夢の先生
朝ご飯のあと、ユリから聞かれた。
「ユメちゃん、今日はどうする? 一時帰宅組の出迎えに行くけど、一緒に行く?」
「キボウを連れて城にでも行ってるにゃ」
「なら、クレーンシュー持っていく?」
「ありがとにゃ!」
ユリがシューを仕上げている間、ソウに聞いてみた。
「ソウ、向こうに行ったら、画材買ってくるにゃ?」
「その予定だよ」
「あとで☆渡すにゃ。よろしく頼むにゃ」
「おう。種類は俺が選んで良いのか?」
「ソウが良いと思うもので頼むにゃ」
「了解!」
時間がかかっているのでユリを見に行くと、たくさん仕上げていた。誰の分までを想定しているのかな?
「ユメちゃん、出来たわよ」
ユリから、1つ入り2箱、2つ入り2箱、4つ入り1箱をテーブルの上で渡された。
「誰の分にゃ?」
「これ(2つ入り)がユメちゃんとキボウ君と、国王夫妻の分で、これ(4つ入り)が、メイプル一家で、こっち(1つ入り)が、サンダーソニアちゃんと、シッスルちゃんの分よ」
5箱を持つには手が足りない。
「ユメ、トレー要るか?」
「ソウ、ありがとにゃ」
クッキーを取りに行ったユリが、戻ってきてクッキーを見せながら話した。
「メープルクッキーを全部持って行って良いから、回りの人にも配ると良いわ」
「ユリ、ありがとにゃ!」
ソウが、全部乗るようにトレーを渡してくれた。
「ユメー、てつだう?」
「キボウは、メープルクッキー持ってにゃ」
「わかったー」
ユリはクッキーを籠に入れ、キボウに渡していた。籠を持つと、キボウは妙に似合う。
「キボウ、城のソウの部屋に転移にゃ」
「わかったー!」
私が転移すると、キボウもすぐについてきた。
ベルを鳴らし、来た者に、適当に王族の誰かを呼ぶように言付けた。
どうせメイプルが来るだろうと思っていたら、予想外に、サンダーソニアが来た。
「ユメ様!どうされましたか?」
「ユリとソウが国外の仕事なのにゃ。キボウと遊びに来たのにゃ。これ、ユリから、サンダーソニアの分にゃ」
「なんでしょうか?」
「鶴という鳥を模したお菓子にゃ」
「開けてもよろしいですか?」
「見るのは良いにゃ。でも食べるのは、みんなで一緒に食べたら良いにゃ」
サンダーソニアは、箱を明け、ニコニコしながらしばらく眺めたあと、侍女を呼んで冬箱に片付けさせていた。
少しすると、国王夫妻と、メイプル夫妻も来た。
同じ説明をし、クレーンシューを全て渡し、開けて眺めたあと、冬箱にしまっていた。
「一つ入りの箱は、シッスルの分にゃ。確実に渡してにゃ」
「かしこまりました」
「お食事は、こちらでご用意してよろしいのでしょうか?」
「頼むにゃ」
ユリの説明を聞いていたのか、キボウが、侍女や、騎士にメープルクッキーを配っていた。
「ユメ様、キボウ様が配られているのはなんですか?」
「ユリが作ったメープルクッキーにゃ。みんなに配って良いって言ってたにゃ」
「私も一ついただいてもよろしいでしょうか?」
「キボウ!こっちのみんなにも配ってにゃ」
「わかったー!」
キボウは部屋の騎士に配り終わるとこちらに来て、王族メンバーにも配りはじめた。
「どーぞー」
「キボウ様、ありがとうございます」
キボウは全員に配ったあと、私に聞いてきた。
「ユメー、キボー、たべる、いい?」
「キボウも食べて良いにゃ。そう言えば作ったとき、キボウ居なかったにゃ」
置いて帰ったことを思い出した。
「おいしーねー」
キボウがニコニコ食べていたので、私も一つもらって食べてみた。
出来立てよりサックっとして、メープルの香りがして美味しかった。
「そう言えば、メイプル、ユリが治した娘は元気なのにゃ?」
「カンパニュラでございますか? ユリ様のお陰で大変健やかに成長しております」
「絵を描いた工作をしようと思ってるにゃ。手が空いてる興味がある人は参加したら良いにゃ」
国王と、第一王子は、公務があるらしく退室したが、プラタナスと、カンパニュラが、シッスルを連れてやって来た。
まずは、キボウがメープルクッキーを三人に渡し、仲良くなっていた。
4歳程度で成長を止めているプラタナスよりも、現在6歳らしいカンパニュラの方が、体が大きかった。
「ユメ様、何を始めるのですか?」
「プラ板にゃ」
「これが作る前で、これが出来上がったものにゃ」
私は、透明の板と、焼いて名札になったものを見せた。
最初、ハイドランジアと、アネモネは、微笑ましそうに眺めているだけだったが、ユリから借りてきた花の飾りを見せると、食いついてきた。
「こういうのも作れるにゃ」
「ユメ様、どうしたら、このような板が、花の飾りになるのですか!?」




