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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇少女ユメ◇

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夢の黒蜜

起きてすぐリビングに行った。

起きたばかりらしいユリが、珍しく寝巻きのまま立っていた。

ごはんが用意してあるけど、ソウが作ったみたいだ。


「おはようにゃ」

「お、ユメ、おはよう。朝食食べるか?」

「要らないにゃ・・・ユリ大丈夫にゃ?」

「ユメちゃんおはよう。もう大丈夫よ。ありがとう」


昨日よりユリの顔色が良かった。

しっかり休めたみたいだ。


「朝から手伝うにゃ!」

「俺も朝から手伝うぞ!10:00頃からだけど」

「え、二人とも大丈夫なの?用事はないの?」

「大丈夫にゃ!」

「俺はもともと休み」

「どうもありがとう。頼りにしているわ」


ユリが元気になったみたいで良かった!

ソウも嬉しそうだった。


ユリと一緒に厨房に行き、黒糖フルーツパウンドケーキと、クッキーを作った。

量るのを手伝ったけど、作るのは物凄く難しそうだった。

ごはんよりも作れそうにない。

ユリは、機械で作った方が簡単よと言っていた。

でも、機械もよく分からない。


葉っぱクッキーを手伝っている時にリラが来た。

リラもユリを心配していた。


少しすると、リラが大きい黄色い箱を持って来た。


「ユリ様、何か入ってました」


リラが箱を開けて見せるとユリがプチプチと言った。

どうやらクッキーを運ぶときに使えるらしい。

少しさわってみると、柔らかかった。

ユリがこれを切ると言うので、手伝うことにした。

箱を洗ったリラも切ってみたいと言うので、一緒に切ることにした。


ユリに頼まれた枚数切れたので、リラと一緒にクッキーを作ることにした。



ユリが料理をしているとき、マーレイさんが野菜と袋をもって来て、ユリに何か謝っていた。

ユリは、マーレイさんからその袋を受けとると喜んですりつぶし始めた。なんか赤っぽい粉ができた。

そのあと、マーレイさんが引き継いで、全部粉にしていた。あれが昨日言っていた赤い野菜らしい。


ソウが来て、その野菜の話をしていた。スヴョークラというらしい。


「アイスは何作るの?」

「抹茶と、黒蜜胡桃(くるみ)バニラよ」


ソウはアイスを作るらしい。

でも、ソースができていなくて、先に黒糖胡桃を作るようなことを言っている。


「ユリ様、普通のリラの華終わりました!ネモフィラクッキー作ります!」

「はい、お願いします」


引き続き、リラの手伝いでネモフィラクッキーを作った。

ユリはクッキーを焼きながらアイスのソースと料理を作っていた。

アイスのソースが出来上がると、マーレイさんがソウを手伝ってアイスを作り始めた。


「あ、ゴマが足りない」

「探してくるにゃ」

「ユメちゃんありがとうございます」


リラはクッキーを作っていた方が良いと思い、胡麻を探すことにした。


「ユリ、胡麻どこに有るにゃ?」

「内倉庫の棚に有ります」

「取ってくるにゃ」

「お願いします」


休憩室の奥の内倉庫に来たら、胡麻はすぐに見つかった。一袋だけ持って来た。

リラに渡すと、袋を開け小皿に出していた。

なにか液体を竹串につけて胡麻を取っていた。


「リラ、竹串に付けたのは何にゃ?」

「これは卵白です。クッキーにゴマをのせただけだと剥がれちゃうので、卵白でくっつけるそうです」

「ユリから聞いたのにゃ?」

「そうです!」


ユリもリラも凄いなぁ。

感心しているとユリから呼ばれた。


「そろそろランチね。ユメちゃんお願いしても良い?」

「わかったにゃ」


手早く片付けてランチのプレートを出しに行った。


「ユリ様、アングレーズソース作っても良いですか?」

「助かるわ。お願いします」


リラもクッキーを止めて、違うのを作るらしい。

クッキーは、急ぎじゃないのかな?

あ!そうか、クッキーをユリが焼けなくなるからか!


ランチ自体はみんなが手伝って運んでくれたので、注文や持ち帰りを主に頑張った。

アイスのチョコ胡桃はすぐに売り切れて、追加をソウが作るらしい。


食べ終わって帰る人がいっぱいいるので、トレーの上のお金を回収したり、片付けたりしていると、厨房ではユリがなにか作っていた。

なんか真っ赤ななにかだった。クッキー生地らしい。リラは喜んでいた。



みんなでごはんを食べて、休憩に行く前にユリが黒蜜をくれた!

ユリはみんなに渡していたけど、なんと、そのまま飲むと思われていたらしい。

さすがにそのままは飲まない。お菓子にかけて食べようとは思っていたけど。

まあ、少しはそのまま舐めようと思っていたけど、少しだけだ。


「ま、とりあえず、全員休憩な」


ソウが宣言して休憩になった。


ユリが2階に行った後、ソウはココットを洗っている。

思わず突っ込むと、リラが手伝うと言い出した。


「ユリ言ってたにゃ『リラちゃんが真似したらどうするにゃ!』ってにゃ」


「どうする『にゃ』とは言ってなかったけどな」

「何か言ったにゃ?」

「いや、何も」

「ユリに言って、三つ葉ご飯にしてもらうにゃ!」

「うわー、まずそ」


結局、リラが後で洗うことになったらしい。

ソウもいなくなったので、やってみたかったことを早速実行した。


冷蔵庫からお茶を持ってきて、黒蜜をいれてかき混ぜてから飲んでみた。リラも真似するみたいだ。


「美味しくなった!」

「美味しいにゃー」


予想通り、とても美味しかった!

そういえば、いろんなクッキーがあるのに黒糖味は見たことがない。


「クッキーは黒糖無いにゃ?」

「そういえば無いですね」

「有ったら美味しいにゃ」

「ユリ様に聞いてみましょうか?」

「そうするにゃ」


リラとクッキーの話をしていると、ユリが降りてきた。


「ユリまだ早いにゃ」

「うん、ちょっと気になることがあってね」


ユリは冷蔵庫を開けてなにか探しているみたいだった。


「冷蔵庫にゃ?」

「さっき、黒蜜を取ったときに、やけに暗く見えたのはなんでかなって・・・あ、やっぱり」

「どうしたにゃ?」

「漏れてるのがあるわ」


そう言ってユリはトレーを出した。

見るとトレーいっぱいに黒蜜が漏れていた。


ユリは漏れている容器を探すためか、一つずつ持ち上げている。


「無いわねぇ?」

「ユリ様、これこっちにヒビが見えます」

「ありがとう!」


まず、リラが発見した。

ああいうのか。あ、これも黒い線がある。


「ユリ、これもダメにゃ」


発見してユリに手渡した。


「大丈夫なのを洗うか拭くかしないとダメね」


ユリは濡れ布巾で容器の底を拭いているので、一緒に手伝った。

汚れがひどいのは洗った。


「二人とも、休み時間なのにごめんなさいね。どうもありがとう」

「ユリ、この漏れた容器はどうするにゃ?」

「確実に処分ね」


ソウとマーレイさんが帰ってきた。


「あー!仕事してる!」


ソウが騒いで、あー、少しめんどくさいと思った。


「漏れてたのにゃ」

「漏れてたのよ」

「漏れてました」


「そ、そうか、漏れてたのか・・・?」


ソウはそれ以上言わなかった。

でも納得していない感じだったけど。



おやつ時間のお店が始まるとすぐにいっぱいになった。


「あ、あの、真冬箱持ってきてないんですが、走って帰るんでアイスクリーム売ってください!」

「溶けるから無理にゃ」

「そこをなんとか」

「美味しくなくなるにゃ」

「そこは走りますんで!」

「溶けたら美味しくないにゃ」

「どうしてもダメですか?」

「聞いてくるにゃ」


あまりにしつこいので、ソウに助けを求めに行った。


「ソウ、真冬箱無いから走って帰るからアイス売ってくれって言われたにゃ。断ってもしつこいにゃ」

「あー、俺が断ってくるよ」

「ソウありがとにゃ」


「誠に申し訳ありませんが、販売の最低条件が、真冬箱の持参です。どうか次の機会をご利用ください」

「は、はい!申し訳ありませんでした!!」


ソウは丁寧に言っていたけど、さっきの客は怖がって逃げるように帰っていった。

ソウの事が怖いの?


うーん。ソウって怖いのかなぁ?


この客以外変な人は来なかったので、困ることはなかった。


アイスの追加を出したり、お茶を頼まれたり、ユリが元気か聞かれたり、お仕事を頑張った。


ユリが呼びに来た。


「ユメちゃん、少し休んでね。この2日間無理させたわね。どうもありがとう」

「ネモフィラクッキーできたのにゃ?」

「315個、箱に詰めたわ。弾いたのは食べて良いわよ」

「わかったにゃ」


厨房に行くと、食べて良いクッキーと冷茶をリラから渡された。

ご飯に呼ばれるまで休んでいて良いらしい。


「ユメ、ごくろうさま!ユメのお陰でかなり助かったよ」


ソウに誉められた!


「みんなの役に立てて良かったのにゃ!」


明日は、手伝うならお昼ごはんの後からで良いと言われた。

なら、ゆっくり休もう。

次回は10月8日13時の予定です。

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