夢の求婚
1週間後のGの日。
城を訪ねた後、カンパニュラに頼まれたことを確認しようと思い、パープルの屋敷に転移してきた。
「ローズマリーを頼むにゃ」
「ただいま奥様は、ホシミ様と会談されていらっしゃいます」
「そうなのにゃ? 私が参加しても良いか聞いてほしいにゃ」
「かしこまりました」
対応してくれたメイドは、すぐに確認にいってくれた。
「ユメー、なにー?」
「ソウが相談するなんて、ユリのことだと思うにゃ」
キボウも納得していた。
すぐに戻ってきたメイドは、部屋に案内してくれた。
「ユメ様をお連れいたしました」
「入ってー」
ソウが入室許可を出し、私とキボウは部屋に招かれた。
なんと議題は、マリーゴールドの件だった。
「それでですね、マリーゴールドはハナノ様の弟子の弟子と言う立場だから、軽い気持ちなら、諦めなさいとたしなめましたが、どうやら本気らしく、まずは、ハニーイエロー男爵に断りに行くよう促しました」
「それで?」
「どうも、ハニーイエロー男爵からは、家としての命は出さないと断られたようです。その時に、ダークイエロー家との確執も聞いたようで、尚更私が守らなければと思ったようでございます」
「ふうん。ま、本気であるならユリも反対はしないだろうけど、女性陣が何を反対するかはわからないよ?」
「そこは、ローズマリーが、助言しました」
全員の視線がローズマリーに移る。
「ローズマリー何を助言したの?」
「女性が心動かすような条件を提示するようにと申しました」
「ところで相手は、マリーゴールドをどこで見つけたの?」
「なんでも、以前は許嫁がいたらしいのですが、病死して以来、相手を決めずにフラフラしていたようでございます。そして、話題の食事をしに、アルストロメリアとベルフルールにいき、そのとき見初めたらしいです。伯爵には好きにしろと言われているらしく、受け入れは問題ないそうです」
なんと、例え平民の女性でも良いから幸せになってくれと親から言われたらしい。それが男爵令嬢なら、万々歳なのだとか。
「俺は反対はしないけど、ユリが反対しても止めないよ」
「勿論でございます。人物調査を致しましたが、特に問題はございませんでした。それゆえ私共も、反対は致しませんが、推薦も致しません」
「わかった。ユリには話は通しておくよ。そのうち本人が来るだろうし、なるべく同席するようにするよ」
「お手数をお掛け致します」
ソウは先に帰っていった。
「ローズマリー、少し聞きたいにゃ」
「ユメ様、なんでございますか?」
「カンパニュラに聞かれたのにゃ。教室の最大人数は何人にゃ?」
「見学者を含まない人数でございましたら、15名ほどでございますが、ユリ様が、10名くらいでとおっしゃって、多すぎるのは教えにくいと、以前伺ったことがございます」
「成る程にゃ」
「カンパニュラ様が、何か御計画をされたのでしょうか?」
「はっきりは聞かなかったけどにゃ、侍女やメイドの希望者に習わせたいらしいにゃ。ユリに言ったら失礼なのかわからないから、まずは私に聞いたみたいにゃ」
「こちらとしては、ユリ様さえよろしければ、いつでも歓迎致します」
「ローズマリーありがとにゃ。ユリに相談してみるにゃ」
私が戻ると、すぐにご飯の時間だった。
皆でお昼ご飯を食べ終わった頃、訪問客があった。
「あの、こちらにマリーゴールド様がいらっしゃると伺っております。ご対応いただけませんでしょうか?」
午前中の話の相手が、直接来たみたい。ユリもソウから聞いているのか、不安そうではなく、ニコニコしている。
パープルの話の通り、柔らかい笑顔の若い男性が入店してきた。
「大丈夫だ。ユリと見守っている」
「嫌なら、はっきり断るのよ?」
少し不安そうなマリーゴールドに、ソウとユリが声をかけていた。マリーゴールドは頷き、声を発した。
「私が、マリーゴールドでございます」
「初めまして、マリーゴールド様。こちらはコバルトブルー伯爵家次男、オリーブ様でございます」
「オリーブです。ハニーイエロー男爵のご令嬢、いきなりの訪問にて、ご迷惑をお掛けすることを、まずはお詫びいたします」
丁寧な挨拶をし、ユリとソウにも挨拶をしていた。
「ハニーイエロー男爵令嬢、私と婚姻を結んでください。そして、あなたの名を呼ぶ許可を私にください」
いきなり求婚だった。わかりやすいけど、それで良いの?
私が不思議に思っていたら、この後、いきさつや行動を説明していた。まんま先程聞いた話だった。
オリーブは、婚姻の条件として、半年以内の婚姻をあげていたけど、マリーゴールドの行動を縛るようなことはしない方針らしく、料理やお菓子作りすら、自由にして良いと言う厚待遇だった。
ところが、マリーゴールドにしてみれば、いきなりの話なのもあり、呆気に取られているようで、なぜ私に?と呟いていた。
「あ、あの、私に、このような価値はないものと考えておりますが、」
少し怯えた目のマリーゴールドが、やっと発した言葉だった。
「とんでもない。貴女に足りないのは、自信です。貴女が望むなら、毎週でもドレスを新調したいほど、毎日でも贈り物を送りたいほど、貴女は素敵な女性だと思います。今日返事をする必要はありません。貴女の師や、ユリ・ハナノ様にどうぞご相談ください」
「わかりました」
マリーゴールドが返事をすると、オリーブたちはすぐに帰っていった。あー、パープルが店の営業時間についても説明したのかもしれないね。
「マリー、凄い!」
シィスルが、一番に反応し、物凄く喜んでいた。
「え、マリーゴールド様は、現役のお貴族様なの?」
イポミアは、マリーゴールドが貴族の令嬢だと知らなかったらしい。まあ、リラが師匠な時点で、貴族だとは思わないよね。
「ミア姉、1番偉い人がここにいるんだから、マリーが本当は貴族でも、仕事をしているときは、マリーだよ」
「うん、わかった」
イポミアは理解を放棄したみたい。
それにしても、良い話で良かった。探られているのは、良い気がしないからね。




