夢の折紙
参加者に大人が多いので、カンパニュラにはテーブルに移ってもらった。
「前に教えた『鶴』は、折れるようになったにゃ?」
「はい!」
カンパニュラが返事をし、その他のメンバーも頷いていた。
「テーブルなしで、空中で折れるようになったにゃ?」
「はい!」
カンパニュラは返事をしたけど、細かく首を振って、無理だとアピールしている人が多かった。
「空中で折れる人にだけ教えるにゃ」
「あ、あの、できるところまでご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
「構わないにゃ。空中で折れないと仕上がらないのは、2個目に作る花の最後の方にゃ」
私は立体の花を教えることにした。まずは比較的簡単な向日葵を。
「15cmそのままの大きさの黄色と、1/4サイズの茶色を用意するのにゃ。なければ、好きな色で良いにゃ」
黄色の折り紙と茶色の折り紙を、対角線に跡をつけ、綺麗に中心に重なるように糊付けする。
私はスティック糊を出し、貼りつけて見せた。
「まあ!なんと便利な!」
「ユメ様、こちらの棒状の糊は、注文することは可能でございますか?」
「スティック糊にゃ? ソウに頼めば買ってきてくれると思うにゃ」
何だか関係無いところを、皆が注目していた。
「カンパニュラに渡した中に、入ってなかったのにゃ?」
「あ!ございました!何に使う物かわからず、しまってございます」
急いで取りに行ったらしく、侍女に指示されたメイドが走って戻ってきた。
室内に立っている女性騎士が、珍しくメイドに声をかけていた。
「ユメー、キボー、なーい」
「キボウのは家にあるのにゃ?これを使って良いにゃ」
「いえー、あるー」
私はキボウにだけ貸し、皆は、カンパニュラのを使っていた。向かいに座っているので、貸すには遠すぎるのだ。
立体向日葵は、鶴が折れるなら、折方自体はそんなに難しくない。
最後に広げるところだけ思いきりとコツがいる。
私は少しゆっくり教えながら折り、隣のキボウは違うものを作っていた。
手順は多いけど、難しい所はさほど無いので、ほぼ全員が、開く直前まで折ることができた。
「ここまで折れたら、あとは開くだけにゃ」
少しずつ引っ張り出すようにして、花びらを広げていった。
「うわぁ」「凄ーい」「な、なんで」
花が開いていくと、段々向日葵らしくなり、みんなの歓声が上がった。
「うわー!」
「おはなになったー!」
「おはなー、おはなー」
「みんなも開いてみてにゃ」
思い切りが良すぎて、破った人が一人いたけど、ほとんどの人が、綺麗な花になった。
「ユメさまー! できましたー!」
カンパニュラの向日葵が綺麗に開いていた。
外側を紫、真ん中を白にしたサンダーソニアが、できたとカンパニュラに見せていた。
「サンダーソニアおねえさま、ちがうおはなみたいで、おもしろいです!」
「カンパニュラ様、どこかに飾りますか?」
「このまま、みていただきたいですね」
誰とは言わなかったけど、メイプルとアネモネにだろうと思われる。
少し切なくなって、私はみんなに聞こえないようにキボウに聞いた。
「キボウ、カンパニュラが作った花の折り紙を預かって、メイプルに見せてこられるにゃ?」
「いーよー」
キボウが頼まれてくれるらしいので、私は話を切り出した。
「カンパニュラ、キボウに頼んで、見てもらってくるにゃ?」
「いいのですか!?」
「いーよー!」
側にいた侍女らしき女性が、小さな箱を持ってきた。
「カンパニュラ様、こちらに入れられてはいかがでしょうか?」
「ありがとう」
横にいたサンダーソニアが、手紙を書いて添えていた。
「ユメ様、お持ちになられたお菓子を、お出ししてもよろしいでしょうか?」
「お茶の時間にゃ?」
「はい」
「頼んだにゃ!」
紅茶と一緒に、オムレットが提供された。
ユリはそのまま噛っても良いと言っていたけれど、カトラリーを添え、皿にのせられていた。
ナイフで切ると、柔らかく、スッと切れた。
一口に分けて食べてみた。なんだか懐かしい気がする味のお菓子だった。
「この中身、もしや、バナナではございませんか!?」
「バナナが入ってるにゃ。ユリが説明してくれたにゃ。外側から、クレープの皮、カスタードクリーム、ケーキのスポンジ、生クリーム、バナナなのにゃ。名前は『オムレット』にゃ」
「バナナとは、このような美味しいものだったのでございますね」
「ユメさま、とてもおいしいです!」
あれ?もしかして、このバナナって、キボウが採ったものかな?
「キボウ、このバナナは、キボウが収穫したバナナにゃ?」
「わかんなーい」
でも、今までバナナが大量に出てきたことはなかったし、お店でも見かけたことがないから、ソウが買ってきたものではないと思う。それに、確かにとても美味しい。
少し謎なまま、おやつが終了した。




