夢の同席
今日は、城に来ている。
メイプルたちとの最後の打ち合わせらしい。
城に来るなりキボウは、シッスルがいるプラタナスの部屋にいってしまった。
ユリもソウも引き留めなかったので、私もそのま引き留めなかった。
会合が始まり、ユリが質問していた。
「私が持ち込んだ料理やお菓子に不都合などはありませんか?」
「不都合はございませんが、あの、使われている器のみをご用意いただくのは可能でしょうか?」
たまにユリが器を移し替えていたのは、全てメイプルたちの分だったらしい。ソウが答えていた。
「どのくらい必要だ?必要なだけ持ってくるぞ?」
ソウの言葉に、ホッとした雰囲気になり、メイプルが書面をソウに渡していた。
「俺が持ち込んだものはどうだ?」
「折り紙と言うものを使いきったらしい。追加を頼めるだろうか?」
あー、折り紙、みんなで使っていたから無くなるとは思っていたけど、既に無いのか。
「どのくらい必要だ?」
「プラタナスに10、カンパニュラに2、その他の分として少々ご用意願いたい」
プラタナスやカンパニュラの分は良いとして、その他ってなんだろう?
「了解。他は良いのか?」
ソウは簡単に了承しているから、問題ないのかな。
「白黒駒のゲームを、城の分に頼みたい」
「了解」
あのゲームは単純で、子供でもすぐ覚えられるから良いよね。
「別に、メイプルがいなくても、俺は注文に応じるぞ?」
あ、ソウも思ってたんだ。
ソウ、どんだけ怖がられているんだろう? 過去に何したんだろう?
「カンパニュラの必要分をメイプルが言うのはわかるが、王宮の分は、文官に書面で出させれば良いと思うぞ?」
ソウが具体的に言っても、みんな顔色が悪そうだった。
「ソウ、私がいない間、よろしく頼む」
「おう。頼まれた」
メイプルが直接「頼む」と言い、ソウが返事をしたことで、まわりの役人たちが、ホッとしていた。
今日の最大のメイプルの使命だったのかもしれない。
そんなことを考えていると、メイプルがこちらを見た。
「ユメ様、魔道具の鞄をお借りします」
「構わないにゃ。荷物は入りきったのにゃ?」
「入りきる予定ではありますが、当日の運搬をお願いすることになると思いますので・・・」
メイプルが語尾を濁していた。
「それ、俺が行くよ。用量的に一番大きいし」
ソウが運ぶと名乗り出ていた。
ソウ一人では大変なので、当日は、私もユリも行くと思う。
「そういえば、衣類は大丈夫ですか?」
「大丈夫とは、ハナノ様、何か懸念がございますか?」
「プラタナス君、大きくなるから、サイズ違いの服が必要かと思いまして」
「帰る時の正装は難しいですが、過ごす間の服は用意しました」
「良かった。それなら大丈夫そうですね」
ユリは、最後に猫型ラムネを渡し、会合を終わらせた。
『キボウ、帰るにゃー』
『さきかえってー』
よし、キボウは置いて帰ろう。




