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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇子供ユメ◇

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夢の蛸焼

城につくと、すぐにソウはメイプルを呼んでいた。

なのに、来たのは全員だった。ソウが少し嫌そうにしていて、笑ってしまった。

奥から、ユリ、ソウ、ユメ、キボウの順に座ったので、キボウがうろうろしないように見張っていよう。


ソウが話し出したけれど、メイプルだけに話していた。それを見ていたユリが、ソウに、みんなにも話すようにと言っていたけれど、ソウはとてもめんどくさそうだった。


「キボウ、あの映像は、みんなで見ることはできないのにゃ?」

「はっぱー、いしー、おおきいー、いしー、まりょくー、みんなー」

「養育係を呼ばないと分からないにゃ」

「シッスルー、シッスルー」


キボウが養育係を呼ぶと、すぐに来た。隣にひかえていたらしい。


キボウが同じように、養育係のシッスルにうったえた。

シッスルは、いくつか質問をし、話をまとめていた。


「キボウ様がお持ちになった物に、魔鉱石を乗せてお使いになると、皆様でご覧になれるようでございます」

「シッスルー、ありがとにゃ」


流石だ。

何でキボウの単語がきちんと文書になるのか、未だに謎だ。


持ち込まれた魔鉱石は、ユリが「私が充填します」と言って、受け取っていた。

充填した魔鉱石と、先程のはっぱを受け取ったキボウは席をたち、広さのある床まで行き、はっぱの上に魔鉱石をおいてから離れていた。


少しすると、映像は、立体となって再生された。

ただし、現実よりは小さい気がする。

実は、魔鉱石の容量不足で、もっと大きいものを使うと、実物大で再生されるのである。


「うわー!」「おー!」「凄いにゃ!」


私たちは映像自体に驚きはなかったが、王族は、全員口をあんぐり開けて、固まっていた。

キッチンに おかあさまが映ると、驚きよりも興味が湧いたのか、話し出した。


「ユリ様?」

「お(ぐし)の色が?」

「もしや、リス様!?」


やっぱり、おかあさまだと認識されるんだ!


「とりあえず最後まで見てくれ!」


ソウが声をかけると、質問をやめて、静かに見入っていた。


取り込んだ木の実の中身が料理だったのを見ると、大騒ぎになった。新しい料理の入った実を埋めているのを見て、更に驚いていた。


映像の再生が終わると、ソウにみんなから質問が殺到した。


「俺に聞くなー。俺もさっき初めて見て、今ここに来てるから、質問はキボウにしてくれ」


ソウにキボウに聞けと言われても、返ってくる答えが意味不明なので、誰も質問しない。

ユリが見かねて話し始めた。


「料理を教えるよりも、色々な料理を持って行った方が良いと思うんです。魔道具の鞄に詰めて置けば、時間が経ちませんし、好きな食べ物を用意していった方が良いと思うんです。教わるべきは、せいぜいお茶をいれる方法とか、切り分ける方法とか、そういったものじゃないかと思います」


「な、なるほど、給仕を習うのが必要なのですね」


メイプルが同意して、アネモネと話し合っていた。


「ということで、私に依頼したい料理やお菓子を考えてください。多くは、食べ慣れたものが良いと思うので、いつも食事を作る人に頼んだ方が良いかと思われます。パウンドケーキは持ってきます」

「ユリ様、ありがとうございます。今、刺繍以外の簡単な裁縫を習っておりまして、メイプル様は、剣や歴史の復習をされていらっしゃいます。他に必要な技術等、思い付くことがおありでしたら、ご教授願えますでしょうか?」

「掃除とか洗濯は出来そうですか?」

「王宮の者ほどはできかねますが、下の者を知るということで、嫁ぐ前の若かりし頃に一通り体験したことがございます」


メイプルもアネモネも、色々頑張っているみたいで大変そうだ。でも一番大変なのは、プラタナスだと思う。


「ソウ、勉強ばかりはかわいそうにゃ」

「それもそうだな」


ソウは助言を出してくれた。


「プラタナスが遊ぶための物も持って行った方が良いぞ?」

「成る程、左様でございますね」


「プラタナスは、絵が得意にゃ。画材が良いにゃ」

「そうか。なら俺が贈っておくよ」

「頼んだにゃ!」


ソウは、メイプルに伝えてくれるらしい。


「紙と画材は、俺から餞別を渡すよ」

「ソウ、かたじけない」


メイプルが感謝していると、キボウが騒ぎ出した。


「ユメー、キボーも!キボーも!」

「わかったにゃ。キボウにも買ってもらうにゃ」


私がキボウに言い聞かせている間に、ユリが挨拶して会が終了していた。


みんなで転移して家に帰ってきた。


「良い時間だから、タコ焼き食べるか!」

「食べるにゃー!」

「たべるー、たべるー」

「飲み物でも用意するわ」


ソウが焼いてくれたタコ焼きは、とても美味しかった。昔も食べたことがあるはずだけど、初めての美味しさだった。

なんとキボウもタコのまま食べていた。


「2度目は好きなものをいれて良いぞ!」


ソウが言うと、16穴あるので、全員公平に1/4の4つずつ好きなものを入れた。

ユリはベビー帆立をカットして入れていた。

ソウは、剥き海老を入れていた。

キボウは2つにだけチーズを入れていた。

私は4つ違うものを入れた。ユリに分けて貰ったベビー帆立と、ソウに分けて貰った海老と、烏賊の切り身と、アサリの剥き身。シーフードミックスという袋に一緒に入っていた。


キボウは、ジャムの瓶を持ってきた。

ユリがさすがに止めていた。

それでもとても残念そうにしているので、ユリが提案した。


「それなら、こうしましょう」


ユリはソウに何か言ってから、ホットケーキの素を作ってきたらしい。


「これなら、ソーセージでもハムでもジャムでもチョコでも合うと思うわ」


焼けたばかりのタコ焼きを食べながら、どれをいれるか考えた。

タコ焼きの丸い穴を、ソウとユリで物凄く良く掃除していた。


バターを溶かして、ホットケーキの生地を入れ、

私は2こずつリンゴのプレザーブと板チョコを入れた。

キボウは2こずつリンゴジャムと板チョコだった。

ソウは、4つに板チョコとバナナを入れていた。

ユリは何作るんだろうと思ったら、ユリは2こずつソーセージと、チーズだった。少し驚いた。


タコ焼きより柔らかくないので、出来上がったものをユリが竹串に刺してくれた。

キボウが「あついー、ないー!」と、喜んで受け取っていた。


生地が残っているから まだタコ焼きを焼くと言うので、ソウに焼き方を教わって、焼かせてもらうことにした。


「私でも作れるにゃ?」

「少し慣れれば丸く出来るようになるぞ」


場所ごと代わってもらい、タコ焼き器の前に座って、タコ焼きをひっくり返してみた。

物凄く難しい。何で、こんなに細い棒だけで、ソウが作ると丸くなるの?


「丸くならないにゃ」


真ん丸にならないタコ焼きが、16個出来上がった。

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