表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

370/575

夢の割振

無事、キボウがこちらへ来たので、面倒を見ることにした。

ユリは会を始めるらしく、挨拶を始めていた。


「カンパニュラちゃん、スワンシューは、出来立てを食べた方が美味しいので、琥珀糖を先に作っても良いかしら?」

「はい。こはくとうも作りたいです。よろしくおねがいします」


琥珀糖が先なのか。

キボウがやる気らしいので、やり過ぎないように見張ってようかな。


「キボウ、時送りをするまで、誰か手伝うのにゃ?」

「リラー? シッスルー?」

「そうだと思ったにゃ」


私がキボウと相談していると、担当決めで少しもめているみたい。


「シッスルはどうしたいにゃ?」

「ユメ様」

「誰と組みたいとか無いのにゃ?」

「ユリ様のお弟子さんの『リラちゃん』様は、平民というのは本当でございますか?」

「本当にゃ。あと、名前は『リラ』にゃ。ちゃんは名前じゃないにゃ」

「え!ユリ様が、そうお呼びになられていたので、ちゃんまでがお名前なのだと思っておりました」

「ユリは、誰にでも敬称付けで呼ぶのにゃ」


シッスルと話していると、担当が、リラに決まったらしい。


「ユリ様がおっしゃるのでしたら、そう致します」


ラベンダーが納得したようなので、リラがこちらに来た。


「はじめましてシッスル様、私はリラと言います。よろしくお願い致します」

「リラさんが担当で嬉しいです。こちらこそよろしくおねがいしますね」

「シッスルー、よかったねー」

「はい。キボウ様」


ユリのところに挨拶に来ていたメイドたちが、手伝いのため、各テーブルに来た。そのメイドがリラに声をかけた。


「リラさん、今日も頑張りましょう」

「よろしくお願いします。あと、名前はいつも通りでお願いしますね」

「あー、はいはい」


「リラ、何かあったのにゃ?」

「この人は、アルストロメリア会があるときは、計量などを担当するメイドですが、私がこちらでお世話になっていた頃からの知り合いで、私はメイド教育も受けたんです。そのときの教官でした。それなのに、今日ユリ様と部屋に来たときに『リラ様』とか言い出して、私をからかっているので、」

「リラをからかうなんて凄いのにゃ!」

「ユメちゃん、酷いです。あ、今日は、ユメ様ってお呼び致します」

「にゃー。そういう感じにゃ。悪かったにゃ」


確かに、距離を取られたような気がした。

リラは仕返しで言ったわけではなく、立場上、ユメ様と呼ばないと、視線が厳しいと言っていた。まあ、この場だと、私の正体を知っている人の方が多いから、仕方ないかもしれない。


「ユリ!渡すの忘れてた!」


ソウが、ユリを呼んだ。

ユリはすぐに来て、ソウと何か話すと、ソウが鞄から箱入りの物をだし、たくさん渡していた。

運ぶのを手伝おうかなと思い、そばに行くと、お店で使っている、電子(はかり)そっくりに見える。


「なんと、魔鉱石」

「うっそー!」


ソウの返事にユリが驚いていた。


「電子秤にゃ!」


本当に電子秤だった。しかも魔鉱石で動くらしい。


「なーにー?」

「うわー!凄い!」


私とキボウとリラが驚いて騒いだため、全員が見に来たみたい。

それが秤と言われても、どうやって使うのかもわからないので、何かユリが持ち込む謎の物という扱いらしい。

カンパニュラは素直にユリに質問していたけど、他の人は、何を聞けば良いのかすらわからない物だったらしい。


ユリの解説が始まった。


「このボタンを押してから、物をのせます。すると、重さが数字で表示されます。器をのせてからボタンを押すと、器の重さを引いてから量ることができます」


ユリの説明のあと、一旦静まった。

あれ?みんな不思議じゃないのかな?と思って顔を見ると、驚きすぎて、固まっていたらしく、既に電子秤を知っているリラ以外は我に返り、やっと物凄いとわかったらしい。


「ええー!」「魔法!?」「どうなってるのー!」

(わたくし)たちにも使えるのですか!?」


みんなはしばらく騒いでいた。テーブルで器具を揃えていたメイドたちも、こちらを見て固まっていたので、まあ、そうなるよね。と私も思ったのだった。


ユリはソウと、秤の詳細について話していたけど、私はリラから小声で質問されていた。


「ユメちゃん、カナデ様とはサエキ様のことですよね? 私にも作ってくださらないか、ホシミ様に相談しても大丈夫でしょうか?」

「・・・ユリ、リラにもくれると思うにゃ」

「え、そうですか?」


貰えなかったら、リラが直談判に出て、ユリは笑って、ソウは困って、マーレイとイリスがまた謝るのかなぁと、一瞬考えたのだった。


「あ、リラちゃん、ベルフルールに1台持っていく?」

「はい!! ありがとうございます!!」


待ってましたとばかりにリラが返事をしていた。

ユリが少し笑っていたので、私と同じことを思ったのかもしれない。


「アルストロメリア会に11台、ベルフルールに1台、パープル侯爵に1台、こちらの厨房に1台、王宮に1台という割り振りで良いかしら」


ユリの割り振りに、パープル侯爵やハイドランジアが少し質問していたけど、皆が納得するように分けられたみたいで、ほっとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ