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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の青苺

朝ご飯の時、ユリとソウが話していた。


「頼まれたもの揃えてきたぞ」

「ソウもお休みだったのに、ごめんね。ありがとう」

「食品店1件で済む買い物だから手間はないよ」


ソウは、お肉の塊を4つと、店ではあまり見かけない野菜を取り出し、ユリに渡していた。これはセロリらしい。


「何を作るのにゃ?」

「コンビーフよ。多分リラちゃんが来ると思うわ」


昨日は、1日休みにするから何か作るなら日を空けるようにと、ソウがリラに直接頼んだらしいので、今日は絶対来るだろうと予測を話していた。


「ユリ、コンビーフは難しいのにゃ?」

「簡単よ。塩を揉み込んで、香味野菜とハーブと一緒に、3~7日くらい冷蔵庫で漬け込んでから、ゆっくり茹でて、柔らかい繊維を細かく裂くのよ」

「今日は、漬け込むだけにゃ?」

「私の予定では、そうだけど」


それ、キボウに頼んで時送りして貰えば、今日中に出来上がるってことなのでは?


ユリとキボウも気づいたらしく、ユリが慌てだした。


「キボー、てつだう?」

「リラちゃんが気がついたら、時送りして貰えるかしら?」

「わかったー」


ソウは、笑いながら見ていた。予測済みだったらしい。


ご飯のあとは、キボウと畑の様子を見に行き、昨日の世話について説明した後、暑さでぐったりしている植物に、日除けをかけたり、鉢を半日陰に移動したりしていた。


ほどよい時間になったので、出掛けようかとキボウに話しかけようとしたとたん、キボウが転移で消えた。

これはきっと、リラに呼ばれたのかな?


私は、使った道具を片付け、手をきれいに洗ってから、厨房を覗きに行ってみた。


「キボウ、ここにいたのにゃ」

「あら、ユメちゃん。ユメちゃんもコンビーフ見る?」


テーブルの上に、朝見たお肉はのっていない。


「今から作るのにゃ?」

「今、塩と香草で漬け込んで、キボウ君に時送りして貰ったので、これから茹でます」

「それ、作業ほとんど終わってるにゃ?」

「まあ、そうね」

「にゃはは。キボウと出掛けてくるにゃ」


なんだか予想通り過ぎて、笑ってしまった。


「ユメちゃん、明日はキャラメルを持っていけると思うわ」

「ありがとにゃ。期待してるにゃ」


「キボウ、出掛けるにゃ」

「わかったー」


世界樹の森では、今日は持ち込むものがないので、ホワイトボードに、「次回は、美味しいキャラメルを持ってきます。お楽しみに!」と書いてキボウに渡した。


返ってきたホワイトボードには、「どんなものだかわかりませんが、楽しみに待っております」と書いてあった。もしかすると、キボウに詳細を聞いてみて撃沈したのかもしれない。


城につくと、複数の兵士がバタバタ走り回っていた。キボウが、いつものソウの部屋に行く前に、城の見晴台に一度転移して、状況を見せてくれたのだ。


「どうなってるのにゃ?」

「わかんなーい」


ソウの部屋に転移して貰い、メイドに聞いてみた。


「今日も演習があるのにゃ?」

「ユメ様。いいえ、兵士の一部が、野営地に何かを取りに行くと、話しておりました」


え? 野営地? それってまさかブルーベリー狩り?


「ギプソフィラか、話がわかる人を呼んで貰えるにゃ?」

「かしこまりました」


指揮を取っていたらしいギプソフィラが、こちらに呼ばれてきた。


「ユメ様、バタバタしておりまして、大変申し訳ございません」

「野営地に何しに行くのにゃ?」

「魔力の増強の練習を面倒がる兵士が、ブルーベリーの乾燥は楽しんで進んでするらしく、ブルーベリーを採って来ることになりました」

「わりとまともな理由だったにゃ」


「なーにー?」

「キボウが採ってくれたブルーベリーが、みんなも欲しいらしいにゃ」

「わかったー」


ギプソフィラについていき、集まった兵士たちと一緒に、ブルーベリー狩りに行くことにした。


「籠は持たないのにゃ?」


私の疑問に、持ち帰る容器がないと初めて気がついたのか、慌ててメイドに、籠を用意してくれるよう頼んでいた。


屈強な兵士たちが、メイドたちが慌てて用意した可愛らしい籠などを持ち、王城の転移陣から、キボウが転移をしてくれた。


キボウのことだから、直接ブルーベリーの前かと思ったら、野営地の転移陣の上だった。


私以外、ほとんどの人が知っているらしいブルーベリーの有る場所まで、歩いていった。途中、棘だらけの枝があり、払おうとした人が止められていた。


「キボウ、あの棘の枝は何にゃ?」

「ラズベリィー」

「木苺なのにゃ!?」

「あたりー」


それは、払うのを止められるわけだ。そばにいた兵士に聞くと、甘酸っぱくて美味しいらしい。


木苺の枝を避けて進むと、目の前にブルーベリーの大きな木が何本もあった。


「凄いにゃ」

「キボー、とるー?」

「頼んで良いのにゃ?」

「いーよー」


「みんな、籠を前に出すのにゃ!」

「はい!」「かしこまりました!」「わかりましたー」


「ブルーベリィー!」


籠めがけて、ブルーベリーが飛んできた。


「おおー!」「凄い!」「キボウ様万歳!」「お見事です」


ギプソフィラがこちらに歩いてきた。


「キボウ様、どうもありがとうございます」

「よかったねー」


ふと見ると、キボウも自前の籠に、ブルーベリーを山盛り持っていた。


転移陣まで歩いて戻り、又キボウが、王城の転移陣迄、転移してくれた。


「そう言えばにゃ、ギプソフィラ」

「なんでございますか?」

「キボウが採った果物は、普通より美味しいのにゃ」

「そうなのですか!?」


カンパニュラの部屋に案内して貰い、今あったことを話すと、カンパニュラからは、サンダーソニアが結構上手に乾燥させてくれたと、聞いた。

カンパニュラも、大きくなって早く魔法が使ってみたいと話していた。


キボウの転移で、家のリビングに戻ってきた。特になにもしていなそうなソウが、一人で待っていた。


「ユメ、キボウ、戻ってきたのか」

「ソウは、何してるのにゃ?」

「下、女性だらけだ」


成る程と思い、一緒に様子を見に行ってみた。すると、キャラメルは出来上がっていて、新たな種類が加わったキャラメルを又3個ずつ渡された。合計27個もある。9種類も作ったの!?


「みんな、何か食べる?」

「はーい、手伝いまーす!」「私も!」


ユリの呼び掛けに、リラとリナーリが応えていたので、私は、食べた後の片付けを手伝った。


コンビーフも出来上がり、後は冷めてから作業があるらしい。

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