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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

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夢の虹色

リラと別れてお店に戻ってくると、お昼ご飯が用意されていた。


あ!シィスルに声をかけられたのに、今日のケーキ作らなかった!

私が残念に思っていると、まだゼリーが盛り付けていない、カットしたクレープだけがのっている皿を、シィスルが渡してくれた。


「ユメ様、仕上げ残しておきましたけど、作りますか?」

「ありがとにゃ! 見本を見せてにゃ」

「こちらをどうぞ」


一皿見せてくれたので、ゼリーを同じように盛り付けた。

クレープの虹と、(そら)を模した青色のゼリーと雲を模したミルクゼリーが映えて、綺麗だ。


あとで聞いたら、ほとんど全員が、自分の分を仕上げたらしい。キボウまで作ったようで、作らなかったのはソウだけなのだそうだ。


ご飯のあと、自分で作った虹のミルクレープを食べてみた。

さっぱりした空のゼリー、優しい甘さの雲のミルクゼリー、そして、虹色のミルクレープは生クリームたっぷりで、とても美味しかった。


私が虹のミルクレープを食べている時、ユリがうろうろしていたので、何しているのかな?と見ていたら、ソウが花瓶を渡していた。どうやら花瓶を探していたらしい。


花がたくさんで店中花だらけだし、花瓶が足りないのかと気がついた。でもソウによると、花を持ち込むのは、関係者だけだそうで、来る人来る人、花束を持ってくる訳じゃないと言っていた。


「ユリ様、リラさんから預かったものですが、こちらをどうぞ」


シィスルが、ユリに何か小さいものを渡していた。カードのように見える。

私のところからは良く見えなかったので、そばまで見に行った。


「うわ!凄い! これリラちゃんが作ったの?」

「クレープの上に模様を描くのに使うと話していました」


絵を描く道具なの?


「凄過ぎるわ!」

「リラさんって、本当に器用ですね」

「羨ましいわよね」

「はい」


本当になんだろう?


「ユリ、私にも見せてにゃ」

「ユメちゃん、どうぞ」


ユリが渡してくれたのは、たくさんの穴が空いた板だった。

あ、猫形もある!

この板は、どうやって使うのかな? 何に使うのかな?


「どうやって使うのにゃ?」

「粉糖やココアを振るうと、模様になるのよ」


影絵風なのか!


「成る程にゃー。ユリ、何色(なにいろ)の粉をかけるのにゃ?」

「何色? あ、そうね!何か色をつけたら素敵ね」


黒猫はココアで良いとしても、花っぽいのは、素敵な色があった方が良いと思う。


シィスルは冷蔵庫から、半分と、1/4(よんぶんのいち)にカットされた虹のミルクレープを持ってきた。

ユリは何か袋を持ってきて、ニコニコしている。


茶漉しに水色に見える粉を入れ、1/4のケーキの上に、リラが作った板を置き、粉を振るって模様を浮かび上がらせた。


私の後ろには、イリスやメリッサもいたらしく、凄いとか、綺麗とか、声を漏らしていた。

本当に綺麗だ。赤い色のクレープの上に、花の模様がついた。


半分サイズのケーキはどうするのかな?と見ていたら、薄い水色の花と、ココアで黒猫を描いていた。

黒猫がとっても可愛い!


「ユリ様、これは粉糖ですか?」

「これは『泣かない粉糖』といって、コーンスターチが少し多めに入った色つき粉糖です。シィスルちゃんが作るなら、教えたラムネの作り方で、重曹やクエン酸を加えずに作れば良いと思います」


色のついた粉は、何か特殊な粉糖らしく、ユリはシィスルに作り方を説明していた。

あとで聞いたら、粉糖のみで模様を描くと、寒暖差で結露などして水分を含んだときに、模様が消えてしまうらしい。


黒猫も描かれてとても素敵になった。

私はお客に自慢することにしよう! 楽しみだな。


何かに気がついたらしく、お店を見に行ったメリッサが、ユリを呼びに来た。


「ユリ様、貴族の方が見えています」

「あら、どなたかしら?」


私もついていった。外は予想通り凄い行列だ。


「又、並んでるにゃ」


「ユリ様!開店記念日、おめでとうございます!」

「ありがとう、ラベンダーさん。お一人?の訳無いわよね」


メリッサが言った貴族とは、ラベンダーのことらしい。確かに、護衛の騎士しか回りにいない。

すると、ラベンダーの夫や、パープル侯爵一家も顔を見せた。単に、馬車から先に来ただけのようだ。


私は安心して厨房へ戻り、黒猫のココアを作ってみたいとシィスルと話していたら、ユリはすぐに戻ってきた。急いで、虹のミルクレープを仕上げして、ラベンダーたちに持ち帰りを渡したみたい。


ユリにココアを振るって良いか聞こうと思って店に行くと、ユリは受け取った荷物を開封していた。

風呂敷のような大きな布で包まれている。


包みを解くと、大きな絵が出てきた。()いたものではなく、刺繍で(えが)いた作品のようだ。


「うわー!素敵ねー!」

「凄いにゃ。これは誰からなのにゃ?」

「ローズマリーさんとマーガレットちゃんから渡されたから、」


そう言いながらユリは額縁を見て気がついたらしい。


「これは、アルストロメリア会からのお祝いみたい」


ローズマリーが構図を考えたのかな? 新種の青いアルストロメリアも描かれている。


「青いアルストロメリアも、ちゃんと入ってるにゃ」

「凄いわね。新種だって言っていたのに、良くご存じだったわね」


あ、そうか、ユリに話していないから知らないのか。

私は、青いアルストロメリアをローズマリーに見せた経緯と、店名の話をしたことをユリに説明した。


ユリはニコニコと笑って聞いていたので、ローズマリーに話しても良かったんだと思う。


次に来たのは、イトウだった。

何か変な造花を持っている。花びらが一枚ずつ違う色のバラみたいな花。


なんとこれ、生花(せいか)らしい。

バラって、こんな種類の色の花があったの?

私が驚いていると、ユリが解説してくれた。


「切り花染色材を使って、茎の下をいくつかに切り分けて色水を吸水させるんですよね」

「良くご存じで!」


へえ。生花だけど、作り物なんだ。

どうせなら、青いバラとかにすれば綺麗で良かったのに。

(薔薇(バラ)は花の色の種類が多いですが、青や黒は自然界には存在しないそうです)


イトウとほぼ同時に来たらしい広報紙の人は、出されたお昼ご飯を食べたあと、お店に残ったまま取材をするとかで、ユリに許可をとっていた。すでにユリは仕事に戻ってしまったので、ソウが連絡事項を伝えていた。


今日もお昼休みがなかったみたい。

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