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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

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夢の人数

「ユメー、てつだう?」

「何を手伝うのにゃ?」


キボウが何か頼みたいのか、私を誘ってきた。


「はたけー、えいよー」

「畑に肥料を撒くのにゃ?」

「あたりー!」


朝の世話だけでは足りなかったらしく、休憩に行かずに畑を見に行くことにした。


ドアから出ると、既にたくさん並んでいた。


「ユメ様!」

「何時から並んでいるのにゃ?」

「えーと、9時に家を出たので、こちらについたのは、9時半頃だと思います」

「もう少し待っててにゃ」

「はい!」


忙しそうに券を配っている人の横を通り、キボウと畑にやってきた。


「キボウ、何すれば良いにゃ?」

「これー」


キボウが持ってきた袋の肥料を、指示された量撒いた。

そのあと、その植物の回りに土を集めるよう頼まれ、言われた通りにしておいた。キボウは私の倍くらいのスピードで作業していた。


「おわりー」


帰ろうと思ったけど、待っている人が多すぎて、東からも西からも扉までたどり着かなそう。


「お店のまわり人だらけで通れないにゃ」

「わかったー」


キボウは返事をすると、私を連れ、畑から直接リビングに転移した。


「キボウは凄いのにゃ」

「よかったねー」


なんだか下階が騒がしい。なんだろうとリビングを出て階段を下りようとすると、ユリが部屋から慌てて出て来た。

そうだ、並んでいるのを伝えておこう。


「ユリ、物凄く並んでるにゃ」

「いっぱい、いっぱいー」


するとユリは不思議そうな顔をしてから尋ねてきた。


「ユメちゃんとキボウ君はどこにいたの?」

「畑に行っていたにゃ」

「そうだったのね。世話を任せちゃってごめんね」

「大丈夫にゃ。バタフライピーもローゼルも芽が出て楽しいにゃ!」


植物を育てるのは、本当に楽しい。

外でする作業は、何をやっても楽しいし、初体験なのだ。

記憶の中のルレーブや川井翼は、ほとんど外に出られない生活だった。


ユリは階段を下りていった。ユリが行ったなら見に行かなくて良いかな。

爪に土が入ってしまったので、お風呂場に行って、しっかり洗ってから、私は部屋で少し休み、(まん)()して開店に挑んだ。


5分前に厨房へ行くと、ユリ以外が揃っていた。

また、外のおやつでも出しに行っているのかな?


「おう、ユメ、来たのか。ユリ上にいた?」

「ユリ来てないのにゃ?」

「今日は俺ずっと居たけど、ユリはまだ上だと思うよ」


又、具合でも悪くなってたらどうしよう。そんな心配をしていると、ユリがバタバタと階段を下りてきた。


「あ、ユリ、さっきの注文だけど、土曜日に欲しいらしいよ」

「パープル侯爵の200個?」

「うん、それ」


ユリとソウが話しているので、私は休憩室にあるメニューの板を持って、外のイーゼルに置きに行った。


「開店ですか?」

「もうすぐにゃ」


メリッサとイポミアが、色々持ってお店から出て来た。


「メリッサちゃん、何するんだい?」

「持ち帰りは、ここで販売します」

「なるほど、それで整理券!」


メリッサとイポミアは、整理券を配っている男性二人の横に陣取り、畑へ行く通路を塞ぐかたちで、店の入り口脇に構えていた。


「ハナノ様のお店で働けるなんて、たとえ臨時でも羨ましい」


整理券を配っている男性二人と話している人がいた。


「明日も、募集するんじゃないのかな?人足りないって、ユリ様言ってましたよ」


メリッサの知り合いらしく、メリッサが答えていた。


「ユメ様、メリッサちゃんの話は本当ですか?」

「募集するかはわからないにゃ。でも人が足りないのは本当にゃ」


整理券を配っている男性二人は、何故、今日手伝うことになったのかと詰め寄られていた。どうやら、早くから並んでいたら、手伝いを頼まれたらしく、ユリは開店前まで頼もうと思って声をかけたらしい。そこを、閉店まで手伝いますと申し出て、昼夜飯付きで雇われたと自慢していた。


「明日、早くから並ぶぞ!」

「おー!」「俺もー!」「頑張って来るぞ!」


整理券を配るのって、店の外になるべく並ばないようにするためなんじゃないのかなぁ。あとでユリに報告しておこうかな。


店に戻り、イリスに今あったことを伝えた。


「メリッサに、不用意なことを話さないようにあとで言っておきます」

「頼んだにゃ。私はユリにあとで伝えるにゃ」


すぐに開店の時間になり、私とイリスは忙しく店内の配膳をした。購入のみの客が店内に入らないため、ごちゃごちゃせず、回転が早い。帰るときに渡す持ち帰りも、半鶏丼は袋に入っているものを渡すだけなので、とてもスムーズだった。


「ユメ様、持ち帰り用鶏丼には、大根のビール漬けは付かないのに、販売もないんですか?」

「ソウが作るって言い出して作ったのにゃ。店で出す分くらいしか材料が無かったのにゃ」

「持ち帰り販売がないのはそんな理由なのですね」

「希望が多ければ又売るかもしれないのにゃ。ノートに書くと良いにゃ」

「わかりました。書いておきます!」


こちらの対応がおわり、イリスを見ると、サクラムースの購入数で、無理を言っている人がいた。


「鶏丼は4個と言われたが、サクラムースは聞いていない。是非5個、売って欲しい」


私は急いで厨房へ行き、ユリに尋ねた。


「ユリ、サクラムースの持ち帰りは、何個までにゃ?」

「特に上限は決めていないけど、1時間に100個売るくらいかしらね。でも、ビックリするほどの数でなければ、売って構わないわよ」


急いで店に戻り、声をかけた。


「ユリに聞いてきたにゃ。5個売れば良いのにゃ?」

「黒猫様、お願いできるのですか?」

「大丈夫にゃ」

「1個、2個、4個入りの箱しかないにゃ。箱はどうするにゃ?」

「では、2個と3個に分けてください」

「わかったにゃ。少し待つのにゃ」


私が話している間に、イリスが箱に入れて持ってきてくれた。それを渡し、無事解決した。

私はイリスに、ユリが言ったことを伝え、持ち帰りの合計が、1時間に70個くらいを目安に売ることにした。


「回転が早いのにゃ」

「持ち帰りのみのかたが来ないと、こんなに店内の回転が早かったのですね」

「ユリが人を増やしたい理由が良くわかったのにゃ」


そういえば、イリスが働くとき、ユリはレギュムに、希望は2人と言っていた。それに、以前、ユリの希望の人数を聞いたとき、厨房で3人、店に2~3人と話していた事を思い出した。

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