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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇少女ユメ◇

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夢の料理

昨日は疲れたのか、起きたらお昼過ぎだった。

リビングに置いてあるデジタル時計は、12:42を表示していた。


冷蔵庫にあった冷たいお茶を少しもらい、スッキリ目が覚めた。


ユリの手伝いに行こう。


下に降りて声をかけると、ユリにごはんの心配をされた。

まだ、食欲はないので、みんなのお昼ごはんと一緒に食べると言っておいた。


するとユリから、休憩室にある布を選ぶように言われた。エプロンを作るらしい。


休憩室に布を見に行くと、花柄の布がたくさん避けてあった。

箱には色々な布があって、しましまや水玉、格子柄やレース生地も入っていた。

ユリはエプロンを作ると言っていたから、きっと丈夫そうな布が良いのだろうと考え、避けてあった花柄の布と同じような丈夫そうな生地で、美味しそうな絵の描いてあるのを選んだ。


少しするとリラが迎えに来た。


「ユメちゃん、ユリ様が呼んでます」

「わかったにゃ」


選んだ布を持って行くと、ユリにお昼に何を食べたいか聞かれた。

お昼の希望は特になかったので、おすすめで良いと言い、布を渡した。


「じゃあ、親子丼にしましょう。布は避けておいてね。リラちゃん親子丼の作り方見る?」


リラは作り方を見るらしい。

一緒に見ることにした。


ユリは、普段作る場所ではなく、大きな鍋を置いている低いコンロで、見やすいように親子丼を作ってくれた。


説明しながら簡単そうにユリは作っていた。

でも、たぶん簡単じゃないと思う。

タレを入れて、肉と玉ねぎを入れて煮て、卵を入れて、火が通る前に・・・火が通る前って、どうやって見分けるんだろう? もう無理だ。

ユリはやっぱり凄いなぁ。


三つ葉を乗せ、親子丼ができあがった。

とても美味しそうにできあがった。


三人で食べていると配達に来た大人と、ソウが一緒に来た。


リラは早速作ってみるらしい。

そうか、あの大人に作るのか。

まだ食べ終わらなかったので見に行かなかったけど、リラは結構上手に作って持ってきた。

ユリが作ったソウの分と同じように美味しそうだった。

リラは一回見ただけで作れるなんて凄いなぁ。


ユリはソウの分を出した後、ゼリーを持ってきた。


親子丼は卵が美味しかったし、ゼリーは果物がいっぱいで美味しかった。お店のより大きい器だ。

親子丼は、少しだけ卵かけご飯みたいな味がした。


食べ終わると、ユリとソウはお店の話をしていた。

良くわからなかったけど、親子丼とポテトグラタンを両方食べた人がいたらしい。

凄くお腹が空いていたのかな?


話が終わるとユリがリラに休むように言っていた。

ところが、客が来たみたいで、リラもそのまま残っていた。

ユリと話していた客は、手紙とマークの入った刀みたいなのを見せていた。ユリは大丈夫なのかと心配になりソウを見ると、こちらを見て笑顔で頷いていたので大丈夫なのだろうと安心した。ソウがユリを危険にさらすはずがない。


ユリは受け取った手紙を読んで、休憩室から何か紙を持ってきて見比べていた。


ユリが納得したらしく、何かを売るみたいだ。


外からいっぱい人が来て、みんな子供みたいだった。

どうやらアイスを売るらしい。


箱を3台持ってきているのに、困っているようだった。

魔力が少ないと大変なんだなぁ。


するとユリが箱を受け取り充填していた。

受け取った客はものすごく驚いているように見えた。

ユリはゼリーもすすめたようで、他にも箱を取りに行ったみたいだ。


更にお昼ご飯もすすめたみたいで、残っているランチメニューを食べることになったらしい。

リラが手伝っていたので、一緒にカトラリーを出したりコップに冷茶を出したりした。


その客は、美味しい美味しいと言いながら食べていて、帰るときには、ユリがパウンドケーキを渡していた。


客が帰ると、ユリはほっとしたようだった。

とっくに食べ終わっていたソウも安心したらしく

また後で来るらしい。


ユリは冷茶の入った大きなボトルと、お菓子を持って外に行った。すぐ戻ってきて、冷凍庫を開け数えているみたいだった。



手伝うか聞いてみた。


「ありがとう。シャーベット1.6倍を1回作ろうと思うの」

「はい!」


リラが返事をしたら、ユリはリラに断っていた。


リラがお休みなら、がんばろう!

ユリが困らないように、いつもリラがしているように、お店の客にゼリーやシャーベットをだした。

ユリが嬉しそうにお礼を言っていて、嬉しくなった。

いっぱいがんばろう!


お店は15席だけど、シャーベットとゼリーを買う人がいるので、袋が心配になった。

ユリにどこにあるのか聞くと休憩室に有るらしい。

すぐ取りに行けるところなら安心だ。


ユリの作っているシャーベットが出来上がりそうなので、アイスの入れ物はどこに有るか聞くと、冷蔵庫に入れてあるらしい。30個くらい頼まれた。


スプーンと一緒に出しておくと言うと、大デッシャーもたのまれた。昨日と違うのかな?入れ物は、35個出しておいた。


「シャーベットできたわ!」


ユリはボールにあけたシャーベットに大デッシャーを突っ込みココットに乗せていった。


こんな簡単な方法があったのかと驚いた。

どうやらこぼれるので緊急用の方法らしい。


ユリと一緒にスプーンで詰め込んで、33個できた。急いで冷凍して、器具を片付けた。


終わると、ユリがシャーベットを1つくれた。

食べながらみていると、ユリは忙しそうに動いていた。水に浸けた大きなボールは、すぐには固まりが落ちないかららしい。


落ちない洗い物はわからないので、お店の手伝いをした。

少しするとリラが戻ってきて、片付けを始めたので、袋を取りに行くことにした。


休憩室に入ると、開いたままのノートが目に入った。

親子丼の作り方と、親子丼の絵が描いてある。

とても上手な絵だった。リラが描いたのかな。凄いな。


袋を持っていくと、片付けものは終わったらしく、ユリが何か作り始めていた。

凄く良い匂いがする!


ユリのそばに見に行くと、黒蜜を作っているみたいだ!

ユリは作り方を説明してくれた。

さわると熱いから気を付けるように言っていた。

とても良い匂いだ!


ふと思い出し、休憩室で見たリラの絵が上手だったとユリに言った。


「いつ見たの?」


ユリとリラが不思議そうな顔をしていた。

休憩室に袋を取りにいったときだと言うと、リラがノートを閉じていなかったことを思い出したようだ。


ユリからも見せて欲しいと言われ、リラはノートを持ってきた。

感心した様子のユリは、少しお店を見ててと言って、2階になにか取りに行った。


戻ってきたユリは、色鉛筆と鉛筆削り器を持っていた。


「これは色鉛筆。この先の色の部分だけが書ける場所で、これは鉛筆削りといって、先を削る道具。これをあげるから絵に色をつけると良いわ」

「凄い!色が色々有る!」


リラは大喜びだった。


なにかユリは焦ったように呟いた。


「あ、これ・・・」


どうしたかと訪ねると、溶ける色鉛筆だというのだ。

鉛筆本体がぐにゃっと溶ける想像をし、何でできているんだろう?と考えた。そして聞いてみると、水で濡らすと絵の具になるという。


なんだそれ?


ユリは筆を取って来ると言って、また2階へ行った。


「これ水筆。ここを開けて水を入れると使えるわ。10分くらいやってみてても良いわよ。はい、要らない紙」


リラと一緒に急いで休憩室に行き、色鉛筆で少し絵を描き、水筆で塗ってみた。

少し線が残って、大体溶ける。


葉っぱを描いて葉脈を引いて水筆で塗ると、葉脈の線が残ったまま葉っぱに色がつく感じた。


面白いけど、リラの絵をみると、描くより見る方が良いかなと思った。リラの絵は凄い。


リラが時計を見て、10分立ちました!と言うので、お店に戻って片付けを始めた。



お店がだいぶ落ち着いた頃、ソウと大人が戻ってきた。

ユリはすぐにアイスを作り始めるらしい。


「先にバニラ6回、黒蜜きな粉4回、ココット40、中デッシャー140です」


何度も手伝ったので、いつも用意するものを用意して、できあがったアイスはさっさと冷凍庫にしまい、順調だ。


作りながらユリが、黒蜜を持ち帰る方法がないかと聞いていた。


きかねつ?だんだん難しい話になり、意味がわからなくてリラと他の話をしていた。


きな粉が何でできているのか知らないらしいので、リラに教えておいた。

確かに、きな粉は不思議だ。豆なのにお菓子で美味しくて。


今日は、早く終わったらしい。

ユリがたっぷりアイスをくれた。

とりあえず冷凍し、ごはんを食べることになった。

リクエストを聞かれたので、甘いのが食べたいと答えておいた。

リラも食べたいと言ったけど、大人は何か調子が悪そうだった。


「鶏肉の照り焼きはいかがでしょう?」

「確かに甘いな」


ユリが言い、ソウが肯定した。

リラも同意したら、調子の悪そうな大人は同じものを、お願いします。と言っていた。

食べたくないのなら違うものを言えばいいのにどうしてだろう?


ユリはリラに教えるらしいので、一緒についていった。


鶏モモ肉を5枚用意して、ユリはタコ糸を持ってきた。


「私が3枚作るから、リラちゃんとユメちゃんは、自分の分を作ってみる?」


とユリに聞かれた。

作れるなら作ってみたい!


まずは1枚作って見せてくれた。

広げた鶏モモ肉を平らになるように少し切ってから、塩、胡椒をして丸めて、タコ糸で巻くようにして形を整えるらしい。


教えて貰ったようにして作ってみた。

ものすごく難しかった。

ユリは簡単そうにくるくるっと巻いていたけど、太さが同じにならない。糸が綺麗に巻けない。

リラにも難しかったらしく、やはり苦戦していた。


「焦らず作ってちょうだい」


ユリはにっこり笑いながら、さっさと3つ作っていた。

少し待ってもらい、少し直してもらい、ようやく5個が完成した。


リラも、ふーと息を吐いていた。


フライパンに並べ、皮を焼いていく。

ユリは器用に焼き色の場所を変えながら焼いていった。


「これをね、色づくまで焼いたら、お酒と味醂と砂糖と醤油で味をつけるのよ」


リラと一緒に見ているが、美味しそうだし、良い匂いだ。


「煮詰まってくると艶が出てくるから更に美味しそうになるわよ」


リラと一緒に皿やカトラリーを出し、食べられるように準備した。


「これを、くるくるーとほどいて、包丁で食べやすい厚さに切ります」


糸をほどくのをやらせてもらった。

お肉がくるくる回って面白かった。


切るのは熱いので、ユリがやってくれるらしい。


リラがサラダを用意していたので、ご飯をよそった。

ユリがトレーに3皿持っていくので、リラと一緒に自分の分を持って行った。


「お!ロールチキン!」

「お手伝いしてくれる人が居ると作るのが早いわねー」


ソウに、手伝って作ったことを自慢しておいた。


いただきますと言った後、みんなで大人を見ているので、一緒に見てみた。


「こ、これは! 甘くてうまい!!、あ、いえ、とても美味しいです!」


みんな安心して食べ出した。

そういえば、調子が悪そうだったの治ったのかな。


できた料理はとても美味しかった。

自分で作ったから美味しいのか、ユリが教えてくれたから美味しいのか、きっと両方だと思う。



「デザートに、ゼリーはいかが?」


もちろん全員が食べると言った。



明日はイチゴアイスをつくるらしい。

次回 09月11日 13時00分です。



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