いわ。その場合、楊枝をつけておくと食べやすいわよ」


リラが鍋を弱火にかけているので、私はイポミアと一緒に、クッキーの型をキッチンペーパーで拭いた。


「キボー、きたー」


キボウが休憩から戻ってきた。


「キボウ、いちご飴出来たにゃ!」

「ユメ、すごーい、ユメ、すごーい」


キボウはいちご飴を見に来て、物凄く喜んでいた。


「お、もう作ったのか。早いな」


ソウも戻ってきた。


「ユメちゃん、ミア姉、流し入れます!」

「準備出来てるにゃ!」


鼈甲飴も全部出来た。

私は少し休むように言われ、キボウと私にだけ、いちご飴が渡された。ユリは残りを網ごと杖でしまっているので、なぜか聞くと、放置すると飴が溶けるらしい。


1本ずつ渡されたいちご飴を、キボウと一緒に食べてみた。


バリンと割れる飴と、中の甘い苺が、何だか面白い食感で楽しい。


「美味しいにゃ」

「おいしー!」


ちゃんとみんなが居ないところで食べたよ。

いちご飴を食べた後、キボウは再びイチゴパルミエの入った籠を持ち、外に行ってしまった。


確かに、凄く疲れていた。部屋に戻らず、休憩室でのんびりすることにした。



大分時間がたって、外が少し騒がしい。何だろうと厨房に行くとユリの声が聞こえた。


「了解。半人前のスパゲッティを出します」

「お願いします!」


メリッサが頼んだらしい。

すぐに、リラたちが協力を申し出ていた。

スパゲッティの麺と人参と玉葱とピーマンとハムとベーコンを使うらしい。


「ユリ、私も手伝うにゃ」

「ケチャップ、開けてないの探してもらえる?」

「探してくるにゃ!」


ケチャップもたくさん使うみたい。ユリは半分くらい入っている大きなケチャップを手に持っていたから、あれで足りないということなんだと思う。私は急いで探した。


私がケチャップを持っていくと、ユリはリラに説明しながら一緒に作っていた。


「スパゲッティナポリタン出来ました」


小皿に盛られたスパゲッティが、従業員用に配られた。


「好みで粉チーズを上に振りかけて食べてください」


美味しかったのか、シィスルが、ベルフルールで出して良いかとユリに交渉していた。


私が食べようとしたとき、ユリが「あ」と言っていたけど、そのまま何も言われなかった。何だったんだろう?


少し不思議だったので、急いで日記を確認してきてわかった。私はピーマンが苦手だったらしい。でも、美味しく食べられたよ。むしろもっとたくさん食べたかった。味見のスパゲッティ美味しかった。


閉店時間になり、今年度の営業が無事終了したらしい。


「夕飯は、先ほどのスパゲッティナポリタンか、キーマカレーか選べます」


スパゲッティが食べたい。何と、みんなも同じだったみたいで、全員スパゲッティナポリタンの希望だった。シィスルとリナーリが作っていた。


ユリとリラはご飯をお握りにして鞄に入れていた。もう明日のお弁当かと思って聞くと、カレーだった場合のご飯だったらしい。


スパゲッティが出来上がり、みんなで食べた。やっぱり、ピーマン平気だった。


「美味しかったにゃ。ピーマン平気になったにゃ」


なぜか、全員に驚かれた。昔の私は、そんなにもピーマン駄目だったの?


この後、みんなで明日のお弁当を作ってから、解散だった。

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