夢の七並
寝る前に聞かれた。
明日と明後日の事。
やってみたいことを聞かれたので、初日の出を見てみたいと言ったら、ソウに起きられるかと心配されてしまった。
屋根の上に上がって、初日の出を見る予定になった。寝ていたら起こしてくれるらしい。
よし、明日はためしに早く起きてみよう。
そう思って寝たはずなのに、起きたらすでに9時を過ぎていた。
「おはようにゃ。明日、起きられるかわからないにゃ」
「おはよう。起こして良いのなら、起こすわよ?」
ここは、素直に頼んでおこう。
「起こしてほしいにゃ。起きなかったらごめんなのにゃ」
「今日は、うんと早く寝てみたら?」
「そうしてみるにゃ」
ユリに何か食べるか聞かれたけれど、起きたばかりなので、断った。
「ソウ、どこか挨拶に行く場所とか有る?」
「あはは、挨拶は、向こうが来るのを全部断ったぞ」
そりゃそうだよね。こちらから行くものでもないけど、こられても困る。
「あ、そっか。ちなみに、誰が来る予定だったの?」
「王宮メンバー、公爵、侯爵辺り」
外に総勢が並ばれても困るよね。
「そんなの来ても迷惑なだけにゃ」
「ユメちゃんは、会っておきたい人とか、大丈夫?」
私の会いたい人は、母上と、猫のドリームくらいで、故人だし、清子に至っては、二度と会いには行けないことだろう。
それに、母上の生まれ変わりはユリだというし、今のみんなが大事だから、会いに行きたい人は居ない。
「居ないにゃ。会いたい人はみんなここに居るのにゃ」
少ししんみりしてしまったのを、ソウがにこやかに呼び掛けてくれた。
「ユメ、何かゲームでもして遊ばないか?」
「ゲームにゃ?」
ゲームって、なんだろう? テレビゲームは無理だろうし、今はものすごいのがあるのかもしれない?
「ボードゲームとか、トランプとか」
私でも知ってるものだった!
「トランプならわかるにゃ。ボードゲームはやったことがないにゃ」
「なら、まずはトランプでもしましょう。どんなゲームを知ってる?」
ババ抜き、七並べ、スピード、大貧民、色々知ってる。
「7をまず出してから、順番に出していくゲームにゃ」
「七並べね」
名前は変わってないみたい。
ユリが、キボウにも声をかけていた。
「キボウ君、トランプ一緒にする?」
「キボーする? キボーしらない。キボーする?」
「わからないから最初は見てる?」
「みてるー」
キボウ語は相変わらず難しい。ユリ、凄いな。
最初は三人対戦で、キボウは見学になった。
ユリが解説しながらキボウに説明するので、札が丸見えだった。ソウが手を抜かないので、私も本気でやったら、ユリがぼろ負けしていた。
ルールを覚えたキボウを混ぜて、何回か七並べをした。アルファベットの順番がいつまでも怪しかったけれど、キボウも楽しそうだった。
少し飽きた頃、ソウが、大富豪をしようと言い出した。
聞いたことの無いゲーム名だと思い、ルールを聞いてみると、私が知っている大貧民と、ほぼ同じゲームだった。
革命というルールが違うくらいで、あとは同じで名前が違うらしい。
「手を抜いたつもりじゃないのに、負けたわー」
どうやらユリは、トランプゲームに弱いらしい。
ユリが弱いというより、ソウが強すぎるんだと思う。
「そろそろ何か食べようか」
「お腹すいたのにゃ」
「たべるー、たべるー」
ユリが冷蔵庫から何かを取り出した。
「焼きそばで良いかしら?」
「オムソバが良いー」
ソウが言った知らない料理名。
「それはなんにゃ?」
「オムレツの中身が焼きそばだな」
オムレツの中は、チキンライスじゃないの?
ユリが作り始めた。焼きそばを作って、卵で巻くらしい。
成る程、出来上がりは、オムレツに見える。
「面白いにゃ。初めて食べたのにゃ」
「昔から有るものだと思っていたわ」
「まあ、高級レストランでは出てこないから知らない人もいるんだろう」
成る程、レストランで出てこないメニューなのか。結構美味しいのに、そういえば焼きそばって、屋台で売っているイメージかもしれない。
「しらなーい」
「キボウは、何か知ってる料理があるのにゃ?」
「わかんなーい」
キボウって、今まで何を食べていたんだろう?
そういえば、知らないと言えば、ずっと聞こうと思っていたことを思い出した。
「ユリ、ココアを飲んだときにソウが言ってたマシュマロって、何に使うにゃ?」
「突然どうした?」
「食べてみたいの? 作りたいの?」
「ソウが言ったとき、わからなかったのにゃ」
「マシュマロは、ホットココアに入れるんだよ」
「興味があるなら作ってみる?」
「作れるのにゃ?」
「シンプルなもので良いなら、割りと簡単よ」
「作ってみるにゃ!」
ご飯のあとは、マシュマロをユリが教えてくれることになった。




