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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

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夢の複写

朝ご飯の後、先に店に行ったユリが騒いでいるのが聞こえた。

たぶんリラがいたんだろうなぁと思った。


階段を降りて店に行くと、なんと、シィスルとマリーゴールドまでいて、テーブルで何か書いているようだった。


「何してるにゃ?」

「ユメ様、図鑑をお借りして写しております」

「いただいた画材がとても役に立っています!」

「良かったにゃ」


私はまだ手伝うには早すぎるとユリから言われていたので、しばらくシィスルとマリーゴールドを見ていた。


「二人とも写すの上手にゃ」

「リラさんは、何も見ずに花の絵を描くので、私たちも描けるようになりたいと思っています」

「イリスが言ってたにゃ。得意なことを伸ばしたほうが良いってにゃ」

「得意かどうかはわかりませんが、何か作ったり、絵を描くのは好きです」

(わたくし)も、何か作ったりする事が大好きでございます」

「頑張ってにゃ!」

「はい!」「はい!」


そろそろ時間かな?と思い、厨房に行った。


「ユリ、何手伝ったら良いにゃ?」

「リラちゃんとクッキー作るか、予定しているものの計量かしら?」

「わかったにゃ」


リラにも聞きに行くと、オーブンの空きの都合で、クッキーを作ってもまだ焼けないから、計量して欲しいと頼まれた。


「ユリが書いた順番で良いにゃ?」

「はい。お願いします」


私が生チョコの材料を量っていると、少し手の空いたらしいユリがリラに話しかけていた。


「そう言えばリラちゃん、プラ板の販売はするの? 具体的に考えた?」

「はい! 名前プレートサイズを、最初からある程度の形に切って、何も描いていないものと、ワンポイント花でも描き加えたものを用意したら良いんじゃないかと考えています」


あれ、本当に売る気なのか。


「なら、白い板が良いわね」

「白い板と、透明な板をお願いします」

「ユメちゃんとね、『リラの華』みたいなプラ板をつくったら、面白いかもって話してたのよ」

「おみやげに良いにゃ!」


リラの反応は、芳しくなかった。

なんだか悩みながらも、考え込んでいるみたいだった。


「食べられないクッキーですか? でしたら、黒猫型が人気があると思います。ユリ様、材料費的に、いくらかかりますか?」


黒猫のキーホルダーは、確かに売れるかもしれないけど、塗るの大変だったから、作れるのかなぁ?


この後リラは、ユリと経費の話をしていた。完全にリラ指導で、プラ板を売るつもりらしい。


「ユリ様、今、外に並んでいるお客さんに、作ってみてもらっても良いですか?」

「何か考えがあるならどうぞ」

「ありがとうございます!」


うわー、強行手段? リラが、実地試験を試みるらしい。


「ユリ、ユリは教えないのにゃ?」

「ネームプレートは、ね。そのうち、ハイドランジアさん経由で、加工の方の依頼が来るわよ」

「来たら教えるのにゃ?」

「正直に言うと、面倒なんだけど、贔屓したと考える人がいると更に面倒だからね」


ユリも色々考えてるんだなぁ。


「ユリ、お花を作るとき、計量スプーンに乗せていたのは、丸みのためにゃ?」

「そうよ。だから、一つずつで面倒なのよね」

「たこ焼き器みたいな板って無いのにゃ?」

「たこ焼き器? あー! アヒージョの鉄板、ワンコインショップにも売ってたわ! そうね、ガラス繊維のオーブンシートとアヒージョ鉄板セットにして、売ってしまえば私が焼かなくてすむわね! ユメちゃん、冴えてるわ!」


ユリはオーブンでパウンドケーキを焼きながら、何かスープを作っているようだった。


「ユリは何を作ってるにゃ?」

「これは、オニオンスープ。オニオングラタンスープを軽食に出す予定よ」

「もうひとつの鍋は何にゃ?」

「こっちは、ホワイトシチューよ。ハロウィーンじゃないから赤くないけど。うふふ」

「あのピンクのスープは、甘くて美味しかったにゃ」

「ビーツって砂糖大根の甜菜(てんさい)の仲間だからね」


だから、ビーツが入ったスープは甘かったのか!

もしかしてビーツをそのまま食べると甘いのかな?


「リラちゃん帰ってこないわね」

「見てくるにゃ!」


店に行くとシィスルとマリーゴールドが、客に教えているリラをじっと見ているのが目に入った。

リラは二人を背にしていて気がついていないらしい。


「二人は作ったのにゃ?」

「あ、ユメ様、作ってないです。あれはなんですか?」

「プラ板にゃ。ユリが持ち込んだにゃ。作るにゃ?」

「作りたいです」「作ってみたいです」

「ちょっと言ってくるにゃ」


私が教えるにしても、リラに一声かけたほうが良いかなと思い、リラに声をかけた。


「リラ、シィスルとマリーゴールドも作らないのにゃ?」

「え? あ! そうだった! 二人とも作ってみる?」

「はい!」「はい!」


リラがあわててプラ板を持ってきた。


「私が教えるにゃ!」

「ユメ様、ありがとうございます!」

「ユメ様、ありがとう存じます」


リラも安心して客に教えに戻っていった。


「二人には、少し難しいのを教えるにゃ」

「ありがとうございます!」


紙ヤスリを持ってきて、全体を擦り、今描いている絵を色鉛筆で写すように促した。


「なるべく大きい絵が良いにゃ」


二人は見出しにあった大きな花を写しとり、名前は油性マジックで書いた。


「ユメ様、これでよろしいでしょうか?」

「上出来にゃ! 穴を開ける場所を選ぶのにゃ」

「はい、この辺りにお願いします」


リラが使い終わった穴開けパンチをかりてきて、裏向きにして穴を開けた。


さて、持っていこうとしたら、リラが来た。

次回から、更新頻度を落とすことにしました。

よろしくお願い致します。

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