夢の食事
カンパニュラの先生は、ブルー公爵の姉であり、現在は侯爵夫人らしい。名前はジムナスターだ。私の事は詳しく知らないらしく、普通に挨拶してきた。わざわざ言うこともないと思い、私も面倒なことは告げずに簡単に挨拶し、カンパニュラの侍女たちに、皿とカトラリーの用意を頼んだ。紅茶も一緒に出してくれるらしい。
「ユメさま、キボウさま、きょうのおやつはなんですか?」
「色々持ってるにゃ。でも、さっきサンダーソニアに、クレープが食べたいと言われて、今作ってもらってきたのにゃ」
「サンダーソニアおねえ、いえ、おばさまもおめしあがりなのですか?」
カンパニュラは、先生をちらっと気にしながら言い直した。
普段は、サンダーソニアお姉様と呼んでいるが、正確には叔母である。
「出かける前に、渡したのにゃ」
「ユメさま、同じものをおねがいします」
「わかったにゃ!」
私は侍女とメイドたちに、リラに作って貰ったクレープを渡した。
「ユメ様、残りの3つは、どうされますか?」
王妃に持って行くかと言う意味で聞かれた。
「足りないけどにゃ、皆で食べて良いにゃ」
「ありがとうございます」
2つを侍女たちで分け、1つをメイドたちで分けるらしい。
昨日もクレープだったので、部屋で食べちゃって良いと思う。
テーブルに戻ると、皿に盛り付けて運ばれてきた。
「ユメ様、こちらはなんでございますか?」
カンパニュラの先生の、ジムナスターが質問してきた。
「中に苺が入ったクレープにゃ」
「この、紙のような物ごと頂くのでございますか?」
「紙みたいな部分がクレープにゃ」
ジムナスターは驚いたらしく、少し固まっていた。
ユメとキボウが手をつけると、カンパニュラとジムナスターも、ナイフを持って食べ始めた。
「いちご、いちご!」
「キボウさまは、いちごがおすきなのですか?」
「いちご、おいしー!」
キボウとカンパニュラで、会話が成立しているらしい。
「これは、苺なのでございますか!?」
カンパニュラの会話を聞いてジムナスターが驚いていた。
成る程、この人も、向こうの苺を初めて食べた人なのか。
「カンパニュラ様、大変楽しみにされていた理由がよくわかりました。これは本当に素晴らしいおやつでございますね」
「いつもユリさまが、おいしいおやつを作ってくださって、ユメさまとキボウさまがとどけてくださいます」
カンパニュラは、ニコニコと答えていた。
「今日のは、リラが作ったのにゃ」
「リラちゃんですか? わたしはおぼえていないのですが、おしろにいたこともあるそうですね」
「ユリが居なかった間に、各地を回ったらしいのにゃ」
「あの、そのリラちゃんとは、平民の料理人の少女でございますか?」
「そうにゃ!各侯爵家を回ったと思うにゃ」
ジムナスターは思うところがあったのか、その後黙りこんでしまった。
カンパニュラの勉強は、今日の残りは午後かららしい。
ジムナスターは帰り際に、カンパニュラを誉めていた。適度な会話と美しい所作で食べ方の合格点が出たようだ。
おやつを食べ、少し休んでから家に戻ることにした。
「又来るにゃー」
「おまちしてます」
転移で家に戻ると、全員揃っていた。なんと店のテーブルには、勉強しているのかシィスルとマリーゴールドまでいた。
ユリに、おかえりなさいと声をかけられ、リラにクレープのお礼を言っておいた。
なにか手伝うことあるかな?と思い、キョロキョロしてみたけど、みんな違うことをしているので、何を手伝えば良いかわからず、ユリに聞こうと思ったら、ユリはお店にいっていた。
「リラ、なにか手伝うことあるにゃ?」
「レモンマーマレードを、作ることになりました。レモンを刻むか、瓶を洗うかですかね」
「瓶、届いたのにゃ?」
「ホシミ様が、ジャムの瓶とお寿司の入れ物を買ってこられたみたいですよ」
昨日の今日で、揃えたらしい。ソウは仕事が早いなと感心した。
瓶をソウに聞いて洗っていると、誰か着たらしい。一緒に洗っていたソウが、私に様子を見にいってくれと頼むので、お店を覗きにいった。ソウが行くと、怖がる人が多いかららしい。
又、ユリに平伏している人が来ていた。
ユリは手早く説明し、白衣の有無で見分けるように促していた。
「以前と同じ器でよろしいのでしょうか?」
「はい。同じ持ち帰り用の鶏丼を販売するので、あるだけください。とりあえず150位有ると、販売が開始できます」
「小皿もお使いになられますか?」
「それも購入するので、相応の代金を請求してください」
「かしこまりました。本日、器を500、小皿を1000お持ちしております。こちらで納品させていただきますので、どなたか立ち会いをお願い致します」
「私が行くにゃ!」
倉庫の立ち会いを申し出て、内倉庫に連れていった。
以前は中に入れなかったのを、少しだけ入れるように変えたらしく、中まで荷物を運んで貰った。
「久しぶりにゃ。なんで来なかったのにゃ?」
「再開されて、ランチ営業を取り止めになったと伺っております」
「軽食は出してるにゃ」
「おやつだけではないのですね」
「軽食、食べるにゃ?」
「あまり軽いものだけだと、お腹が空くので」
「働いている人、そうだにゃー。ちょっとユリに聞いて来るにゃ」
私はユリに、今の会話を説明し、なにか出せないか聞いてみた。
「皆のお昼ご飯と同じ、とろけるチキンカレーなら、出しても良いわよ。鞄に入れる保存食用に多めに作っているから、食べて行ったら良いわ」
「伝えてくるにゃ!」
急いで、外回りで内倉庫に戻り、声をかけた。
「ユリが、皆のお昼ご飯と同じ、とろけるチキンカレーを出せるって言ってるにゃ!」
「本当ですか!? 是非、ご相伴に預かりたいです!」
はっと気づき、内回りで倉庫から出て、ユリに伝えにいった。
「ユリ!喜んでたにゃ!食べたいって言ってるにゃ!」
ユリに伝えると、用意すると言っていた。
「ユメちゃん、マーレイさんがサラダの用意をしているから、2人前増やすように伝えておいてね」
「わかったにゃ!」
マーレイにサラダを増やしてくれるように頼み、ココナツ食器店の二人に、店のテーブルで待つように伝えた。




