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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の段取

お昼休みのあと少ししてから、何時から手伝えば良いのか、ユリに聞こうと思って厨房へ行くと、菊のジャムが足りない話をしているのが聞こえた。


「菊洗うのにゃ?」

「あらユメちゃん、お昼休みはもう良いの?」

「たっぷり休んだにゃ」

「菊は、これから買ってくるから、先にシソジュースを作りましょう」


それは、作るのを手伝わせて貰えるのかな?


「何すれば良いにゃ?」

「お湯を沸かして、お砂糖を量ってください」


ユリは、グラニュー糖とクエン酸の量が書いてあるメモを渡してくれた。でもこれだと水の量が判らない。


「どの鍋にゃ?」

「空いている大きい鍋4つ、鍋の6分目くらいの水を入れて下さい。無理しないで、手伝ってもらってね」

「わかったにゃ!」


マーレイに聞きながら、ユリに頼まれた鍋と水を用意し、夏板を並べて湯を沸かした。この鍋は35リットルくらいの容量があって、6分目なら、20~21リットルくらいの水が入るらしい。


私がクエン酸とグラニュー糖を量っている間に、マーレイが洗った赤紫蘇を厨房へ全部運んでくれていた。キボウも手伝ってくれたみたい。作業台2つにのりきらなくて、プラスチックの樽に入れて、床にも置いてある。このプラスチックの樽は、大根を漬ける時に使う樽らしい。


湯が沸いてきて、厨房内が、久しぶりに暑くなってきた。最近は、冷房がかかっていて快適だったけど、今はとても蒸し暑い。


「4つ沸かすと、エアコンがかかっていても暑いわね」


ユリも暑いらしい。


「ユリー、あついー?」

「あら、キボウ君。キボウ君は暑くないの?」

「あついー!」


キボウは平気なのかと思ったら、やっぱり暑いらしい。でも何が楽しいのか、騒いでいた。ふとキボウの騒ぐ声が聞こえなくなったと思ったら、キボウは氷風機を持って、戻ってきた。リビングに置いている氷風機みたい。


「ユリ、すずしい?」

「涼しいわ。キボウ君ありがとう」

「よかったねー」


私も頼めるかな?


「キボウ、私の部屋のも持ってこられるにゃ?」

「わかったー」


キボウは、私の部屋で使っている氷風機を持って来てくれた。


「キボウ、ありがとにゃ!」

「よかったねー」


お湯が沸騰すると、一旦夏板のパワーを弱めて、洗ってある赤紫蘇を4つの鍋に投入していた。15分くらい茹でるらしい。 茹でている間に、使った(ざる)とボールなどを洗っていたので、手伝った。これはまだ使うと言っていた。


15分経ち、取っ手のついた笊のような網のようなもので、鍋の中の赤紫蘇を綺麗に取り除いていた。ビックリすることに、赤紫蘇だけを茹でたのに、取り除いた葉っぱは緑色だった。前回見たときは、全て手伝ったわけではなかったので、緑色の紫蘇も一緒に茹でたのかなと考えていたけど、今回は洗うところから茹でるところまで全て関わって見ていたので、赤紫蘇しか入れていなかったと言いきれる。


葉っぱを取り除いた赤黒い液体に、クエン酸を入れると、鮮やかな色に変わった。グラニュー糖も入れ、溶かすためか、よく混ぜていた。あとはなんだろう? 前回は、ソウを置いて帰ったから、ちゃんと最後まで見ていない気がする。


「いつ飲めるにゃ?」

「氷を持ってくれば、すぐにでも飲めるわよ」


なんと、これで出来上がりらしい。私は急いで氷を用意した。するとユリが飲めるようにしてくれた。


「遠足のときの赤紫蘇は、半分をパールホワイト伯爵家に置いてきちゃったからね。今回のは売るほど有るから、キボウ君がどこで飲んでも安心だわ」


あれ? 売る気なの? でも、たくさん作ったから、売っても大丈夫なのかな。


イポミアが厨房へ来たので、シソジュースが出来上がったと教えると、ユリから受けとり、早速飲んでいた。


「頑張って洗った甲斐が有ったー」

「イポミアが手伝ってくれて助かったにゃ」

「お手伝いしたことで、こんなに美味しいものを飲めたので、むしろ、ありがとうございます」


交代で、イリスとメリッサも飲みに来ていた。


「おいしー!」


ユリの予想に反し、キボウは厨房で飲んでいた。


「明後日カンパニュラとプラタナスに会う時に、持っていったら喜ぶにゃ」

「よろこぶー、よろこぶー」

「キボウ、持てるくらいに冷まして欲しいにゃ」

「ときおくりー?」

「お願いするにゃ」

「いちじかーん」


キボウが冷ましてくれたので、私は空いているデキャンタに詰め替えようと考えていた。


「あ、ユメちゃん、炭酸の空き容器に、漏斗(じょうご)で注いでもらえる?」

「任せるのにゃ!」


これの方が、蓋があって持ち運びも保存も楽にできそう! キボウが全ての鍋に時送りをすると、マーレイが鍋を下におろしてくれた。


レードルと、漏斗を使って、蓋付きの容器に全て詰め込んだ。空いた鍋は、マーレイが洗ってくれた。


「必要なら持ち出しても良いけど、どこに持っていくの?」

「美味しかったにゃ。カンパニュラとプラタナスにも飲ませるのにゃ」


もしかして駄目だったのかな? と不安になっていると、少し考えていたユリは、追加のおやつを提案してくれた。


「それなら、菊花ジャムのクッキーも持っていくと良いわ」

「ありがとにゃ!」

「でもね、子供より、大きい女性が喜ぶかもしれないわよ? うふふ」·

「明後日が楽しみにゃ!」


ユリが少し不思議なことを言っていたけど、それなら、ハイドランジアと、えーと、カンパニュラの母親にも分ければ良いよね。


キボウと2人で少し休憩するため、リビングに行った。キボウは氷風機も運んでくれたので、リビングまで持ってきて貰った氷風機を、自分の部屋まで持っていった。ソウが後付けで小さなタイヤをつけてくれたので、楽に運べた。


「次は、ソウが菊を買ってきたら手伝おうと思うにゃ」

「わかったー」


部屋に戻り、ベッドに寝転んでいると思い出した。あの2人の母親は、アネモネという名前だったはず。


少しウトウトした頃、キボウが部屋の外から声をかけてきた。


「ユメー、ユメー、ソウきたー」

「ソウが帰ってきたのにゃ?」

「した、いるー」

「すぐ行くにゃ!」


急いで階段を下りて、厨房へ顔を出した。


「菊、買ったのにゃ? 洗うのにゃ?」

「黄色い菊だけ買ってきたから、これから洗います」

「手伝うにゃ!」

「てつだう、てつだうー!」


ユリは、私とキボウに任せてくれるのか、菊の入った袋ごと渡してくれた。

私はキボウと手分けして、キボウは花を魔法で毟り、私は菊を洗う酢が入った水を用意した。2人で花弁(はなびら)を洗っている間に、ユリとマリーゴールドは、ジャムとクッキーの計量をしたらしく、あっという間に、菊のジャムと、クッキーの素が出来上がっていった。


「マリーゴールドちゃん、クッキー頑張りましょう!」

「かしこまりました」


私も手伝いたい。ジャムをキボウに時送りしてもらって冷まし、コロネに詰め込んで、ユリとマリーゴールドが絞ったクッキーに絞ってのせていった。マーレイも手伝ってくれたので、ユリとマリーゴールドのクッキーに遅れを取ることもなく、あとは焼くだけになって天板が積み重なっていく。


ソウは暇だったらしく、ユリにオーブンの設定を聞いて、クッキーを焼き始めた。これには少し驚いた。


「5人がかりだとさすがに早いわね!」


私も役立ったみたい!

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