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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の移動

✿謹賀新年❀

私とキボウのあと、少ししてシィスルとマリーゴールドがやってきた。なぜか二人とも怪訝な顔をしている。


「あの、今来ていたのは、コニファーさんですよね?」

「そうよ。シィスルちゃん、どうかしたの?」


コニファーの従業員と何かあったのかな?


「何があったと言うわけではないんですが、マリーの事を見て、『ああ、あの子が、マリーちゃんか』って、なんか意味ありげな会話をしていましたので、なんだろうと思いまして」

「コニファーの皆さんと、こちらで特に、マリーゴールドちゃんの事を噂したりはしていないわよ?」

「そうですよね。なんだったんだろう」


少し怒っている感じのシィスルと違い、マリーゴールドは不安そうな顔をしている。そんなマリーゴールドに、ユリが尋ねた。


「マリーゴールドちゃんは、思い当たることはある?」

「特にございませんので、(わたくし)も思い当たらないのでございます」

「何か不安があったら相談してね」

「ありがとう存じます」


思い付いた感じに、ソウが意見を出していた。


「それって、誰かがマリーゴールドに惚れたとかそう言う話なんじゃないのか?」

「あー、マリーゴールドちゃんが貴族の御令嬢って事を知らない人から見たら、物凄く奥ゆかしい美人さんにしか見えないわね。でも、マリーゴールドちゃんが納得できない相手とは、相手に権力があったとしても認めないわよ。うふふ」

「ユリが認めなかったら、誰も逆らえないよ」


ソウの正論にみんなが笑い、マリーゴールドは安堵したみたい。マリーゴールドは以前の婚約者に苦労させられたから、なおさら不安があるんだろうね。


ごはんの用意を始め、みんなが手伝った。不思議なことに、メリッサが作る方を手伝っていた。特に気にしていないイポミアに聞いてみよう。


「なんでメリッサが作ってるのにゃ?」

「午前中、少し空いた時間に教わりたいものの話しになって、そのときに教わっていましたよ」

「イポミアは習わなかったのにゃ?」

「私は、かぼちゃプリンを教わる予定です」

「食べたこと有ったにゃ?」

「お客さんから、イチオシと聞きました」

「確かにあれは美味しいにゃ」


良く話を聞くと、クルミ餅も作ったらしい。


「スープ飲みたい人は、飲んで良いわよ。デザートは、イチゴとサクランボのショートケーキがあるわ。スパゲッティのおかわりは、同じものの半人前か、ミートソースの店売りを食べて良いわよ」


ユリの声掛けで、みんな食べ始めた。メリッサが自画自賛しながら食べていて、少し面白かった。なので私も感想を述べておこう。


「グラタンより、熱くなくて食べやすいにゃ」

「おいしー! おいしー!」


キボウはニッコニコで食べていた。聞けば、ホウレン草とベーコンという組み合わせが良かったらしい。


イチゴとサクランボのショートケーキは、材料は変わらなそうなのに、味が違った。サクランボが多いことと、形が丸をカットした三角みたいなこと以外かわりがないように見えるのに、城で食べたケーキの方が、あっさりしていた気がした。2個目だからかなぁ? 後でユリに聞いてみようかな。


食べ終わるとキボウに誘われ、畑を見に行った。


「ユメー、チューリップ、かわかすー」

「知ってるにゃ。球根を掘って乾かすのにゃ」

「うえきばちー、だいじょぶ」

「掘らないのにゃ?」

「あめふらないー、チューリップー、そーこー、しまうー」

「倉庫で大丈夫なのにゃ!?」

「だいじょぶ、だいじょぶー」


倉庫に、植物用品の棚があるので、そこにしまうことにした。120鉢有るので、1回に2鉢ずつ持って60往復かな。ちょっと大変そう。でも、面倒を見る約束で買って貰ったのだから、頑張ろう。


3往復くらいしたとき、ユリとソウがやってきた。


「それ、移動させるのか?」

「雨がかからない場所に、このまま移動らしいにゃ」

「手伝うわ」「手伝うよ」


ユリとソウが、移動を手伝ってくれるらしい。ユリは4個ずつ運び、ソウは6個ずつ運んでいた。しかも、私では届かない高さの棚にもソウは並べられるので、手早く片付いた。


「二人とも、ありがとにゃ!」

「面倒見ろとは言ったけど、こういう大変なのは頼れよな」

「わかったにゃ」


そうか、頼って良かったのか。何だかとても嬉しかった。


「休憩するにゃ?」

「外おやつ用に出すものを出してからね」

「手伝うにゃ」

「手伝うよ」

「てつだうー、てつだうー」


キボウも合流し、今度はみんなでユリを手伝うことにした。

ユリは、数えながら巻巻(まきまき)を避けていた。店で出るだろう予測数らしい。それと、ショートケーキの切り落としの耳が入ったココットと、クルミ餅をカットして、1枚半を外おやつ用に出しにいった。ソウがついていったので、私とキボウは先に休憩することにした。


「キボウ、転移ができない私は、足手まといにならないにゃ?」

「なーにー?」

「3回ともキボウが転移するのに、私がついていっても邪魔にならないにゃ?」

「キボー、ひとりー、さみしー!」


キボウは、私を負担に思ったりはしてないみたい。

良かった。


「一緒に行くにゃ! これからもよろしくにゃ!」

「ヨロシク、ヨロシクー!」


昼休みあけは昨日と違って、無理難題を言う客も来なかった。


今年もよろしくお願いするにゃ!

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