夢の休日
楽しみで早く目が覚めた!
今日は、みんなで出かけるのだ。
リビングに行くとユリがいて、ちょうどごはんを片付けているところだった。
「おはようにゃ!」
「おはようユメちゃん。今日はずいぶん早起きね」
「目が覚めたにゃ!」
「なにか食べる?」
「ラーメンはいつ行くにゃ?」
「お昼ごはんの頃の予定よ」
考えてから、少しだけ何か食べようと思った。
「少しだけ食べるにゃ」
「ご飯?パン?お菓子?ジュース?」
「卵かけご飯有るにゃ?」
「出せるわよ。待ってね」
ユリは、お椀に少なめのご飯と小鉢に割った生卵と小皿に鰹節と卓上醤油を出してくれた。
2階に有る卵は、お店のと違ってソウが買ってきた物らしい。
ごはんの真ん中に窪みを作り、卵を割れないようにそっと乗せて、鰹節をたっぷりかけてから醤油をかけた。
スプーンで少しずつ崩しながら食べていく。
卵が濃いところがあったり、鰹節がたっぷりなところがあったり、色々な味が美味しい。
何だか久しぶりに食べた気がする。
「ユリ、ありがとにゃ」
「食べ終わった?まだ何か食べる?」
「もう良いにゃ。何か手伝うにゃ?」
「ありがとう。乾いた洗濯物畳める?」
「やってみるにゃ!」
「おねがいします」
乾いている洗濯物がリビングに積んであった。
お店で使っているエプロンやタオルやユリの白衣だ。ユリはコックコートと呼んでいる。
エプロンとタオルを畳み終わった頃、ユリが掃除機を持って戻ってきた。
「ユメちゃんの部屋に掃除機かけて良いかしら?」
「自分でやってみるにゃ!」
「そう?わからなかったり大変だったら言ってね」
「わかったにゃ」
ユリから掃除機を受け取り、少し重かったけど頑張って運んだ。
畳んだタオルとエプロンを持ってユリは階段を降りていった。
部屋で掃除機をかけると、ベッドの布団の端を吸い込んだり、カーテンを吸い込んだり、とても大変だった。
やっと掃除が終わって掃除機を返しに行くと、ユリはいなくて、ソウがリビングの床を棒のついた紙雑巾で拭いていた。
「あ、ユメ、掃除機もう良いか?」
「終わったにゃ」
掃除機を渡すと、ソウは自分の部屋の掃除に行くようだった。
少しして、ユリが戻ってきた。
「あ、ユメちゃん、お疲れ様」
「ユリどこに行ってたにゃ?」
「お風呂場にいたわよ。そろそろ出かける用意をしましょうか」
ユリはズボンからスカートに着替えてきた。
真似してスカートに変えてきた。
ソウも着替えて待っていた。
11:00頃、リラたちが馬車で来て、すぐに出掛けることになった。
客車においでとユリが誘っていたけど、リラは断っていた。
ソウもいるからかな?
大人が一人で寂しいからかな?
市場につくと、リラと手を繋いで歩くことにした。ユリとソウが前を歩き、後ろから大人がついてくる。
ユリとソウが立ち止まった店は、入り口に大きな怪物の飾りがあって、悪趣味だと思った。リラも怖がっていた。
「ィらっしゃい!!」
何だか懐かしい感じがした。
知っている気がした。
「ホシミさん、ハナノさん、と、お連れさん、5名様ご案内」
「はい!いらっしゃいませ」
お店の人が威勢良く挨拶していた。
女の人は細身の長い上着とズボンのような服で、男の人は、ユリとは違う感じの白衣だった。
店員に案内され座ると、男の人はコップに入った水を持ってきた。
ユリとソウが奥に座ったので、向かい側にリラとすわり、大人は横の席に座った。
「今日は何にしましょうか?」
「全員同じので良いよね? とんこつラーメン5つで」
「はい!とんこつラーメン5つ、少々お待ち下さい!」
ソウが全員分注文した。
ユリの店は安いって話していたことを思いだし、ちらっと見えたメニューの紙を引き出してみてみようと思った。
横から覗き込んだリラが「お貴族様の店!」と呟いていた。
◇ーーーーー◇
ラーメン 5000☆
とんこつラーメン 6000☆
餃子 1200☆
チャーハン 4000☆
替え玉 700☆ (とんこつラーメンのみ)
烏龍茶 500☆
◇ーーーーー◇
うん、確かに高い。
ユリももう少し高くすれば良いのに。
リラが値段の高さに慌てていたみたいだけど、ユリとソウが全部払うらしい。
「おまちどう!」
男の人が3つ、女の人が2つ、ラーメンを持ってきた。
良い匂いがする!
この匂いは知っている気がする。
白っぽいスープに、小さいネギと、黒っぽい細切りの何かと、半分に切ってある黄身が固まっていない茹で玉子と、大きなお肉がのっている。すごく美味しそう!
ユリはリラに食べ方を説明している。
れんげについてらしい。いつもユリはなんでも知っている。
れんげにのせながら食べると熱くないし、跳ねないのか。
ユリとリラはまだ話を続けていたけど、先に食べることにした。
おいしい。
なつかしい。
食べたことがある気がする。
いや、絶対に食べたことがある!
「早く食べないと、伸びるぞ?」
ソウに言われ、ユリとリラは急いで食べだしたみたいだ。
この細い黒いのは、たしかキノコだ。
麺と一緒に食べると更においしい。
黄身が固まっていない茹で玉子は味つきで濃厚でとても美味しかった。
とろけるような大きなお肉もおいしい。
あ、もう少しで麺がなくなる!
「替え玉頼んで良いにゃ?」
「良いぞ、好きなだけ注文しろ。マーレイはどうする?替え玉は、麺のおかわりだ」
「お願いします」
「よし、替え玉3つ、お願いしまーす!」
「はい!替え玉3つ!!少々お待ち下さい!」
ソウが頼んでくれたので、替え玉はすぐにきた。
ユリも替え玉を頼むようだ。
「リラちゃんも食べるわよね? 替え玉2つお願いしまーす」
結局3回替え玉を注文した。
みんながおかわりを食べている間、ユリはお店の人と話をしていた。
おかわりの文化についてらしい。
最後に女の人が、デザートを持ってきた。
白いゼリーみたいなもので、美味しかった。
お店を出てからも、みんなが美味しかったと言っていた。
なんだか懐かしい味だった。
ラーメンの後は、ユリが買い物に行くらしい。
みんなでついて行くことになって歩いていると、ソウが知り合いに捕まった。ソウは置いていくことになった。
目の前まで来ていたお店につくと、すぐに店員が飛んできた。
「これはユリ・ハナノ様、ご来店ありがとうございます。本日のご用件はいかがいたしましょう?」
「まずは、冬箱、真冬箱を1つずつ購入と、あとは、冬箱の製作依頼です」
「製作依頼でございますか? 少々こちらでお待ち下さい。店主を呼んで参ります」
店の奥のテーブルの有る場所に案内されて、店員はどこかへ行った。
ユリは座ったけど、初めて来たのでお店の中を見ることにした。
ユリはずっと話をしていたので、リラと一緒にゆっくり店内を見て回った。
少し飽きてきてユリのところに戻ると、お店の人が何か説明しているところだった。
「この真裏くらいに店がございます。まあ、腕だけは良いので、変わったものを注文するには向いていると思います」
お店の人は方向を指しながら説明していた。
ユリはお礼を言って、店をあとにした。
店の外にソウが待っていた。
「この後、夏箱を作っているお店に行こうと思うの。この裏の通りに有るらしいわ」
ユリが手で行く先を示した。
大人とリラが、あれ?という顔をしていた。
「ユリ、本当にその方向?」
「んー、リラちゃん、どっちだと思う?」
「こっちだと思います」
リラの指した方向はユリと90度違った。
「じゃあ、そっちで。あはは」
何でも知っていて 何でもできるユリは、実は方向音痴らしい。
お店の前に立っている人に ユリが声をかけた。
「こちら夏箱のお店と聞いてきたんですが?」
「そうです!そうです!夏箱に誇りをかけてます!冬箱なんかには負けません!」
お店の人は色々主張していたが、少しお門違いな感じだった。
少しして、やっと普通に話し出したので、安心して店内を見て回ることにした。
見た目はさっきの店とあまり変わらないものがおいてあった。
でも色が違う。暖色が多い気がする。
色の違いだけなら見てもあまり面白くないのでユリのところに戻ると、ユリも帰ろうとしていた。
店を出ると、水の日に届くと話していた。
何に使うのか聞くと、冬のお茶に使うらしい。
「みんな、付き合ってくれてありがとう!」
ユリが笑顔でお礼を言っていた。
次回は9月19日13時の予定です。




