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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇少女ユメ◇

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夢の懐古

今日も良い匂いがする。

目が覚めると とても良い匂いがした。

ユリが何か焼いているのかな?


リビングに行くと、ちょうど11:00だった。

冷蔵庫のお茶だけ飲んで階段を降りた。


おはようの挨拶の後、手伝うか聞くと、何か食べるか聞かれた。

後で良いと断ってリラを見ると、ごはんをよそっていたので、違うものを手伝おうと思った。


アイスを出してきてトレーに乗せると、葉っぱ型クッキーも添えるように言われた。

アイスは、花なのかな?

スプーンとクッキーを添えトレーに乗せていくと、リラがどんどん運んでいく。


リラが運んでいってしまったので、ごはんをよそってユリに渡した。

少し驚いたようなユリが、ありがとうと言ってニコッと笑って受け取った。

そうか、ごはんを渡すとユリは料理だけできて早くなるのか!

料理は3個ずつ出来上がるので、トレーにアイスを乗せる他に、ご飯を3個ずつ渡した。


少し手が空いて、ユリが今日の料理はカツ丼だと説明してくれた。

豚肉にパン粉をつけて油で揚げてから、親子丼みたいに美味しい汁で煮て、卵を溶いたものを加えると言っていた。

親子丼より更に難しそうだ。



客が食べ終わって帰る頃、ソウと大人が来た。


「カツ丼まだある?」


ソウがユリに聞いていた。


「えーと、4人前有るわね」

「何が足りないの?」

「玉ねぎと、三つ葉ね」

「カツはあるの?三ツ葉は要らないけど・・・」


ソウは三ツ葉が嫌いなのかな?

そういえば、ユリは、親子丼のときもソウの分だけ三つ葉を乗せていなかった。


「カツは全部で6枚あるのよ。カツカレーができるわ」

「俺、カツカレーにする!」


ソウは何か違うものを食べたいらしい。

でもせっかくだからカツ丼を食べてみたかったので、主張してみる。


「カツ丼にゃ」

「カツ丼が良いです!」


リラもカツ丼が食べたいらしい。


「マーレイさんは?」

「カツ丼にしても良いですか?」


大人は遠慮ぎみに頼んでいた。

食べたいものを聞かれたんだから食べたいものを言えば良いのに。


「食べたいのを食べてください、ふふふ」


ユリも同じように思ったらしい。


「リラちゃん、作ってみる?」

「はい!」

「覚えているなら先につくって良いわ、心配なら私が先に作るわよ?」

「作ります!」


またリラは作るらしい。リラ凄いな。

今日も作るのをじっと見ていた。

そのうち作れるようになるかなぁ?


カツ丼を作る鍋が3個だから、材料は4人前有るけどソウと同じカツカレーを食べるとユリは言っていた。


ユリが1つ作って、リラは2つ作っていた。

残っている漬け物が4個しかなかったので、5個に分けてみんなの分を作った。


カツ丼が出来上がりそうだったので、ご飯を3つ渡した。


そのあとユリがカツを乗せたカレーを2皿作り、テーブルに持ってきて、リラが冷茶を持ってきた。


あと足りないものはなんだろうと考えて、全員の分のアイスを持ってきてみた。


ユリがにっこり笑ってうなずいていた。



食べ始めると、大人は目を潤ませて食べていた。

リラが上手に作ったのだろう。

ユリにお礼を言っている。

教えたユリはやっぱり凄いんだな。


食べ終わったあと、少しだけ休憩してリラにノートを見せて貰った。

昨日の親子丼の絵に色がついていた。

とても美味しそうな絵だった。


休憩が終わり、客が来たので手伝いを始めた。

みんなアイスの葉っぱクッキーを喜んでいた。


ソウは結界を確認してくると言っていたが、ユリには、見回りと言って外に行った。

結界は、ユリには内緒なのかな?

かなり強固な結界が張って有るけど、ユリは感知していないらしい。


店でユリがきな粉の説明をしていた。

聞いた人は変な顔をしていた。豆の粉が美味しいのはみんな不思議に思うらしい。



ソウと大人が戻ってきて、イチゴアイスとパイナップルアイスを作ることになった。

いつもユリが作っているアイスのソースは要らないらしい。


「イチゴ6回、パイナップル4回、ココット40、中デッシャー140です」


ユリは、アイスクリームの準備をしたあとはクッキーを焼いていた。


「家内用に試してみたいアイスクリームがあるんだけど、付き合ってもらえますか?」

「何作るの?」

「抹茶クッキーで、クッキー&クリーム風です」


みんな大賛成だ。


ユリがクッキーを焼いている間は、リラがお店を見ていた。ユリの納得するクッキーが焼けたらしい。ユリはアイスのソースを作ったり、店を見に行ったりしていた。


おかわりの人が多かったので、売り切れてしまい、いつもより早く閉店することになったらしい。



またユリが夕飯リクエストを聞いていた。

こってりしたものが食べたいと伝えた。

リラも同じものが食べたいと言い、大人は、皆さんと同じものをお願いします。と言っていた。

ソウが、俺パスタ食べたい。と言ったら、ユリが、カルボナーラで!と言って作るものがきまった。


まだアイスクリームは作り終わっていない。

リラがユリに声をかけると、ユリは抹茶のクッキーを砕いて持ってきた。

アイスが出来上がる寸前に混ぜると緑色の砕けたクッキーの粉がバニラに混ざって美味しそうだ。


全員でココットに詰め込んで、24個出来た。

みんなで分けるとユリはカルボナーラを作りに行った。


「あ、抹茶クッキー入りは、感想がほしいから、日にちを分けて食べてね」


ユリに注意されたけど、15個全部はさすがに食べない。と思う。


「あ、ユリ様、もう作ってる!」

「リラ、後はやっておくから見てこい」

「ありがとうございます!」


ソウが声をかけると、リラはユリの方へ行ってしまった。

良いな、見に行きたいけど、作れる訳じゃないからな・・・。そう思っていたらソウが、「ユメも見に行って良いぞ。あとはマーレイとやっておくから」と、見に行って良いと言ってくれた。

ソウ、ありがとう!


ユリは、リラにベーコンの説明をしていた。

ベーコンにも種類があるんだなぁ。

でもユリもあまり詳しくないらしい。ユリが知らないなんて、めずらしいと思った。


ユリがカルボナーラの作り方を説明すると、リラがとんでもないことを言い出した。


「生クリームと卵黄を使うなんて、アイスクリームみたいですね」


ベーコン入りのアイスは嫌だー!



ユリは麺を1本取り出して噛んでいた。

茹で具合を見ているらしい。


「食べてみる?この断面のほんの少し残った芯の様なものがある状態をアルデンテといって、ちょうど良いスパゲッティーの茹で加減と言われているのよ」


見せてもらった麺の断面は、真ん中だけ少し黄色だった。


少し熱い麺を1本もらって噛ってみると、真ん中が一番弾力があるみたいだった。


ユリは残りの麺をザルにあけていた。


「ソースに茹で上がったスパゲッティーを入れて()えます。黒胡椒をかけるのですが、削り器からそのままかけると削るところが湿気るので、削ってからかけてくださいね」


胡椒削り器でガリガリ削るのが面白くて、たくさん削っていたらユリに止められた。


「あまり沢山かけると辛いですよ」


リラと二人でビクッとした。

辛すぎるのは食べられない。


ユリは麺を皿に盛り付けて、削った黒胡椒をかけていた。


「はい、できあがりです。伸びない内に食べましょう」


ユリがサラダを作り、カルボナーラと一緒にテーブルに持っていくと、冷茶が用意されていた。


食べ始めるとリラが柔らかいグラタンみたい!と言っていた。


なんだか懐かしい気がする味だった。食べたことがある気がする。


「カルボナーラ食べたことがあるのか?」


驚いた顔のソウに聞かれた。


「わからないにゃ。知ってる気がするだけにゃ」


「ユメちゃん、お箸使えるし、本当に食べたことがあるのかもしれないわね」


ユリに言われてそうなのかもしれないと思った。


「ソウに会う前、食べたいものがあったにゃ。それがこれだった気がするにゃ」


ソウと会う前、お腹が空いて辛かった頃、こんな料理が食べたかった気がするのだ。


「ユメ、今度 とんこつラーメン食べに行ってみるか?」

「!?・・・聞いたことがある気がするにゃ!行くにゃ!」


ユリはリラも誘っていた。

リラも来ると良いな。


ユリが声をかけたけど、リラは遠慮しているみたいだった。

するとソウが大人に交渉して、リラも来ることになった。


今度のおひさまの日にみんなで行くことになった!

次回 09月12日 13時00分です。

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