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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇新生ユメ◇

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夢の歓喜

どうしよう。ホットドッグを食べたいけれど、新しい方も食べたいし、でも2つは食べきれそうにない。


「まだお腹空いていないなら、空いてから声かけてくれればその時作るわよ?」

「にゃー。とりあえず、ホットドッグだけ食べるにゃ」


作っているユリに告げると、笑って了承してくれた。


出来上がったものを食べながら、リラがユリに質問した。


「ユリ様、メニューの最後についている数字はなんですか?」

「食べたら回復する魔力の時間換算の数字ね」

「え、えーーー!」


聞いたリラはもちろん驚いていたけれど、ユリは、そんなことまでわかるようになったのか。売る側も買う側も扱いやすくなったと思う。


私が考えていると、ユリはリラと話していたと思ったら突然立ち上がり、入り口の外を見に行った。


又並んでいるらしい。

まあ、客からしたら久しぶりすぎるのだから、並んででも買いに来るのだろうと思う。


「13時からって伝えてありますけど、何せ5年ぶりですし」

「とりあえず、リラちゃん、イリスさん、マーレイさんは、休憩に入ってください。ユメちゃんはどうする?」


さっき来たばかりだし、勿論!


「手伝うにゃ! 」

「お店出て大丈夫なの?」


作っているユリほどは騒がれないと思うけど、自覚ないのかなぁ?


「王族と、公爵は来ないにゃ。来ても黙ってるにゃ」

「おねがいします」


頼まれたから、頑張ろう!


「ユリ、俺も手伝うぞ」

「ソウも大丈夫なの?」

「ユリが作ってる現状で、誰が手伝っていても、驚かれないと思うよ?」


驚かないけど、怯えないかどうかは別なような・・・。


「うーん、そうなのかもしれないわね。なら、販売だけの人に少し売って、列を減らしましょう」

「魔道具の鞄に入れて売ってくると楽にゃ」

「なら、ユメちゃんに指輪を返して鞄にして持っていく?」

「ありがとにゃ」


ソウの鞄と、ユリから一時的に返してもらった指輪の鞄を、見える普通の鞄にして、黒糖フルーツパウンドケーキ、世界樹様のクッキー、黒猫クッキー、普通のパウンドケーキを各種50個ずつ入れていった。ソウの分と合わせて100個ずつ有る。


◇ーーーーー◇

女神の慈愛・パウンドケーキ 1本5万☆(フル)

女神の慈愛・パウンドケーキ 1枚5000☆(フル)

時送り・世界樹様のクッキー 1枚2000☆(素早さ)

黒猫クッキー        1枚500☆(11)

世界樹様のクッキー     1枚500☆(11)売切れ

フルーツパウンドケーキ   1枚500☆(10)

お一人様、いずれも10個まで。

◇ーーーーー◇


値段を書いた紙を掲げながら呼び掛けた。


「お店で食べない人に売るにゃ!」


ソウを見ておののく人以上に、私を見て驚く人が多かった。


「おおー! 黒猫様! ご健在で何よりです!」

「ユメ様、お元気で良かったです!」

「黒猫様に又お会いできるとは! 実に喜ばしいことです!」


帰還を喜んでくれるのか!

ルレーブじゃなく、黒猫のユメとして喜んでくれるのか!


「ユメ、帰ってきてよかったな」


ソウがにこやかに同意していた。


「ユメ、よかったー、ユメ、よかったー」

「にゃ! キボウ、ついてきたのにゃ?」

「クッキー、クッキー、キボーのクッキー」


「にゃー。キボウのクッキーはキボウが売るのにゃ?」

「あたりー!」


「ユメ様、そちらのお子さんはどちらのお子さんでしょうか?」

「キボウは、世界樹様の幼木にゃ。世界樹様のクッキーはキボウが手伝うから、素早さが上がるのにゃ」

「なんと! あの噂は本当だったのですか!?」

「どの噂にゃ?」

「ハナノ様がお作りになったお菓子が、魔力全回復という・・・」

「本当にゃ。女神の慈愛が入ってるにゃ。王様が実証済みにゃ」


「う、売っていただけるものすべて売ってください!」

「高いのにゃ。何個要るのにゃ?」

「一万☆しか持って来ていないので、5万☆の以外を」


数字の意味などを説明しながら私がお菓子を鞄から出していると、ソウは並んでいる人からノートのようなものを受け取っていた。


世界樹様のクッキーはキボウが手渡しし、黒猫クッキーは、私が手渡しし、数が多いものはソウがまとめて渡してくれた。


途中リラが手伝いに来てくれた。

恐れおののく相手(ソウ)より、リラからの方が買いやすいらしく、サクサク進んだ。


先にパウンドケーキがなくなり、黒猫クッキーと世界樹様のクッキーが残ったので、ソウが先に戻った。


キボウは、クッキーの歌を歌いながら売っているので、リラが受け答えをするまで、なかなか進まなかったけど、キボウが歌っている間にリラがやり取りをしているので、歌が終わったときにクッキーを渡すだけになり、残りもすぐに売り切れそうだ。

先に黒猫クッキーを売り終わってしまって手持ち無沙汰にしていると、リラから声をかけられた。


「ユメちゃん、先に戻りますか?」

「ありがとにゃ。お店手伝ってくるにゃ!」


キボウをリラに任せ、先に店に戻った。


「売るのが無くなったにゃー」

「ユメちゃん、一緒にいてくれてありがとう!」

「どうしたにゃ?」


なぜか、ユリに突然感謝された。


「みんなのお陰で、良い店だなって思ったの」

「よかったにゃ」


何事もないなら、まあ、いいか。


「そろそろお店開けましょうか!」


イリスも休憩から戻ってきたので、お店に行って、準備を始めた。

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