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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇少女ユメ◇

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夢の三葉

良い匂いに起こされた。

バターのお菓子を焼いている匂いがする。


ふらふらーと階段を降りて、厨房に顔を出した。


「良い匂いがするにゃ」

「ユメちゃんおはようございます」

「おはようにゃ」

「おはよう、ユメちゃん」

「何作ってるにゃ?」

「ミニリーフパイよ。リラちゃんにもらって味見して良いわよ」


ユリの声が明るい!

リラが、ユリが言ったお菓子を渡してくれた。

ミニリーフパイと言うらしい。


「ありがとにゃ」


お砂糖がくっついていて、軽いクッキーみたいだ。

早速食べてみる。

サクッと軽い口当たりで美味しい。


「サックサク美味しいにゃ!」

「パイの焼きたては美味しいわよね」


ユリがニコニコしていた。

クッキーと少し違って、軽くて美味しい!

よし!これは手伝おう!


「エプロン着てくるにゃ!」


リラに作り方を教わると、できたお菓子は葉っぱ型なのに、クッキーの抜き型は丸っこい花型だった。

しかも、クッキーくらいの厚さの生地をさらに薄く伸ばすのに、焼き上がると厚みができて、サックサクになる。

おもしろい!

お砂糖をつけながら伸ばすのも面白かった。


葉っぱに見えるように入れる切り込みが大きすぎて左右が別れてしまった分は、ユリが食べて良いと言っている。

最初はいっぱい失敗したけど、作っている内に上手になっていったようで失敗が減った。


ランチのお客が来る前に予定数はできたと言われた。


「イチゴの混ざったアイスクリームの方に挟むようにリーフパイをつけてください。ブルーベリーの方には抹茶クッキーの葉っぱをつけてください」


ユリがミニリーフパイの使い方を説明していた。

今日のアイスは葉っぱが3枚もあってなんだか凄いな。

でも持ちかえり分は無しって言っていた。

ユリに聞いたら、持って帰ると葉っぱのパイが、サクサクしなくなるかららしい。


ランチの手伝いをして、あとは片付けだけになった頃、リラはユリに声をかけられていた。

今日は、いつもより早くから仕事をしていたらしい。

少し早く休憩に入るリラと入れ替わりでソウが帰ってきた。

ソウはすぐにアイスを作り始めた。


洗うのはしなくて良いと言われているからお客が食べ終わった食器を洗うところに運んで来た。

お店の方はだいたい片付いたのでみんなに声をかけた。


「お客さん全部帰ったにゃ。ご飯にするにゃ!」

「ユメちゃんありがとう」


ユリが残っている食器を片付けて、ごはんを4人分用意した。


「ユメちゃん、リラちゃんを呼んできてもらえる?」

「わかったにゃ」


休憩室に、リラを呼びに行った。


「リラ、ごはんなのにゃ」

「ユメちゃん、ありがとうございます」


リラは花の本を見て絵を描いているみたいだった。

ごはんの時間なのに食べはじめてもマーレイさんはこなかった。


「リラちゃん、マーレイさんは今日はランチに来ないの?」

「特に何も聞いていません」

「なら、残しておきましょう」



昼休みから戻ると、ユリがソウに怒られていた。

休まないでずっとなにか作っていたらしい。

でもユリは元気いっぱいに見えたし、なんだかニコニコしている。


お店がおやつの時間になって、ユリがお店にいると言うので、ソウのアイスを手伝った。

少しして、マーレイさんが来た。

珍しく、背中を丸めてぐったりしていた。


リラに教えてこよう。


「リラ、マーレイさん来たけど、ぐったりしてるにゃ」

「え!そうなんですか!?ユメちゃんありがとうございます。様子見に行きます」


リラを呼んでくると、マーレイさんにどうしたのかと聞いていた。


リラが話を聞いて説明してくれた。黒蜜が欲しい人に追いかけられたって。

黒蜜はみんな欲しいからきっと大変だったんだな。


話を聞いたソウが気の毒そうに声をかけていた。


そのあとマーレイさんが、黒蜜代をユリに払うとユリは「8掛けで良いわ」と言って、マーレイさんが驚いていた。


「はちがけって何にゃ?」

「仕入れ代が、売値の80%って意味よ。つまり400☆ね。あ、マーレイさんはちゃんと500☆で売るのよ?継続的に売るなら7掛けよ」


いっぱい買うと安くなるのかな?

いっぱい売ると安くなるのかな?

お店って難しいなぁ。


マーレイさんはごはんを食べてから手伝うらしい。ユリに、ごはんのあとは30分は休まなきゃダメよと言われていた。


お店を見たり、アイスの詰め込みを手伝ったり、いつもと同じような気もするけど、でも今日はなんだかゆっくりな感じだ。

不思議に思ってユリに聞くと、パイを焼いているからクッキーを焼けないのよ。と言う。

いつもはクッキーが忙しいのかな?


そのうちリラが帰ってきてミニリーフパイを作り始めたので手伝おうと思ったけど、ユリがなにか作っているからお店を見ることにした。


お店では、持ちかえり分がない説明が結構大変だった。


「どうしてもダメですか?」

「もちかえると、サクサクがダメになるにゃ。美味しくないのは悲しくなるにゃ」

「うーん。なら、このサクサクのパイだけを売ってもらうことはできますか?」

「聞いてくるにゃ」


厨房に聞きに来た。


「ユリ、リーフパイだけ売って欲しいって言ってるにゃ」

「え、うーん。あまり生地に余分がないから1人1枚くらいなら・・・リラちゃん、大きいリーフパイ作れる?」

「はい!作ってみます。何枚ですか?」

「聞いてくるにゃ」


お店に聞きに戻ってきた。


「大きいリーフパイ1人1枚にゃ」

「なら、4枚ください」

「こっちも2枚お願いします」

「3枚、いや4枚ください」

「全部で何枚にゃ?・・・9?13?」

「今聞こえたのだと合計10枚ですよ」

「わかったにゃ。ありがとにゃ」


厨房に行って、10枚と伝えてきた。

すぐにできたけど、もうパイ生地がないから大きいリーフパイの追加も作れないと言っていた。


片付けるものを持っていくと、リラが黒猫クッキーを作っていた。冷めたら持っていって良いらしい。100枚作ると言っていた。


このあとも、大きいリーフパイが欲しいと言う人が何人もいたけど、黒猫クッキーしかないと言うと、今度は黒猫クッキーを欲しがった。

相変わらず、誰も値段を聞いてこなかった。

ポケットが少し重たい。



お客が全員帰ってもアイスは終わっていなかった。

詰め込みを手伝い、リラのクッキーを手伝い、洗い物の片付けも手伝った。


ユリがごはんを作りに行ったので、少し見に行ったけど、もう一度同じものを作ると言ったので、見るのをやめて冷茶を用意した。


ちょうどアイスを詰めていたので手伝った。

ごはんができたので片付けをあとにして食べることになった。


「食べるにゃー!」


ソウとユリが話し込んでいるので、冷めないうちに食べようと声をかけた。


食べはじめても、ソウはユリに色々聞いていた。


「チャーシュー丼は出したいなぁって思っているのよ」

「旨そうだな」

「食べるにゃ!」

「今度先に賄いで出すわね。あとは焼売(しゅうまい)を作りたいけど、蒸す時間があるものは難しいわね。材料的にも揃わないのよね」


何か足りないらしい。

ユリが作るものは美味しいから、作れるなら食べてみたいな。


「さて、片付けをするか!」


ソウが声をかけて、みんなも残っている片付けを始めた。

アイス箱とデッシャーとスプーンを洗って片付けて解散になった。


「明日もよろしくお願いします」


ユリが最後に挨拶をした。



しばらくしてもユリが2階来ないので、探しに来てみた。

ユリは外倉庫で段ボール箱をいくつも開けていた。


「あったー!」

「何があったにゃ?」


ユリが楽しそうに声をあげたので聞いてみた。


「ユメちゃん、これ、パフェグラスと、サンデーカップと・・・パフェスプーンはどこかしら?」


そのカップのスプーンなら長いのかな?


「長いスプーンにゃ?」

「そうそう、どこかで見た?」

「カトラリーの引き出しの奥にあったにゃ」

「ありがとう!」


今までお店で使わなかったお菓子の容器なのかな?


「何作るにゃ?」

「パフェを作る予定よ」


明日、教えるお菓子かな?

わからないけど美味しそうだ!


「ついていくにゃ!」

「ユメちゃんいつもありがとう」


この後ユリは色々作っていた。

銀色のカップにプリン、ガラスのピッチャーに色々なシロップ、あと、コーンフレーク。


「あ!そうだ!コーンフレーク!」


「何作るにゃ?」

「とうもろこしを使って、お煎餅みたいなお菓子よ」


潰したとうもろこしを、クッキーを焼く鉄板に紙を敷いてペタペタと伸ばすらしいので手伝った。

薄く伸ばしたものを釜で焼いていると、ソウが見に来た。


「二人で何作ってるの?」

「コーンフレークにゃ」

「え!コーンフレークって、作れるの!?」

「あの見た目にはならないけど できるわよ」


ユリは鉄板の様子を見ながら、回転させたり場所を移動させたりしていた。


そのまま乾かすと言うので、できたら見せてもらうことにして今日は寝ることになった。

次回は10月13日13時の予定です。

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