夢の再来
「◯◯◯ちゃん、◯◯◯ちゃん」
又、ユリが私を違う名前で呼ぶ。
そうだ、これは夢だったと思いだし、そのままユリの話すことを聞いていた。
「◯◯◯ちゃん、今日は何を食べましょうか?」
「くずきり!」
あれ、答えようと思ったら、話せなかった。
思ったことを言おうとしても、口から出るのは言葉にならない。
でも、ユリは困ってなさそうだったので、そのままユリの独り言を聞いていると、いつのまにか眠ってしまったらしい。
ふと起きると、いつもの部屋にいて、じっと見つめるキボウが横にいて、驚いた。
「ユメ、かえってきたー」
「どういう意味にゃ?」
「ユメ、いなーい。キボーしんぱーい。ユメかえってきたー」
「全くわからないにゃ。なにか心配してくれたのにゃ?」
「あたりー」
「ありがとにゃ」
キボウはなにか納得したのか、満足そうに部屋を出ていった。
なにか食べようと思ってリビングに行って、どこか違和感があった。
なんだろう?
廊下からリビングに入った瞬間、違和感を感じたのだ。
キョロキョロしたが、違和感の正体がわからず、あきらめてテーブルを見ると、バターロールになにか挟んだものがおいてあった。
ラップフィルムに包まれ、皿に乗っている。
一緒に黒猫模様のカップが伏せてあるので、これは私の分だろう。
ラップフィルムを剥がし、取り出すと、ソーセージが挟まったホットドッグのようなパンだった。
中には炒めたキャベツのようなものが入っていて、上にケチャップとソーセージが乗っている。他に、少しだけ粒マスタードが乗っていた。
ユリが作ったのだから、辛すぎることはないだろうと考え、そのままかじりついた。
おいしい! これはお弁当にも良さそうだ。
2つ置いてあるのを見たときには多いかなと思ったけれど、ペロッと食べてしまった。
又食べたいなぁと考えていると、廊下を歩く音が聞こえた。
ソウかな?
そろそろ私も手伝いに行かなければ。そう思って振り返ったとき、最初に感じた違和感の正体に気がついた。
「どうなってるにゃー!」
キボウが、木の舟の上に寝転がっていた。
明らかにサイズがおかしい。
「ユメ、のるー?」
「乗らないにゃ。なんで舟が大きくなってるにゃ?」
「んーーー。ふね、おおきー!」
「聞いた私がバカだったにゃ」
「まだ大きくなるのにゃ?」
「ふねおおきー、キボーのるー、キボーのるー、ふねおおきー」
「にゃー。キボウが乗れるサイズになったから、もう大きくならないって感じにゃ?」
「あたりー」
「とうとう、通訳できるようになったにゃ」
少し複雑な気持ちになりながらも、もう一つの違和感について思い出した。
「キボウ、一番最初はもう少し文章しゃべってなかったにゃ?」
『できるけど、でもめんどうだよー』
今度は、口が動いていなかった。
「今のは、しゃべったんじゃなくて、送ってきたのにゃ」
「あたりー」
「難しいことを伝えたいときは、面倒でも、送ってきたら良いにゃ」
「・・・わかったー」
まだ何もしていないはずなのに、どっと疲れたユメだった。




