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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇新生ユメ◇

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夢の押型

お待たせいたしました。

お店の営業が年内最後のせいか、質問する人が多い。イリスはあまり捕まったりせずに仕事をしているけど、どうやってるんだろう?


「黒猫様、この唐揚げのおかわりはできますか?」

「無料の提供品だから、無理にゃ」

「唐揚げは、メニューに加わらないのですか?」

「ユリに聞いてくるにゃ?」

「後で良いです」


注文されたものを運ぶと、又捕まった。


「黒猫様、どうして生チョコが安くなったのですか?」

「ユリが女王になったので、国が強く出られるようになったのにゃ。チョコレートを買うときに高く買わなくて良くなったからなのにゃ」

「ハナノ様、本当に凄い方なのですね」


「黒猫様、お店お休みの後、ちゃんと又お店再開しますか?」

「今度は大丈夫なのにゃ。ちゃんと予定通り再開するのにゃ」


「黒猫様、ユメ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「ユメと呼んで良いにゃ!」

「ユメ様、ありがとうございます!」


「ユメ様、黒猫様ではございませんが、黒っぽい猫様が屋敷の外にいらしたので、家で飼い始めました。機会があったらお連れいたします」

「猫は自由にさせておいた方が良いにゃ。猫を保護したのは偉いにゃ。これ、とっておくのにゃ」


黒猫クッキーを渡した。


「ありがとうございます!」



お店に売り切れが出始めた。


「ユメちゃん、ポテロンと、黒ごまムースが売り切れました」

「わかったにゃ。イリス、ありがとにゃ」

「ユリ様にお伝えして参ります」

「頼んだにゃ」


イリスはユリに伝えにいった後、ヨーグルトゼリーを持っていったらしい。

しばらくすると、カエンがヨーグルトゼリーを持ってきた。


カエンが手に持ったまま、全てが売り切れてしまった。私はまだ見てもいない!

なんと、黒猫の模様がついていたらしい。

急いで厨房に聞きに行った。


「ユリ、今のは何にゃ!」

「ヨーグルトゼリーのプレーンが売れないって言うから、メイプルシロップをかけただけよ。猫の模様は、クッキー型でつけたのよ」

「もう無いのにゃ?」

「え、食べたかったの? なら、残したプレーン下げてくれば、取っておくわよ」

「ありがとにゃ!」


7つあったので、みんなの分にちょうど良いと思って、全部ユリに渡した。


私と入れ替わりに、イリスが厨房へいってしまった。


「イリスどうしたのにゃ?」

「ユメ様、イリスさんが、他に黒猫様のお菓子がないか聞きに行ってくれました」

「そうなのにゃ?ありがとにゃ」


戻ってきたイリスは、ティラミスを下げていた。

ティラミスはココアがかかっているから黒猫にならなくない?


少しして、カエンが運んできたティラミスは、猫の形の回りが白くなって、しっかり黒猫のティラミスになっていた。


ユリは凄いなぁ。

ユメはそう思っていた。実は、凄いのは黒猫様の人気の方なのである。



生菓子の残りは、イチゴムース、桃のババロア、抹茶ムースだけになった。


残り少なくなっても、あるものを買っていく客が多く、無いことに苦情もでなかった。むしろ、遅く来たのにまだ残っていてありがたい!と言う感じで、喜ばれた。


閉店ギリギリに客がきた。


「まだ、大丈夫ですか?」

「まだ少し大丈夫にゃ」

「ありがたい。迷ってしまって、遅くなってしまった」

「どこで迷うのにゃ?」


いつも疑問だったことを聞いてみた。


「侯爵の屋敷のそばに有るんだと思い込んで探していました」

「そういうことにゃ」


なるほど、こんな何もない場所に店があるとは思わなかったらしい。

その客は、残っていたケーキを全て買っていき、生菓子は売り切れた。


ユリに報告に行くと、ユリはいなかった。


「ユリ様は、カエン様を送って行かれました」


リラが教えてくれた。

良く見ると、リラがご飯を作っているらしく、すぐに食べられそうだった。


先にお店を片付けた。

ソウにも声をかけて、時間を教えると、ソウとマーレイもお店に戻ってきた。


少しして戻ってきたユリは、手にいっぱいの荷物を持っていた。



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