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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の古語

今日は、10月5日Wの日(みずのひ)。女性と未成年者の日。


「たぶん朝からお店をすると思うけど、朝から手伝ったら疲れちゃうから、手伝うにしてもお昼ご飯の頃からで大丈夫だからね」

「わかったにゃ。また、引き継ぎ時間にお店手伝うにゃ」

「ユメちゃん、どうもありがとう。ものすごく助かります」


朝、ユリとそんな話をしたので、ゆっくりしたあと、キボウと畑を見に行っていた。


収穫物をざるに入れ、使った道具類を片付けようとしたとき、キボウが言ったのだ。


「ユメー、ユリよんだー」

「ユリが呼んでるのにゃ?」

「ユメよんだー」

「にゃ! 私のことを呼んでるのにゃ?」

「あたりー」


私にはユリが呼んでいる声は聞こえなかったけれど、キボウが言うのだから、探されているのかもしれない。


「厨房に行ってみるのにゃ!」

「わかったー」


急いで手を洗い、収穫物だけ持って厨房に駆けつけた。


「ユリ、呼んだにゃ?」

「呼んでいないわよ?」

「にゃー。キボウが、ユリ呼んでるって言うのにゃ」

「あ、それなら、リラちゃんと話している中に、ユメちゃんの名前が出たわ」

「成る程にゃー」


キボウは、誰の話でも聞こえているのかなぁ? 普段からあまりしゃべらないし、わからないことが多いからなぁ。何て考えていたら、キボウの目的はリラに有ったみたいで、何かをリラに頼んでいた。


「ユメちゃん、クロ猫ッカン作らない?」


ユリに声をかけられた。


「それは何にゃ?」

「パイ生地で作る、クッキーみたいなお菓子よ」

「作ってみたいにゃ」


私が作れるものなら、作ってみたい。

ユリは、トレーにのっている切れ端みたいなパイ生地と、薄切りのアーモンド、胡桃(クルミ)、黒胡麻(ごま)、グラニュー糖、ブラックココアをリラに渡し、私たちに任された。


「ユリ様、抹茶使って良いですか?」

「構わないけど」

「ありがとうございます」


リラが、材料になかった抹茶の使用許可を取っていた。


「リラ、抹茶は何に使うのにゃ?」

「クロ猫ッカンは、ユメちゃんのパイクッキーなんですけど、キボウ君もオリジナルが欲しいそうなので、作ろうかと思いまして」

「リラ、凄いのにゃ」

「ありがとうございます。ユメちゃん、先ずはこのパイ生地を、この波型のカッターで、切り分けてください。1cmくらいが理想です」

「わかったにゃ」


ピザを切るときに使った、丸い刃のピザカッターに似た形で、切ると、波なみに切れる。


その間に、リラは丸いカップ型に、何かをセットしていた。


「リラ、全部切れたにゃ」

「ありがとうございます。次に、このカップの、この猫型の部分に、切ったパイを薄く敷き詰めます。その上に、アーモンドスライスとクルミと黒ゴマを適当にのせてください」


丸い型だと思っていたら、中が、猫型だった!


「猫型にゃ! 凄いにゃ!」

「先ほど、この型のお話をしているときに、ユメちゃんの名前が出たので、キボウ君は来たみたいですね」

「成る程にゃ!」


パイ生地は焼くと大きくなるから、薄めにのせるらしい。

私が、言われたとおり作っていると、リラは世界樹様のクッキーに使う抜き型を持ってきて、同じようにパイ生地を詰めていた。


キボウが、私の方を手伝って、各種ナッツを均等にのせてくれた。


「リラ、出来たにゃ」

「そうしたら、ブラックココアを、茶漉しを使って、振りかけてください。少しで良いですよ」


リラは、抹茶を振りかけて作っていた。


「オーブンセットしてあるから、焼けるわよ」

「ありがとうございます」


ユリに声をかけられ、リラが全部オーブンに入れてくれた。


「焼き上がりが楽しみにゃ」

「たのしみー、たのしみー!」


リラに聞くと、焼くのに10分以上はかかると言われたので、畑に戻ることにした。片付けをせずに来てしまったのだ。


畑に出しっぱなしだった、じょうろなどを片付け、厨房に戻ると、先ほど作ったクロ猫ッカンは焼き上がったらしい。


あれ?キボウに頼まれたっていう、木の形のもクロ猫ッカンって呼ぶのかな?


そして、キボウは出来上がったパイのクッキーを渡されるときに、名前を告げられていた。


「キボウ君、これで良いですか? 名前は、『クロロッカン』です。古語の、ロロックァをもじりました」

「キボー、ロロックァ! キボー、ロロックァ! リラ、ありがとー!」


キボウが大喜びだった。どういう意味だろう? キボウには意味がわかったみたい。後でリラに教えてもらおうかな。


当然のように、キボウは転移して消えた。きっと、世界樹様に見せに行ったんだろうね。

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