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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の巾着

ユリが帰ってきたので、リラが来ていることを知らせようと思ったら、既にリラと話しているようだった。なら、部屋に戻ろうかな?と考えていると、ソウも階段を下りてきた。


ユリはソウに結界の張り方を聞いて、リラに教えるつもりらしい。どうやらソウが教えることになったみたいなので、私もシッスルに教えられたら良いなと思い、やり方を見ておこうと思った。


少し説明した後に、外に出て実践らしい。

私も外に出て、ソウのやり方をじっくり見学していた。


「石でも木でも良いから、何か対象物を決めて、自分と相手を隔てるイメージをして、何を守りたか考えて、指で線を引くように隔たりを作って」


なんとソウの説明の1回目で、ユリは結界を張っていた。まあ、多重結界は張れるらしいので、やり方さえ覚えれば出来るものなのかもしれない。


「ユリ、凄いよ。それの色見える?」

「え? 色? うーん、ほんのり赤っぽいかなぁ?」

「正解。それは物理結界。そのまま他の色も頑張ってみて」

「うん、わかった」


ユリには色も分かるみたい。私は、色の判別は苦手だな。


「なーにー?」

「キボウも来たのにゃ。ソウが、リラに結界の張り方を教えてるのにゃ」

「わかったー」

「キボウも結界、張れるのにゃ?」

「できるー」


パン!


キボウが張った結界は、薄緑色に見えるソウの説明に無いものだった。


「キボウの結界は、みんなと違うにゃ。世界樹様と一緒にゃ?」

「あたりー」


キボウの結界に気を取られていたら、なんとソウがリラに向かって石を投げていた。リラは慌てて手を払うように動かしていた。すると、リラの前に結界が張られている!


「ひゃ!」

「お、成功したな」

「え? うわー!本当だ!」


小石が当たった結界は、その役目を終えたかのように、上の方からまるで氷や蝋が溶けるように消えていった。

私がシッスルに教えるとして、石を投げつけるのは無理だなぁ。


「黒色結界まで出来るようになったわ!」

「え!? ユリ、まじで?」


ユリが突然宣言したのだ。リラを見ていてユリを見ていなかった。ソウも驚いている。


そこには、石の回りに黒いモヤのような結界が張られていた。いつか見たことがある気がするけど、思い出せないや。


「うん。魔道具で見たことあるからね」

「さすが、ユリ」

「ユリ様、凄い!」

「ユリ、凄すぎるにゃ」

「ユリすごーい、ユリすごーい」


私とキボウはユリを後ろから見ていたので、ユリは気がついていなかったらしい。


ユリは聖女で、黒い結界の中に留め置くような人や物を清めることが出来るらしいから、呪われた人や物が迫ってきたら足止めに使えるかもしれないね。まあ、そんな機会は来ないと思うけど。


ソウは、一応出来たからなと言いながら、戻っていった。リラも偶然な感じとはいえ、結界を張ることが出来たので、あとは一人で練習するらしい。


私とキボウが最後に厨房へ行くと、お昼ご飯を作る話しになっていた。焼きそばを作ると言うので、調理はユリとリラに任せ、キボウと一緒に皿や箸を用意した。


ソウは厨房に居るみたいなので、キボウと一緒にみんなのお茶も用意して、お店のテーブルで待っていた。


ユリとソウが焼きそばを運んできた。するとリラがフライパンを持って追いかけてきて、焼きそばに目玉焼きをのせていた。


あれ? 良く見ると、小さめの目玉焼きが2つ? 少し違うな? 黄身同士がくっついたような黄身もある。


「どうなってるのにゃ?」

「黄身が二つ入っている双子の卵ってのを売ってるんだよ」


そんなのがあるの!?


「昔、寿さんのところで見たことあるけど、お菓子やさんには使いにくい卵だったわ。でも料理屋さんなら面白いわね」


ユリも知っているらしい。さすがユリ、何でも知ってる。


「たまーに、3つ子とかもあって、最高で、小さい黄身が7個入ってるのを見たわ」

「そんなのあるのにゃ」


でも、目玉が7個の目玉焼きは、少し嫌かも。


「なんだか面白いですね」

「さあ、食べましょう」


焼きそばに添えてあった紅生姜の作り方を、リラが聞いてユリが説明していた。新生姜を細切りにして、一度茹でてから、赤い梅酢に漬けるだけで出来るらしい。


食べ終わったらキャラメルを作ると、ユリとリラが話し合っていた。ところが、食べ終えた食器を片付けているところに、リナーリが来た。後ろに数人居る。


「ユリ様、黒猫様の鞄の作り方を教わりに来ました」

「ユリ様、黒猫様の背負い鞄、教えてください!」

「背負うタイプと、マチがある小型の巾着タイプと、イチゴでも魚でも、好きなのを教えるわよ」


あれ? キャラメル作るんじゃないの? 私が疑問に思っていると、リラが「今日は諦めるか」と呟いているのが聞こえた。


ユリは指輪から、色々なものを取り出していた。最後に、黒猫型の巾着袋を取り出した。素敵!それ、欲しい!


お店のテーブルで教えるらしいので、私も参加することにした。一応キボウにも聞いてみたけど「みてるー」と言っていた。


まずは型紙通りに布を裁断して、部品を揃えて、それから縫い始めると説明された。頑張って型紙を色鉛筆みたいな布用のペンで書き写し、ハサミで切った。ほとんど真っ直ぐだけど、耳の部分だけ三角なので慎重に切り取った。布用のペンは、2色を使い分け、切る線と縫う線は、違う色で線を引いた。


まずは耳の部分を作り、その耳を挟みながら、脇を縫い、底を縫い、角を折って縫ってマチを作り、内側の袋を縫い、紐を通す部分を縫えば、出来上がり。好きな色の紐を通してみた。


私が頑張って黒猫型巾着袋を作っている間、ユリは木の形の巾着袋を作っていたみたいで、キボウに渡していた。


「私が昔作ったのよ」

「えー!ユリ様凄い!」


リラが騒いでると思ったら、型紙を作ったのがユリと聞いて驚いたらしい。それ、驚くことかなあ?


「ユメー」


キボウは、ニコニコしながら、ユリに貰った木の形の巾着袋を見せてくれた。凄く嬉しかったみたい。私も自分で作った巾着袋を見せておいた。


リナーリたちが帰ったのでキャラメルを作るのかと思ったら、リラも帰っていった。ちょっと予想外だった。

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