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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

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夢の先生

朝ご飯のあと、ユリから聞かれた。


「ユメちゃん、今日はどうする? 一時帰宅組の出迎えに行くけど、一緒に行く?」

「キボウを連れて城にでも行ってるにゃ」

「なら、クレーンシュー持っていく?」

「ありがとにゃ!」


ユリがシューを仕上げている間、ソウに聞いてみた。


「ソウ、向こうに行ったら、画材買ってくるにゃ?」

「その予定だよ」

「あとで(スター)渡すにゃ。よろしく頼むにゃ」

「おう。種類は俺が選んで良いのか?」

「ソウが良いと思うもので頼むにゃ」

「了解!」


時間がかかっているのでユリを見に行くと、たくさん仕上げていた。誰の分までを想定しているのかな?


「ユメちゃん、出来たわよ」


ユリから、1つ入り2箱、2つ入り2箱、4つ入り1箱をテーブルの上で渡された。


「誰の分にゃ?」

「これ(2つ入り)がユメちゃんとキボウ君と、国王夫妻の分で、これ(4つ入り)が、メイプル一家で、こっち(1つ入り)が、サンダーソニアちゃんと、シッスルちゃんの分よ」


5箱を持つには手が足りない。


「ユメ、トレー要るか?」

「ソウ、ありがとにゃ」


クッキーを取りに行ったユリが、戻ってきてクッキーを見せながら話した。


「メープルクッキーを全部持って行って良いから、回りの人にも配ると良いわ」

「ユリ、ありがとにゃ!」


ソウが、全部乗るようにトレーを渡してくれた。


「ユメー、てつだう?」

「キボウは、メープルクッキー持ってにゃ」

「わかったー」


ユリはクッキーを籠に入れ、キボウに渡していた。籠を持つと、キボウは妙に似合う。


「キボウ、城のソウの部屋に転移にゃ」

「わかったー!」


私が転移すると、キボウもすぐについてきた。


ベルを鳴らし、来た者に、適当に王族の誰かを呼ぶように言付けた。


どうせメイプルが来るだろうと思っていたら、予想外に、サンダーソニアが来た。


「ユメ様!どうされましたか?」

「ユリとソウが国外の仕事なのにゃ。キボウと遊びに来たのにゃ。これ、ユリから、サンダーソニアの分にゃ」

「なんでしょうか?」

「鶴という鳥を模したお菓子にゃ」

「開けてもよろしいですか?」

「見るのは良いにゃ。でも食べるのは、みんなで一緒に食べたら良いにゃ」


サンダーソニアは、箱を明け、ニコニコしながらしばらく眺めたあと、侍女を呼んで冬箱に片付けさせていた。


少しすると、国王夫妻と、メイプル夫妻も来た。

同じ説明をし、クレーンシューを全て渡し、開けて眺めたあと、冬箱にしまっていた。


「一つ入りの箱は、シッスルの分にゃ。確実に渡してにゃ」

「かしこまりました」

「お食事は、こちらでご用意してよろしいのでしょうか?」

「頼むにゃ」


ユリの説明を聞いていたのか、キボウが、侍女や、騎士にメープルクッキーを配っていた。


「ユメ様、キボウ様が配られているのはなんですか?」

「ユリが作ったメープルクッキーにゃ。みんなに配って良いって言ってたにゃ」

「私も一ついただいてもよろしいでしょうか?」

「キボウ!こっちのみんなにも配ってにゃ」

「わかったー!」


キボウは部屋の騎士に配り終わるとこちらに来て、王族メンバーにも配りはじめた。


「どーぞー」

「キボウ様、ありがとうございます」


キボウは全員に配ったあと、私に聞いてきた。


「ユメー、キボー、たべる、いい?」

「キボウも食べて良いにゃ。そう言えば作ったとき、キボウ居なかったにゃ」


置いて帰ったことを思い出した。


「おいしーねー」


キボウがニコニコ食べていたので、私も一つもらって食べてみた。

出来立てよりサックっとして、メープルの香りがして美味しかった。


「そう言えば、メイプル、ユリが治した娘は元気なのにゃ?」

「カンパニュラでございますか? ユリ様のお陰で大変健やかに成長しております」

「絵を描いた工作をしようと思ってるにゃ。手が空いてる興味がある人は参加したら良いにゃ」


国王(パウローニア)と、第一王子(メイプル)は、公務があるらしく退室したが、プラタナスと、カンパニュラが、シッスルを連れてやって来た。


まずは、キボウがメープルクッキーを三人に渡し、仲良くなっていた。


4歳程度で成長を止めているプラタナスよりも、現在6歳らしいカンパニュラの方が、体が大きかった。


「ユメ様、何を始めるのですか?」

「プラ板にゃ」

「これが作る前で、これが出来上がったものにゃ」


私は、透明の板と、焼いて名札になったものを見せた。


最初、ハイドランジアと、アネモネは、微笑ましそうに眺めているだけだったが、ユリから借りてきた花の飾りを見せると、食いついてきた。


「こういうのも作れるにゃ」

「ユメ様、どうしたら、このような板が、花の飾りになるのですか!?」

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