表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇私はユメ◇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/575

夢の御握

「急いで!」

「何を?」

「早くしないと・・・時間が・・・」

「何を急ぐの?」

「○○○!」


はっと飛び起きた。

誰かに呼ばれた気がした。


明るいから朝だと思う。


最近夢見が悪くて爽やかに起きられない。

今日の夢は一体なんだろう?


誰かに呼ばれる夢と、なにかを急がせる夢ばかりだ。


そういえば、何時だろう?


この部屋に時計はない。

リビングにいけば有るので、特に困っていない。


今日はどこかへ出掛けたりするのかな?

あ、そういえば、ユリは里帰りするのかな?

ちょっと聞いてこよう。


・・・一緒に行っても良いって、言ってくれるかな・・・。



コンコンコン


「ユリ居るにゃ?」

「はい、どうぞ」


すぐに返事があった。


「どうしたの?お腹すいた?」

「ユリ、里帰りするにゃ?」

「あら、ソウから聞いたの? ユメちゃんはどうする? 一緒に行ってくれる?」


聞く前に、一緒って言われた!!


「一緒に行っても良いにゃ?」

「当たり前じゃない。用事があるなら無理にとは言わないけど、できれば一緒に行きたいと思っているわよ?」

「一緒に行きたいにゃ! 一緒が良いにゃ! ユリ、ありがとにゃ」


良かった!ユリと一緒に行ける!

ユリがニコって笑ってた。


「ソウには言ったの?」

「まだ言ってないにゃ」

「一緒に言いに行きましょう」

「わかったにゃ!」


二人でソウの部屋に行った。


「ソウ、里帰り、3人で行きましょう。それでいつ行く予定?」

「今日は午後ちょっと用事があるから、明日からなら」


ユリがこっちを見た。


「いつでも良いにゃ!」

「なら、明日の朝、ご飯食べたら行きましょう。それで大丈夫?」

「良いよ」


ソウの部屋を出てユリとリビングに行った。


「ユメちゃん、何か食べる?」

「おにぎり食べたいにゃ」

「中身のリクエスト有る?」

「何でも良いにゃ!」

「一時間くらいかかっても大丈夫?」

「大丈夫にゃ! 何か手伝うにゃ?」

「なら、ご飯が炊けてからお手伝いお願いします」

「わかったにゃ!」


部屋に戻り、嬉しさでニコニコした。

ユリもソウも一緒に連れていってくれると言っていた。

わたしには関係ない場所だからと置いて行っても不思議じゃないのに、一緒だと言った。


嬉しい!ユリもソウも大好きだ!

いつも一緒にいてくれる。


あ、ご飯を作るならエプロンをした方が良いかな?

借りているエプロンで良いかな?

エプロンをかぶって着て部屋を出ようとしたところに、ご飯が炊けたとユリが呼びに来た。


ユリは、わたしが作りやすいように、低いテーブルに用意してくれた。


ユリが見本を作って見せてくれた。

濡らした手に塩をつけ三角形にまとめるらしい。


真似して作ってみたけど、ユリみたいに上手に三角にならなかった。

ユリはポンポンと簡単に三角のおにぎりを作っていく。


ユリは何かを持ってきて、薄い透明のそれにご飯をのせて、丸みの有る三角形に薄く伸ばしていた。

ラップフィルムというらしい。

反対向きの三角に具をおいて、角を折りたたんでラップフィルムのまま おにぎりにしていた。


今のなら真似すればできそう!

早速ユリと同じように作ると、ユリが作るみたいなきれいな三角のおにぎりが作れた!

それに、手にもつかないので、作りやすい!


「上手にできたにゃ!」

「良かったわね。そのままでも良いし、海苔を巻いても良いわよ」


ソウが様子を見に来た。


「何やってるの?」

「作ったにゃ! 三角にゃ!」

「ユメが作ったのか? 凄いなちゃんと三角だ」


ソウも誉めてくれた!

頑張っていっぱいおにぎりにするぞ!


うっかりラップフィルムを使わないでおにぎりを作ったけど、最初と違ってちゃんと三角形になった。

ユリが、上達したわねと言って誉めてくれた。



ユリが作った大葉味噌のおにぎりをソウは誉めていた。


「紫蘇の味噌。これ、塗って焼いても旨そうだよな」

「味噌焼おにぎり?」

「うん! 今度作って!」

「良いけど、毎日おにぎり?」

「毎日でも良いにゃ!」

「なら、夕飯は焼きおにぎりとおかずにしましょう」


せっかく覚えたので、忘れないうちに又作りたかった。

おにぎりは、ツナのマヨネーズ和えというのが一番美味しかった。ソウは、「ツナマヨ」と呼んでいた。


お腹もいっぱいになって、のんびりしていると、ソウは出掛けて、ユリはお菓子を作るというので、ユリの手伝いをした。

いつもの黒糖フルーツパウンドケーキと、黒猫クッキーだった。

でも焼けて冷めてもクッキーを渡されなかったので、ユリの分なのかもしれないと思っていた。



しばらくするとユリが部屋に来て、小さな缶を渡された。

何だろうと開けてみると、割れないようにプチプチが入っている中に黒猫クッキーが入っていた。

里帰り中に割れないように入れ物に入れてくれたらしい。

これならリュックに入れても大丈夫そうだ!

ユリは本当にすごい!!

今までは、割れたのは自分で食べていたけど、どうせなら割れていないのを食べたい。



夕飯もおにぎりって言っていたから手伝おう!

そろそろかなと思いリビングに行くと、すぐにユリも来た。


「焼おにぎりの予定だけど、全部焼おにぎりで良いのかしら?」

「ツナのも欲しいにゃ!」

「具は作るから、ツナのおにぎりはユメちゃんが作ってくれるかしら?」

「わかったにゃ! 任せるのにゃ!」


ユリからおにぎりを任された!

頑張るぞー!


ユリは、ご飯を三等分にして一つくれた。

ツナマヨも作ってくれたので、頑張って全部おにぎりにした。

ツナマヨはゆっくり作るとベトベトしてくるので大変だ。

ユリは焼いたり混ぜたり忙しそうだった。


ソウが帰ってきて、夕飯になった。


「うわ!冷凍焼おにぎりにそっくり!」


ソウが、よくわからないことを言っていた。

ユリは意味がわかったのか、わからなかったのか、説明をしていた。


「電子レンジがあれば、『いつでも食べられる焼おにぎり』なのよ。それで、こっちがリクエストの味噌焼おにぎり。こっちはユメちゃんが作ってくれたツナマヨおにぎり。肉じゃがもあるから好きなものを食べてね」


なんと葛切りまでユリは作ってくれた。

久し振りの葛切りは美味しかった!

肉じゃがも美味しかったし、おにぎりは全部美味しかった。


ソウが小声で「電子レンジ持ってくるか」と呟いていた。

次回は10月26日13時の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ