夢の甘味
またユリがアイスクリームを作ったみたいだ。
俺の分はあるけど、ソウの分は残ってないって話してるときにソウがきた。
流石にかわいそうで分けてやった。
俺、大人だな。
最近、昔の事を良く思い出す。
まだ抜けている記憶は多いが、
最初俺は女の大魔導師だった。
次に能力の無い男の人間だった。
今は幼女に変身する黒猫だ。
前回は何かがぶつかって逝ったなと思った。
大魔導師だった時、どうやって死んだのかわからない。
まあ、ほとんど思い出せないからそんなもんなんだろうけどな。
でも、何か大事なことを忘れている気がする。
今日はユリは出掛けないと言っていた。
せっかくゆっくり寝ていられると思ったのに、誰か外で騒いでいるようだ。
知らない声と、小娘の声が聞こえる。
少ししてユリが見に行った。
なんか外でもめてたが、騒がしかったおばちゃんが帰ったようだ。
小娘は良い子だ。ユリが助けたらしい。
「ユメちゃん、何か食べる?」
ユリが聞いているが、小娘が居るので答えなかった。ユリは要らないと解釈したようだ。
「なにか食べたくなったら教えてねー」
「おー」
「ユメちゃんは頭が良いんですねー」
「そうねー、頼りになるし、すごく頭が良いのよ」
「へへん!」
「そうだぞーって言ってるのかな」
「ふふふ、そうかもしれないわね」
「ユリ様、とっても美味しかったです!ありがとうございます」
「こちらこそ、対応してくれてありがとう」
「なにかお手伝いがあったら是非呼んでください!」
「はい、おねがいしますね」
小娘はニコニコと帰っていった。
ユリが2階に戻ったので、ついていって変身した。
「ユリー、お菓子食べるにゃ」
「何が良いですか?」
「ユリのおすすめで良いにゃ」
「はい、では、出来立て葛切りはいかが?」
「新しいお菓子にゃ?」
「ユメちゃんが、試食初ですね。直ぐ出来るので待っててください」
「待ってるにゃ」
ユリは今から何か作るようだ。
平たい容器に白っぽい液体を入れてお湯に浮かべてた。少ししたらお湯に沈めて、取り出して冷やして切っていた。
半透明な太めの麺みたいなものと、黒蜜ときな粉だった。
「さあ、どうぞ」
この黒蜜をかけて食うんだな?
甘い匂いだ、たっぷりかけよう。
「あ、俺 良いところに来た?」
ソウがちょうど良いところに来た。
狙って来てるのかもしれない。
ユリが作った葛切りは、つるんとして、甘くて旨かった。
黒蜜を好きなだけかけて良いなんて太っ腹だな。
次回7月19日13時予定です。