表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

287/575

夢の出張

お待ちくださっていた方、申し訳ありません。大変お待たせいたしました。

朝リラが来て、黒猫サンドを作っていた。


「今日売るのにゃ?」

「はい。ランチにつけます」

「ランチにゃ? リラの店で売るのにゃ!?」

「その予定です」


驚いた。ユリの店で出すよりも先に、リラのところで出すとは思わなかった。


「黒猫なのに、私が居なくて良いのにゃ?」

「え? ユメちゃん、顔出しに来てくれるんですか? あ、でも、ユリ様のお店、今日は大変なんじゃないかなぁ」

「ユリの店が始まるまで手伝うにゃ!」

「良いんですか?」


リラは、私に言いながら、ユリを見ていた。


「構わないわよー。お昼こちらで食べるなら12時頃には戻ってきてね」

「わかったにゃ!」


そして、一時間だけ、リラの店を手伝うことになった。

リラは、イリスになるべく早く来てと、以心伝心を送ったらしい。

リラとマリーゴールドの三人でリラの店まで歩いた。


リラの店に入ると、店内担当の女性に自己紹介された。


「まあ!黒猫様!」

「ユメにゃ。少しだけ手伝うにゃ」

「私は、カンナです。よろしくお願いします!」

「カンナは貴族にゃ?」

「まさかー、違いますよ。イリスとマーレイの家のすぐそばに住んでます」


あれ?カンナって名前の花、無かったかなぁ?偶然なのかな。

もう一人も自己紹介してきた。


「私は、セリです。同じく、そばに住んでます」

「ユメにゃ。よろしく頼むにゃ」


二人はイリスくらいの年の女性だった。いや、少し若いかもしれない。アラフォーってところだ。


厨房から、クララが出てきた。


「ユメ様! 今日はどうされたのですか?」

「一時間だけ手伝うにゃ! 黒猫サンド配るのにゃ!」


リラが、店主らしく、みんなに声をかけた。


「はい、皆さん注目してください。今日、こちらの『黒猫サンド』をランチセットに配ります。これは、シィスとマリーが開発し(つくり)ました。一つずつ試食して良いので、受け取ってください。黒猫様のユメちゃんが、一時間だけ配ってくれるそうなので、どのお客様に配るのか、説明して差し上げてください」

「はい」「はい」

「頼んだのにゃ!」


まだ10時前なので、営業開始には1時間ほどある。

リラとマリーゴールドは、仕込みの仕上げをするらしく、クララとカンナとセリは、お店の掃除をしていた。


「私は何したら良いにゃ?」

「リラさんによると、お店の形態は、ユリ・ハナノ様のお店と似た感じだそうです。今日のメニューはこちらです」


メニューを見て覚えて欲しいらしく、紙を渡された。

藁半紙(わらばんし)? ユリのところでは上質紙しか見ないから、何だか久しぶりに見た気がする。

薄茶色のざらざらする紙に、手書きでメニューが書いてあった。


今日のメニューは、親子丼or煮込み料理、サラダ、お茶、デザートがセットで、黒猫サンドが付くらしい。

パイがセットについていた頃のユリの店のメニューに比べれば、覚えることも少なそうだし、そんなに難しくなさそうだ。


「大丈夫そうにゃ! 厨房見てくるにゃ!」


厨房では、リラとマリーゴールドがサラダを盛り付けていた。

リラによると、ユリの店でマヨネーズを作っているので、ドレッシングが物凄く楽に作れるようになったらしい。今日は、胡麻(ごま)ドレッシングと、大根と水菜のサラダだと言っていた。

上に飾るようにのっている赤いものは、ラディッシュらしい。


少し手伝おうと思い、リラに声をかけた。


「何か手伝うにゃ」

「ありがたいのですけど、たぶん重いです」

「重いのにゃ?」


料理がのっていない、トレーと食器を組んで渡された。


「これに、料理がのります」

「にゃ!何でこんなに重いのにゃ!?」

「これが重いのではなく、ユリ様のところの食器などが軽いのです」


なんとユリの店は、トレーを含め、全て軽量食器だったらしい。ココットとグラタン皿だけ同じで、大きな皿や器は、3~4倍くらいは重さが違うと教えてくれた。


「知らなかったにゃ」

「食器のボーンリーフさんが、どうしてもあの薄さだと強度が維持できないって、これでもかなり改良されたあとなんですよ」

「そんな所に違いが出るなんて、考えたこともなかったにゃ」


今まで、食器を重いと感じて驚いたことがなかったから、なおさらだ。

とりあえず運ばす、盛り付けの手伝いをした。


時間になり、店が開店した。

リラの店の親子丼は、サラダボールのような器に入っていた。丼椀でなくて少し驚いた。

リラによると、ユリのところは親子丼の器に、合成漆器というものを使っているらしい。合成じゃない漆器は高くて手が出せないそうだ。


ユリに相談したら、リラの店の分まで用意するんじゃないかなぁ?

あとでユリに相談してみようと思った。


「黒猫様!? 今日はこちらなのですか?」

「1時間だけにゃ。セットのデザートを配る係にゃ!」

「では、何がなんでもセットにいたします」

「よろしくにゃ!」


来店した客が、私の姿を見て驚いていた。

すでに単品で注文した客が、カンナとセリに、セットに変えてくれと頼んでいるのが聞こえた。


「はい。今日は、変更を聞くように言われていますので、今からサラダとお茶を持ってきますね」

「ありがとう!」


ものすごい勢いで食べ終わったらしい客が、カンナを呼んでいた。


「食べ終わったよー! デザートお願い!」

「はーい。ただいまお持ちしますー」


「ユメ様、あちらのお客様に、黒猫サンドをお願い致します」

「わかったにゃ!」


皿にのせた黒猫サンドを持っていった。


「黒猫サンドにゃ。ユリの店でも出すにゃ。作ったのは、シィスルとマリーゴールドにゃ」

「うお! 新しい黒猫クッキー?」

「クッキーの種類で、ラング・ド・シャというクッキーにゃ。商品の名前は、黒猫サンドにゃ」

「これ食べちゃったら、販売は」

「リラは、ランチセットだけって言っていたにゃ。ユリの店では売ると思うにゃ」

「わかりました!」


その客は黒猫サンドに噛りついた。


サクッ。モグモグ。


「うわー! 物凄く旨い! 黒猫様、どうすれば買えますか?」

「もう一回ランチセットを食べるか、ユリの店に1時過ぎに買いに来たら良いにゃ。黒猫型じゃないのは、木曜日(じゅもくのひ)から、売り出すって言っていたにゃ」


回りみんなが聞いていたらしく、店内が大騒ぎになった。


無事に一時間手伝い、リラから呼ばれた。


「ユメちゃん、そろそろ向こうのお昼だから、戻った方が良いと思います」

「わかったにゃー。そのうちまた手伝うにゃ!」

「ユメちゃん、ありがとうございます」


リラの店を出ようとしたら、クララがついてきた。ユリの店は見通せる範囲だけど、送ってくれるらしい。


「クララ、ありがとにゃ!」

「こちらこそ、ありがとうございます」


外おやつの倉庫に人だかりが出来ていたのを見ながら、倉庫側から店に戻った。


「ただいまにゃー!」

「ユメちゃんお帰りー。ご飯できてるわよ」


厨房だけでなく、店の方にもユリ以外いなかった。


「みんな居ないのにゃ?」

「外で誰かに会わなかった?」

「おやつの部屋で、騒いでるのは見たにゃ」

「なら、その中に居るわね。でも遅いわね。外おやつの倉庫から出られなくなっちゃったのかしら?」


どうやら、誰かが外おやつの倉庫にいるらしい。


「え!キボウ君?」


ユリが突然居ないキボウを呼んだ。


「ユリ、どうしたのにゃ?」

「何かキボウ君から、『カップないー』って、以心伝心が来たわ」


どこかから以心伝心を送ってきたらしい。


「外おやつのカップにゃ? 私が持っていってくるにゃ」

「ユメちゃんありがとう」


ユリが出ると騒ぎになると思って、私が持っていくことにした。お茶用のマグカップを、10個ほど持つと、内倉庫にいたらしいマーレイが、20個ほど持ってついてきた。


倉庫は、入れないほどの人だかりのままだった。


「お茶のカップ持ってきたにゃー!」


私が声をかけると、人が避けてくれた。

中には、外おやつ用のラング・ド・シャを持ったキボウが、従者だけに配り、食べたそうに見ている貴族にソウが話していた。


「カップ、持ってきたにゃー!」

「ユメ、ありがとう」

「はい、お茶は飲んで良いですよ」

「はい・・・」


ソウがカップを渡していた相手は、残念そうに、キボウが持っているラング・ド・シャを見つめていた。


「ラング・ド・シャは、店内で配るにゃ!黒猫の特別仕様もあるのにゃ!」

「なんと!」


キボウがラング・ド・シャの入った籠を台の上に置き、3人で引き上げた。


「うへー、大変だった」

「ソウ、お疲れさま。何があったの?」

新作お菓子(ラング・ド・シャ)を見た貴族が欲しがって、あれは御者かな? 主人に差し出そうとしてさ、それを止めて、お茶なら飲んでも良いぞって言ったら、カップが足りなくて、ユメが来て、新作お菓子はお店でも配るって説明して、やっと収まった」

「ラング・ド・シャ大人気にゃ!」

「にんきー、にんきー!」


ソウは大変だったみたいだけど、キボウは楽しかったらしい。


「ユメちゃん、リラちゃんたちから預かった黒猫サンドがあるわ。好きに売って良いわよ。お店で売るなら最低でも500(スター)くらいのつもりよ」

「わかったにゃ!」


こっちではセットとかにつけないのか。

よし、黒猫クッキーと一緒に売ろうかな。


「さあ、みんなご飯を食べましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ