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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の延長

リラは本を2冊取り、「これにします!」と嬉しそうに抱え、部屋を出た。私はリラと一緒に厨房へ戻り、菊の処理の続きをしようとした。


「キボウ、お待たせにゃ」

「だいじょぶー、キボー、ぜんぶー」

「あんなにたくさん有ったのに、全部終らせたのにゃ!?」

「おわったー」

「キボウ、手伝えなくてごめんなのにゃ」

「だいじょぶー、だいじょぶー」


10分程度だったのに、キボウは凄い。もしかして私が手伝わない方が、キボウ的には早く終らせることが出来るのかもしれない。


「お昼いただきまーす」


少し落ち込んでいると、イポミアがお昼を食べに来た。よし、ここで挽回しよう。今、配膳が一人のはずだから、お店を手伝おう!


「メリッサ、何を手伝ったら良いにゃ?」

「ユメちゃんありがとうございます。持ち帰りのサファイアクリームソーダゼリー5個を、預かっている冬箱に入れたいんですけど、手がまわらなくて、お願いしても良いですか?」

「任せるのにゃ!」


わかりやすい仕事を頼まれたので、早速手伝いを始めた。


冷蔵庫からサファイアクリームソーダゼリーを、預かり場所に置いてある冬箱に詰め込み、ぐらぐら動かないように、ボール紙の輪っかも詰め、冬箱を預かり場所に戻した。


「メリッサ、詰めて箱は戻しておいたにゃ」

「ありがとうございます!」

「他にはないにゃ?」


そこへ新しいお客が入ってきた。


「いらっしゃいませー」


メリッサが忙しすぎて指示が出せそうにないので、ユリに聞こうと厨房へ行ってみた。


ユリはクッキーを焼いているみたいなので、ジャムをのせるのを手伝おうとしていたら、キボウが声をかけてきた。


「ユメー、クッキー」

「黒猫クッキーを欲しい人がいるのにゃ?」

「あたりー」


私はキボウと一緒にお店に行き、頼んだ人は誰なのか教えてもらった。


「黒猫クッキーにゃ」

「黒猫様、ありがとうございます」


ニコニコと受けとる高齢のご婦人は、大事そうにハンカチに包んでいた。


「私の名前は、ユメにゃ。ユメと呼ぶと良いにゃ」

「かしこまりました。ユメ様」

「あの、ユメ様、おいくらお支払すればよろしいのでしょうか?」


連れの若い男性か質問してきた。孫かな?


「黒猫クッキーは、私の言い値らしいからにゃ。貴族やお金持ちがたくさん払うから、子供からは貰わない事もあるのにゃ。大人は、200(スター)以上なら、いくらでも構わないにゃ」


若い男性は、500(スター)支払ってくれた。

厨房に戻ると、メリッサがユリに告げていた。


「ユリ様ー、水玉サイダーの丸いのの在庫が残り少ないです」

「ごめんなのにゃ。すぐに用意するにゃ」


これはユリに頼まれた、私の仕事だ。急いで用意しなければ。ソウが冷蔵庫から丸い寒天を容器ごと出してくれ、お椀を50個用意して分けていくと、43椀しか作れなかった。


「ユリ、43人前しか作れないにゃ」

「午前中に仕込んだ水玉を使います。今取り出すから少し待ってね」

「手伝うにゃ!」「手伝うよ」


出して貰うのを待っていても仕方がないし、手分けした方が早いよね。ユリとソウと3人で丸い寒天を取り出した。


「あの、ユリ様、水玉サイダーの、水玉だけ持ち帰りたいとおっしゃるお客様が」

「容器はどうするの?」

「何か売って欲しいそうです」

「ちょっと直接聞くわ」


ユリはお椀に入っているフルーツ寒天を大きいココットに入れかえ、お店に行ってしまった。


これは、この後あの状態のフルーツ寒天が注文されるはず!私は急いで大きいココットを用意し、先読みで作ることにした。


「ユメ、何してるんだ?」


私が並べた大きいココットを見て、ソウが聞いてきた。


「ユリが大きいココットに入れて持って行ったにゃ。きっと注文されると思うにゃ」


私は大きいココットを20個用意したのだ。それを数えたソウが言った。


「そんなにたくさん出るか?」


ソウはもっと少ないと考えているみたい。誰に聞いたら良いだろう?


「にゃー。リラはどう思うにゃ?」

「え?私ですか? 今だけで25くらい注文がくるんじゃないかと思います」


リラの意見は、私よりも多かった。


「俺は今回だけなら、20以下だと思うな」

「いくつ来るか楽しみにゃ」


3人でワクワクして待っていると、ユリが戻ってきた。


「今ので注文が殺到するかも」

「大きいココットに作ってるにゃ!」

「ユメちゃん、優秀ね!」


やった、ユリに褒められた! ユリの後から来たメリッサは、ワクワクの結果を発表した。


「持ち帰り、水玉だけ、合計25お願いします」

「リラの予想が当たったにゃ!」


「リラさすがだな」

「リラ凄いにゃ」

「当たって良かったです」


ユリとメリッサが話していたけど、持ち帰りも飲食と同じ700(スター)らしい。


ユリは、足りなさそうなフルーツ寒天を計量しようとして、リラに止められていた。


「ユメちゃんとキボウ君は、私と一緒で良いわよね?」


昼ご飯の時間を聞かれた。


「もう30分手伝おうと思うにゃ」

「そうなの?」

「イポミアも復帰したら、少し長めに休むにゃ」

「わかったわ」

「キボウ君は、私と一緒にご飯食べる? ユメちゃんと一緒にご飯食べる?」


キボウは少し考えた後答えていた。


「ユメー」


私に付き合ってくれるらしい。


「キボウ、付き合ってくれて、ありがとにゃ」

「よかったねー」


「ユメちゃん、メリッサさんを呼んで貰える?」

「わかったにゃ」


ユリに頼まれて、お店にいるメリッサを呼びに行った。


「メリッサ、そろそろご飯に入ってにゃ」

「ありがとうございます。イリスさんに引き継いでから休みたいと思います」


メリッサが厨房へ行き、イリスがお店に来るあいだ、私は1

人でお店にいた。


「黒猫様、この水玉サイダーは、明日もありますか?」

「ユリが仕込むって言っていたから、有ると思うにゃ」

「明日も楽しみです」

「明日は、イベントだと思うにゃ」

「そうなんですか?」

「午前中に、明日配るクッキーを作ったにゃ」


店内がざわざわした。あれ? 内緒だったのかな?


「あ、そういえば、3月3日、5月5日、7月7日とイベントだったから、9月9日もイベントなのか!」

「それであってると思うにゃ。でもユリが飛んだりはしないと思うにゃ」

「おとなしく、楽しみにすることにします」


イリスがお店に来たので、イポミアが来るまで手伝うと伝えた。


「ユメちゃん、ありがとうございます」

「なにしたら良いか教えてにゃ」

「今日扱っているのは、キャラメルセット、サファイアクリームソーダゼリー、アフォガード、バニラアイスクリームコーヒーシロップ、バニラアイスクリームチョコソース、水玉サイダーです。軽食は、普段通りです。サービスは、キャラメルを配っています」

「大丈夫にゃ。今言われたのは把握してるにゃ」

「完璧ですね」


イリスからは、持ち帰り希望のフルーツ寒天を頼まれたり、キャラメルセットの持ち帰りの対応を頼まれた。


「ユメちゃん、お時間です。ゆっくりお昼休み取ってくださいね」

「イポミアお昼休み終りにゃ?」

「はい。とても助かりました。ありがとうございます」


「キボウ、お昼ごはんにゃ」

「わかったー」


キボウを誘って厨房へ行き、ユリに声をかけた。


「ユリ、ご飯頼むにゃ」

「キボーも、キボーも!」

「はい。用意できているわよ。ユメちゃん、キボウ君、人が少ない間の配膳、ありがとう」

「役立って良かったにゃ」

「よかったねー」


すぐ食べられるように、ごはんが用意されていた。


「おやつは何を食べる?」

「キボー、あおぜーりー!」

「私は水玉サイダーが良いにゃ」

「食べ終る頃用意するわね」

「わかったー」

「頼んだにゃ」


キボウは、サファイアクリームソーダゼリーを3つ食べていた。これ、今日残ったら、キボウが食べて良いらしい。


ゆっくり休めるので部屋でのびていたら、眠ってしまったらしく、起きたときは17時を過ぎていた。


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