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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

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夢の名称

シィスルが作った飲み物やトーストをだし、帰る客に持ち帰りの生チョコを渡していると、ユリから声がかかった。


「ユメスペシャル、できましたー!」


厨房に取りに行くと、リラが来ていた。何か厚紙をハサミで切っている。


「あなた本当に凄いわね」

「え?」


ユリも誉めていたけど、あれは世界樹様のクッキーを小さくした形だ。リラは何も線を引かずに切り抜いたらしい。


「カッターマットが一緒にあると思うから、使ってね」

「はーい」


お店に戻る私の後ろから、リラも来て、休憩室に入っていった。


「ユメスペシャル、おまたせにゃ!」

「黒猫様、ありがとうございます!」

「途中まで私が作ったのにゃ!」

「それは素晴らしいですね!」


持ち帰りのみの客でかなり忙しい。

イリスは、持ち帰り客の注文を聞くと、すぐに用意して持ってくる。どうなってるんだろうと思い聞くと、全種類の注文の人が多いから、マーレイが、全種類入りを作って渡してくれているらしい。

ホワイトチョコで作った4種類と、ブラックチョコで作った4種類で、いくつか組んで作っておいて、全種類ではない注文の時だけイリスが組んでいるそうで、酒無しのイチゴは、それだけを買う人か、全く買わない人が多いそうだ。


みんなどれだけ酒入りの菓子が好きなんだろう?


イリスが接客しているときに、持ち帰り分を頼まれたので、私がマーレイのところにもらいに行くと、リラとマリーゴールドが帰るところだった。

今までいたの?

そして、薄緑色の世界樹様のクッキーを小さくしたようなラング・ド・シャができていた。


「セカンドネーム!?」

「キボウ君に『キボウ』と名付けたのは、私だけど、フルネームは、長いのよ」


話が聞こえた。キボウの名前って長いの?

そういえば、ルレーブになれない私の名前は、どうなるんだろう?


店に戻り、その忙しさに、考えていることを忘れた。


「持ち帰り希望なんだが、できれば、あるだけ全て売ってもらいたい」

「にゃ? 全てなのにゃ?」


イリスが急ぎ厨房に行くのが見えた。

すぐに戻ってきたイリスが、引き継いでくれた。


「お客様、在庫的には各種120個ほどございまして、その半数をお売りすることが可能でございます。お酒入りのものだけですと480個、お酒無しのものも含めますと540個になりますが、いかがいたしますか?」

「ご、540個? そんなにあるのか・・・」

「どうされますか?」

「も、もちろん、」

「旦那様、冬箱は200個が限界でございます」


一緒に来ていた執事っぽい人が、止めていた。

私は厨房に行き、ユリに話した。


「ユリ、あれは、500個は想定してなかったみたいにゃ。でも言った手前、無理してでも買うつもりみたいにゃ」

「必要な数にしてくださいと助言してきてくれる?」

「わかったにゃ」


店に戻り、声をかけた。


「無理はダメにゃ。他にも欲しい人のために、残してにゃ」

「そ、そうだな。では、私は200個で我慢するとしよう」

「どれを何個にするにゃ?」

「お酒入りのものを24組、お酒無しのものを8個でお願い致します」


執事っぽい人から、具体的な数字を言われ、48個入る冬箱を4つと、8個しか入らない小さな冬箱を1つ持参してきていた。イリスとマーレイと手分けして、預かった冬箱に詰め込んだ。


冬箱無しでも買える季節なので、紙袋が良く売れる。内倉庫の紙袋が少なくなってきた。


「ユリ、紙袋は、内倉庫に有るだけにゃ?」

「ビニールのパッケージを破っていないのが、外倉庫にあるはずよ」


それは、重すぎる大きさかな。と悩んでいると、マーレイが気がついて声をかけてくれた。


「ユメ様、いくつか運んでおきます」

「お願いするにゃー」


その後は、多くてもせいぜい24個くらいの注文ばかりで、種類を指定してくる人は少なかった。


店内の食べていく客も落ち着いてきて、外の行列は、大分短くなった。

私は黒猫サンドを売ったり、ユメスペシャルを作ったり、結構忙しかった。


生チョコは、まだかなり残っている。


厨房では、ユリもシィスルも、何か作っていた。どうやら試作らしい。


そろそろ閉店時間かなぁという時、駆け込んできた客がいた。


「まだ、売っていますか?」

「お店で食べるのはもう終わりにゃ。生チョコはまだあるにゃ」

「それは、まだ売ってもらえますか?」

「生チョコなら大丈夫にゃ。いくついるのにゃ?」

「有るだけ、」

「250個くらいあるのにゃ。欲しい数を言うと良いのにゃ!」

「では、100個くらい」

「種類が、お酒入り8種類、お酒無し1種類あるにゃ」

「でしたら、お酒入りで80個、お酒無しを20個で!」


イリスが見本として組んであるのを持ってきた。


「お客様、バラバラに組んだのをお持ちしてよろしいですか? お酒無しだけは、まとめてお持ちしますが」

「分かりやすければ、任せるよ」


空いたテーブルに紙袋でのせていくと、使用人らしき人が、続々取りに来ていた。紙袋で25袋あるのだ。1人では持ち帰れない。


「お手伝いの方を含め、何名でお越しでしょうか?」

「5人だな」

「では、本日の、バレンタイン特別の王国型ラング・ド・シャです」


イリスが、支払いをして帰る客に、サービスのラング・ド・シャを渡していた。黒猫サンドは、ついさきほど売り切れてしまい、無いのだ。



「みんな手が空いたら、ご飯を食べましょう」


ユリが声をかけてきたので、とりあえず片付けをそのままにして、食事を始めた。


「私から皆さんへ、バレンタインのお菓子です」


そう言ってユリが持ってきたのは、ハート型のラング・ド・シャと、模様を描いてあるラング・ド・シャと、桃色で花形のラング・ド・シャにアイスクリームがのっていた!


「うわー! ユリ様凄いです!」


シィスルは、模様つきに感動してるみたいだった。


「アイスが乗ったお花にゃ!」


私は、アイスの器にもなるんだ!と驚いた。


「へぇ、模様つきにできるんだ」


ソウも、模様つきに驚いていた。


早速食べてみると、ハート型のラング・ド・シャは、挟まっている生チョコが、オレンジピール入りだった。これ美味しい!


ユリは、リラたちにも渡すらしく、シィスルに持ち帰るよう頼んでいた。

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