夢の魔法
早く目が覚めた。
昨日、ユリに用があって部屋へ行ったけど、ユリはいなかった。又、隣の部屋から音がしていたので、何か作っているのだろうと思う。
仕方がないので早く寝て朝伝えようと思ったけど、やはりすでにユリはいなかった。
ユリって、何時から仕事をしているんだろう?
リビングにいくと、ソウの鞄がおいてあり、テーブルにメモがあった。
◇ーーーーー◇
ユメへ
つきたてお餅とあんこを買ってきたので、
鞄に入っています。よかったら食べてくれ。
◇ーーーーー◇
へえ。
つきたてお餅なんて、いつ以来だろう。
川井翼だったとき、5年間くらいは食べたような気がする。清子はつきたてお餅が苦手で、清子のためには作らなかったなぁと思い出した。
昔のことを思い出しながら食べていたので、キボウに気がつかなかった。
「ユメ、たべるー、キボー、しらなーい」
「お餅知らないのにゃ?」
「おもち?」
「そう、お餅にゃ。ごめんにゃ。全部食べちゃったにゃ」
「わかったー」
キボウは、部屋の端に行って、舟で遊び始めた。
「私はユリの手伝いに行くにゃ。キボウは上にいるのにゃ?」
「あとでー」
「先行ってるにゃ!」
キボウを置いて、厨房に行った。
「おはようにゃ! にゃー! 黒猫クッキーにゃ!」
天板に、黒猫クッキーと世界樹様のクッキーが並んでいた。
「おはようユメちゃん、そろそろなくなるかと思って」
「ありがとにゃ! キボウ呼んでくるにゃ?」
「キボウ君起きてるの?」
「リビングで遊んでたにゃ」
「でもまだ良いわ。時送りしていないクッキーも作るからね」
そのうち来るって言っていたから良いのかな。
「手伝うにゃ!」
リラとクッキーを作った。なんだか久しぶりな気がする。
黒猫クッキーはそのまま冷まし、世界樹様のクッキーはアイシングを塗り始めた。すると、キボウが歌いながらおりてきた。
「クッキー、クッキー、キボーのクッキー」
「キボウ君おはよう」
「ユリー、おもちー」
「お餅? お餅が食べたいの?」
「ユメたべたー、キボーなーい」
あれ、やっぱり食べたかったのか。
「ユメちゃん、お餅たべたの?」
「ソウのメモと鞄があったにゃ。お餅が入ってたにゃ。食べ終わるときにキボウが来たにゃ」
あれ?もしかして、キボウの分も入っていたのかな? そう心配していたけど、ユリはキボウの分を用意すると言っていた。
2階に行き、帰ってきたときには、小さめのお餅をたくさん皿にのせて戻ってきた。
「キボウ君、できたわよ。ユメちゃん、あんこしかなかったでしょ? きな粉とか大根おろしのお餅食べる? リラちゃんも食べてみるでしょ?」
「食べるにゃ!」
大根おろしのお餅は、確か、辛味餅って呼んでいたと思う。
みんなで仲良くお餅を食べた。
リラがユリにお餅とは何かを質問していた。
そういえば、作っているのを見たことがあるのに、漠然としか知らないや。
「ユリ、お餅作れるにゃ?」
「餅つきと言う意味?」
「そうだにゃ」
「蒸籠があるから餅米は蒸せるけど、ソウ一人だと大変かな?」
餅つきは、男性一人じゃできないよね。
ユリは合いの手をするだろうし、誰か餅つきできる人いないかなぁ。
「おはようございます!どなたかいらっしゃいませんか?」
「誰か来たみたいですね。見てきます」
リラが様子を見に行って、すぐに戻ってきた。
いつもの二人が来たらしい。カナデ・サエキとリツ・イトウのようだ。
あ!ちょうど良い。餅つきの手伝いをしてもらおう!
「花野さん、お餅ですか!?」
「あ、食べます?」
「是非!」
お餅にも興味があるみたいだし協力してくれると思う。
「サエキにゃ?」
「初代様、何かご用ですか?」
「ご用にゃ。餅つき手伝ってほしいにゃ」
「構いませんよ。道具用意しますか?」
「あるのにゃ!?」
「運ぶのはソウ君ですが、確か、王都の花田さんが持っていたと思います」
道具まで揃うなんて!
「ユリ、つき手、ここにいるにゃ!」
「え?冴木さん、餅つきします?」
「何でもしますよ。花野さんさえよろしければ、居残り組を招待願いたいのですが」
サエキは気が利くなぁ。
道具もつき手も揃ったし、餅つき楽しみだなぁ。
外からマーレイとイリスがきて、2階からソウとカエンがおりてきた。
「ユリ御姉様、おはようございます」
「カエンちゃん、おはよう。手伝いありがとうね」
「ユメちゃん、お餅って、どうやって作るんですか?」
リラに聞かれた。
「餅米を蒸して、それを木の棒でペッタンペッタンして作るにゃ!」
「何となくわかったような、わからないような」
「リラも参加したら良いにゃ」
「はい。呼ばれずとも参加いたします!」
「お餅、まだあるみたいだから、マーレイとイリスにも食べさせたら良いにゃ」
「ありがとうございます」
リラがマーレイとイリスに、お餅を持っていった。
「ソウ君は、私に冷たすぎる」
「それ、メイプルも言ってたにゃ。ソウ、友達は大事にした方が良いにゃ」
「こいつの野望は、俺の解剖だぞ? 大事にするのは無理だろう? はじめの頃は、星見さんって呼んでまともを装っていたのに」
はじめはまともだったんだ。
はじめてあったときから、何となく変ね人だったよね。この人。
「イトウさん、ソウの何が知りたいんですか?」
ユリは質問していた。
「魔法を使えるようになった理由とか、使い方とか、どんなことでも知りたいと思っています」
成る程、本当はユリに聞きたいところ、ソウに遠慮しているのかもしれないなぁ。
「なら、イトウさんが魔法を使えるようになれば良いのかしら?」
ユリ何か教えるのかな?
「え!? できるのですか!?」
「割りと簡単に」
「えーー!」「え!」「以心伝心は止めてくれ!」
みんながソウの方を振り返った。
ユリは、以心伝心以外を教えるのだろう。
何を教えるのかな?攻撃魔法以外だと良いな。
「夜外を歩くときに、手の上に灯りの玉を作る魔法を教えましょう。慣れれば、指先に灯りをともしたり、足先にともしたりできます」
灯火か!それなら攻撃に使えないし、人の役に立ちそうだからもってこいかもしれない。
「お願いいたします!」
「魔鉱石に魔力を充填したことはありますか?」
「はい」
「では、魔力を充填するときに流れる感じはわかりますね。その感じを指先に集めるイメージをします。呪文は、イビソモチ」
ユリは、手のひらに明るい玉を出現させてみせた。
「これ1個で約1時間持ち、100pほど消費します。急いで消すときは、そのまま手を叩きます」
パン!
「はい。消えました。楽に作れるようになったら、体から離した灯りの作り方を教えます」
ユリは説明が終わると、全員に、黒糖フルーツパウンドケーキを一切れずつ配っていった。
準備万端だ。
やっぱりと言うか、リツ・イトウが倒れていた。
「カナデ、リツの口にパウンドケーキ突っ込んでくれ」
「了解」
ソウは自分でやらず、サエキに頼んでいた。




