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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇黒猫ユメ◇

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夢の復活

昼食の為にメリッサとイポミアが抜けて、イリスと二人になった。

キボウも手伝ってくれているけど、注文は取れないので、こぼれにくいものを運ぶのを頼んでいる。


私が配膳に加わったのは先程なので、しっかり頑張ろうと思う。午前中は、少しだけ休むつもりでベッドにのびたら、よほど疲れていたのか、目が覚めたら11時を過ぎていた。

何と言うか、一人分の魔力しか使わないはずなのに、転移で物凄く疲れたみたいで、ごっそり魔力が無くなった時のような疲れかただった。


まあ、午前中にたっぷり休んだ分も、しっかり働こうと思う。

あ、向こうのテーブルで、手を振って呼んでいるみたい。


「黒猫様、今日はなぜ、女性か未成年者が居ないと入れないのですか?」

「ユリの考えだとにゃ、喫茶がメインの甘いものを売る店は、女性がたくさん来るイメージらしいにゃ」

「では、本日のおまけは、女性や未成年者の方ではなく、成人男性ということでしょうか?」

「そうだと思うにゃ」

「さすが女王陛下、考えることが我々とは違いますなぁ」


堂々と批判? 何だろう、どういう意味だろう?


「皮肉にゃ?」

「違います、違います。大手を振って(おおでをふって)女性が出歩ける世の中を作ろうという試みとお見受け致しました。私も商売人なのです。両手(もろて)を上げて大賛成です」

「それなら、良かったにゃ」

「女性連れには、値引きや、おまけ付きなど、頑張らせていただきます」

「頑張ってにゃ」

「ありがとうございます」


最近は4人で配膳していたので、2人だと結構忙しい。


「ユメ様ー」

「なんにゃー?」


そばまで行くと、ニコニコした客が話しかけてきた。


「今日のおやつは、再販ですね。又食べたかったので、嬉しいです」


再販? 魚型のお菓子ではないと思うから、ゼリーの方かな? ゼリーなら、クリスマスに色々売っていたときにその中にあったかもしれない。


「ミルクゼリーにゃ?」

「ゼリーもそうですけど、若鮎って、5年前にも売っていましたよね」

「そうなのにゃ?」

「あれ? そういえば、ユメ様は夏くらいからお手伝いしていましたよね。だから知らないのかなぁ。5年前も、6月1日に売っていました」

「教えてくれてありがとうにゃ」


6月の記憶は全く無いや。


入口で、イリスと話している客がいた。もめているわけではなさそうだけど、何だろう? そっとそばに行くと、今日入れない理由をイリスが説明していた。


「ユリ様からは、同じものも出す予定と伺っております」

「絶対にある?」

「売り切れなければとしか。確認して参りましょうか?」

「私が聞いてくるにゃ」

「ユメ様、お願いします」「ユメちゃん、お願い致します」


イリスの代わりに、厨房に確認に行くことにした。


「ユリー、明日出すものは、今日と一緒にゃ?」

「予定では、若鮎はないんだけど、残ったら売るかもしれないわ。あと、バラジャム仕上げは無い予定よ」

「明日はなに売るにゃ?」

「にゃんこ焼きとミルクゼリーは確実で、他に何か作ろうかと今相談しているわ」


名前、にゃんこ焼きになったのか。


「わかったにゃ」


良し、伝えに行こう。

戻ろうとしたら、ユリから頼まれた。お店に来ているコニファーの従業員に、注文を取りに来てくれるよう、伝えてほしいと言うことだった。


私は店に戻り、先にイリスに頼み、コニファーの従業員に、注文を取りに来てほしいとユリが言っていると伝言を頼んだ。そのあと入り口の客に、ユリから言われたことを説明することにした。


「ミルクゼリーはあるにゃ。バラジャム仕上げは無しにゃ。若鮎は、売れ残るならあるにゃ。明日は、形の違う若鮎と同じお菓子、にゃんこ焼きがあるにゃ」

「なんと! では、明日参ります」


お客は、揚々と帰っていった。情報を回すためなのかな?


「ユメ様、今聞こえちゃったんですけど、にゃんこ焼きとはどういう物ですか?」

「さっき食べていた若鮎の、形違いにゃ」

「おー。それは素晴らしい」

「数制限はありますか?」

「ユリとリラがたくさん作ったはずにゃ」

「あー、リラさんは、今日はこちらですか」

「そういえば、そうだにゃ」


当然のように居るから気にしていなかった。


キボウが、物凄くニコニコしながらお店に戻ってきた。いつの間にかいなくなっていたのだ。


「キボウ、何かあったのにゃ?」

「キボー、かっこいー、ソウ、いったー」

「ソウから、格好良いと言われたのにゃ?」

「あたりー」


うーん。何だろう? 考えてもわからないから、後でソウに聞いてみようかな。


「キボウ、どこに行ってたのにゃ?」

「はたけー」

「そういえば、今日は畑に寄らずに出掛けたにゃ」

「さいたー」

「何が最多なのにゃ? にゃ、花が咲いたのにゃ?」

「あおー」

「バタフライピーが咲いているのにゃ?」

「あたりー」

「後で見に行くにゃ!」


休憩時間にユリを誘って、バタフライピーを見に行こうと思った。


もう1時間経ったのか、イポミアが交代に来た。


「ユメちゃん、そろそろお昼の交代です」

「ありがとにゃ。引き継ぎは特に無いにゃ。あとを頼んだにゃ」


メリッサは、イリスと引き継ぎをしていた。注文をして、まだ出ていない料理があったみたい。


私はキボウに声をかけ、厨房へ顔を出した。


「ご飯にゃ?」

「はい。用意できているわ」

「ごはん、ごはんー」


引き継ぎが終わったらしいイリスも来て、エプロンを脱いでいた。


「イリスさん、マーレイさんと別になってしまってごめんなさいね」

「え、そのようなことは、全く問題ありませんので、どうかお気になさらないでください」

「ありがとう」


そういえば、イリス以外は身内ばかりのメンバーだ。ユリは気になったのかもしれない。


作業台2つを使って、私は、イリスとカエンの3人でテーブルを囲んだ。もうひとつに、ユリ、ソウ、キボウ、(よう)がいる。


「カエン、リラは何を作っているのにゃ?」

「ユリ御姉様が、予定の作業は終わっているから、好きなものを作って良いわと、おっしゃっていました」


イリスが、大分不安そうな顔をしていたけれど、大丈夫だと思う。


「ユメちゃん、お疲れは、大丈夫ですか?」

「90分くらい寝たから大丈夫にゃ。ありがとにゃ」


何だかイリスには、私が心配されていたみたい。キボウはそのまま手伝っていたらしいので、余計に心配かけてしまったのだと思う。


リラがなにか思案しながら、ゼリーらしき物を作っているのを眺めていた。すると、食べ終わったらしいユリが、リラに話していた。


「リラちゃん、私は部屋で休憩してくるから、用があったら、以心伝心で呼び掛けてね」

「はーい。誰か訪ねてみえた場合はどうしますか?」

「急用でなければ、待たせて良いわ。手に()えそうになければ呼んでね」

「はーい」


ユリは先に休憩に入ってしまった。


「にゃ、ユリ行っちゃったにゃ」

「ユメ、ユリになにか用があったのか?」

「畑の花を見に行こうと思っていたのにゃ」

「俺で良ければ付き合うぞ?」

「一緒に見に行くにゃ!」

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