夢の送迎
今日は、ユリがお菓子を教えに行く日なので早く起きた。
ユリはすっかり支度が終わっていて、ソウも出かけた後だった。
「おはようにゃ」
「あ、ユメちゃんおはよう」
「何してるにゃ?」
「今日持って行く物を確認しているのよ」
ユリは箱に入ったものを数えたりしていた。
色つきココットの他、同じ箱が16個もある。
「よし、これで全部ね。あ、ユメちゃん 何か食べる?」
「まだ要らないにゃ」
「じゃあ、パウンドケーキ持っておく?」
「そうするにゃ」
ユリはカットしたパウンドケーキを2つくれた。
少しくすると、大人が迎えに来た。
ユリは少し話をしてから荷物を頼んでいた。
16個の箱とココットを乗せると座席がいっぱいだった。
出発し、今日は何を作るのかと聞くと、パンプキンプリンだと教えてくれた。とっても楽しみだ。
それにしても狭い。
どうやらこの箱の荷物は、挽き肉を作る器械らしい。
ふと見ると、紙の束があった。
4束あって、全部同じ物に見える。
ユリに聞くと、ハンバーグのソースのレシピと、アレンジメニューのレシピだと言った。
内容を聞くと、とても美味しそうだったので、今度作って欲しいと頼んでおいた。
到着すると、ユリは ローズマリーと何か話をしていた。
大人と一緒に箱を下ろしてもまだ話していたので、何の話をしているのかなとそばに行くと、どうもリラの事を話しているようだった。
あのおばちゃんが、またリラに意地悪するかもしれないのか?
「サリー、ユリ様の御者に、娘を迎えにいくよう伝えなさい」
「かしこまりました」
よし、一緒に行って説明しよう。
サリーと呼ばれるいつも手伝ってくれる女の人について行った。
おじさんがいっぱいいる部屋に、大人はいた。
そばまで行き、話しかけた。
「意地悪なおばちゃんが来るから、リラが危ないってユリが言ってるにゃ」
「ユリ様が、心配されていらっしゃいますので、奥さまより、娘さんを迎えに行くよう言付かって参りました」
「あ、ありかとうございます。ではすぐにでも」
大人は走っていこうとして、止められていた。
「早荷用の馬車ですが、子供なら一緒に乗れるでしょう。こちらをお使いなさい」
いつもパープル侯爵と一緒にいるおじさん(執事)だった。
「ありがとうございます。領主様と奥方様へ感謝を、」
「わかったから、とにかく早く行きなさい」
「急いで娘をつれて参ります」
「はい、気をつけて」
大人を見送った。
「サリー、奥様に報告を」
「かしこまりました」
急いでユリのところに戻った。
「説明したにゃ!すぐに来るにゃ!」
「ユメちゃんありがとう」
「ローズマリーさん!ありがとうございます!」
ユリは嬉しそうにお礼を言っていた。
ユリは新しい生徒を紹介されていたので、いつもの高い椅子に座って、持ってきたパウンドケーキを食べることにした。
「ユメ様、よろしければミルクをどうぞ」
「ありがとにゃ」
サリーがコップにミルクをくれたので、お礼を言って受け取った。
みんな色々量ったり用意をしていた。
パウンドケーキを食べ終わり、ミルクも飲み終わると、サリーがコップを受け取りに来てくれた。
いつもニコニコして教えているユリが、今日は何だかため息をついていた。
どうしたんだろう?
「わたくしが器を洗うんですの!?」
何か騒いでいるのがいた。
ユリは呆れたように又ため息をついていた。
あの騒いでいるのがユリに迷惑をかけているんだとわかった。
良く見ていると、他の人と作り方が違って、時間がかかっていた。
ユリが、牛乳を温めてください。誰か見ていないと吹き零れますよ。と声をかけていたのに、騒いでいた二人は吹きこぼしていた。
他の人は、みんな大事そうに作っているのに、なんだか、嫌々作っているように見えた。
そのあとも、他の人と違う作り方で、時間がかかっていた。
又、ユリがため息をついた。
いつもニコニコのユリが、今日は何だか辛そうで嫌だな。
ユリと一緒に作っているサリーもラベンダーも困っているみたいだった。
すると、女の人が走って来てサリーに何か言っていた。
サリーは、リラが来たけど様子がおかしいらしいと教えてくれた。
サリーの案内でユリも行くらしいので、椅子から飛び降りてついていった。
リラがいたのは、さっきとは違う場所で、入口のそばだった。
「あ!ユリ様!」
「リラちゃん、大丈夫だった?」
「大丈夫にゃ?」
「大丈夫です。でも、手紙をもらいました。読んだけどよくわかりませんでした」
「私が見ても良いの?」
「お願いします」
リラは、黄色い封筒の手紙をユリに渡していた。
ユリが手紙を読んでいる間、リラに聞くと、リラが一人でいると知らない人が来て手紙を渡され、困っているところにお父さんが迎えに来た。と言っていた。
ユリは顔をしかめながら手紙を読んでいた。
んーと唸りながら考えながら読んでいるようだった。
ユリはリラから手紙を預かり、リラはサリーを迎えに来た女の人と厨房見学に行くらしい。
ユリはみんなのところに戻った。
ユリは手紙が難しいと言ってローズマリーに渡していた。
受け取ったローズマリーも、顔をしかめて読んでいた。
あの手紙、いったい何が書いてあるんだろう?
読み終わったらしいローズマリーが、分かりやすく説明していたけど、ユリは怒っているようだった。
ユリが怒っているのを初めて見た。いつもニコニコして優しいユリを怒らせるなんて、手紙の内容はろくでもないんだな。
ユリがローズマリーと話している内容で、手紙はあのおばちゃんからだとはっきりわかった。
ユリはローズマリーに手紙の代筆を頼んで手紙を送ることにしたらしい。
ちらっと覗いたけど、難しい言葉で手紙は書かれていて、最後にユリが署名をしていた。
手紙を送った後みんなのところに戻ると、ちょうどパンプキンプリンが出来ていた。
少し冷やしてから食べるらしく、先にお昼ごはんを食べることになった。
ごはんの後、ユリがカボチャの保存の話をしていたけど、魔力を使って保存するより、買った方が安いんじゃないかなと思った。
少しするとパンプキンプリンが運ばれてきた。
ユリから1つ貰い、残りはサリーに渡していた。
サリーはニコニコしながら泣きそうだった。
ユリは持ってきた箱を渡すらしく、何人かに説明をしていた。
いっぱい人が来て、渡した箱を全部持っていった。
サリーとラベンダーは一緒に行くらしく、ユリとリラを迎えに行くことになった。
大きな調理場につくと、リラが楽しそうに話をしていた。
ユリは、リラに声をかけ、少し話してから調理場の人に話をしていた。
あの、和風ハンバーグの作り方が書いてある紙を渡すらしい。
楽しそうに話してから帰ることになった。
帰りはリラと手を繋いで一緒の馬車に乗って帰った。
リラは、まるでお部屋にいるみたいに揺れなかった!と、驚いていた。
次回は9月17日13時の予定です。




