夢の料理
昨日は疲れたのか、起きたらお昼過ぎだった。
リビングに置いてあるデジタル時計は、12:42を表示していた。
冷蔵庫にあった冷たいお茶を少しもらい、スッキリ目が覚めた。
ユリの手伝いに行こう。
下に降りて声をかけると、ユリにごはんの心配をされた。
まだ、食欲はないので、みんなのお昼ごはんと一緒に食べると言っておいた。
するとユリから、休憩室にある布を選ぶように言われた。エプロンを作るらしい。
休憩室に布を見に行くと、花柄の布がたくさん避けてあった。
箱には色々な布があって、しましまや水玉、格子柄やレース生地も入っていた。
ユリはエプロンを作ると言っていたから、きっと丈夫そうな布が良いのだろうと考え、避けてあった花柄の布と同じような丈夫そうな生地で、美味しそうな絵の描いてあるのを選んだ。
少しするとリラが迎えに来た。
「ユメちゃん、ユリ様が呼んでます」
「わかったにゃ」
選んだ布を持って行くと、ユリにお昼に何を食べたいか聞かれた。
お昼の希望は特になかったので、おすすめで良いと言い、布を渡した。
「じゃあ、親子丼にしましょう。布は避けておいてね。リラちゃん親子丼の作り方見る?」
リラは作り方を見るらしい。
一緒に見ることにした。
ユリは、普段作る場所ではなく、大きな鍋を置いている低いコンロで、見やすいように親子丼を作ってくれた。
説明しながら簡単そうにユリは作っていた。
でも、たぶん簡単じゃないと思う。
タレを入れて、肉と玉ねぎを入れて煮て、卵を入れて、火が通る前に・・・火が通る前って、どうやって見分けるんだろう? もう無理だ。
ユリはやっぱり凄いなぁ。
三つ葉を乗せ、親子丼ができあがった。
とても美味しそうにできあがった。
三人で食べていると配達に来た大人と、ソウが一緒に来た。
リラは早速作ってみるらしい。
そうか、あの大人に作るのか。
まだ食べ終わらなかったので見に行かなかったけど、リラは結構上手に作って持ってきた。
ユリが作ったソウの分と同じように美味しそうだった。
リラは一回見ただけで作れるなんて凄いなぁ。
ユリはソウの分を出した後、ゼリーを持ってきた。
親子丼は卵が美味しかったし、ゼリーは果物がいっぱいで美味しかった。お店のより大きい器だ。
親子丼は、少しだけ卵かけご飯みたいな味がした。
食べ終わると、ユリとソウはお店の話をしていた。
良くわからなかったけど、親子丼とポテトグラタンを両方食べた人がいたらしい。
凄くお腹が空いていたのかな?
話が終わるとユリがリラに休むように言っていた。
ところが、客が来たみたいで、リラもそのまま残っていた。
ユリと話していた客は、手紙とマークの入った刀みたいなのを見せていた。ユリは大丈夫なのかと心配になりソウを見ると、こちらを見て笑顔で頷いていたので大丈夫なのだろうと安心した。ソウがユリを危険にさらすはずがない。
ユリは受け取った手紙を読んで、休憩室から何か紙を持ってきて見比べていた。
ユリが納得したらしく、何かを売るみたいだ。
外からいっぱい人が来て、みんな子供みたいだった。
どうやらアイスを売るらしい。
箱を3台持ってきているのに、困っているようだった。
魔力が少ないと大変なんだなぁ。
するとユリが箱を受け取り充填していた。
受け取った客はものすごく驚いているように見えた。
ユリはゼリーもすすめたようで、他にも箱を取りに行ったみたいだ。
更にお昼ご飯もすすめたみたいで、残っているランチメニューを食べることになったらしい。
リラが手伝っていたので、一緒にカトラリーを出したりコップに冷茶を出したりした。
その客は、美味しい美味しいと言いながら食べていて、帰るときには、ユリがパウンドケーキを渡していた。
客が帰ると、ユリはほっとしたようだった。
とっくに食べ終わっていたソウも安心したらしく
また後で来るらしい。
ユリは冷茶の入った大きなボトルと、お菓子を持って外に行った。すぐ戻ってきて、冷凍庫を開け数えているみたいだった。
手伝うか聞いてみた。
「ありがとう。シャーベット1.6倍を1回作ろうと思うの」
「はい!」
リラが返事をしたら、ユリはリラに断っていた。
リラがお休みなら、がんばろう!
ユリが困らないように、いつもリラがしているように、お店の客にゼリーやシャーベットをだした。
ユリが嬉しそうにお礼を言っていて、嬉しくなった。
いっぱいがんばろう!
お店は15席だけど、シャーベットとゼリーを買う人がいるので、袋が心配になった。
ユリにどこにあるのか聞くと休憩室に有るらしい。
すぐ取りに行けるところなら安心だ。
ユリの作っているシャーベットが出来上がりそうなので、アイスの入れ物はどこに有るか聞くと、冷蔵庫に入れてあるらしい。30個くらい頼まれた。
スプーンと一緒に出しておくと言うと、大デッシャーもたのまれた。昨日と違うのかな?入れ物は、35個出しておいた。
「シャーベットできたわ!」
ユリはボールにあけたシャーベットに大デッシャーを突っ込みココットに乗せていった。
こんな簡単な方法があったのかと驚いた。
どうやらこぼれるので緊急用の方法らしい。
ユリと一緒にスプーンで詰め込んで、33個できた。急いで冷凍して、器具を片付けた。
終わると、ユリがシャーベットを1つくれた。
食べながらみていると、ユリは忙しそうに動いていた。水に浸けた大きなボールは、すぐには固まりが落ちないかららしい。
落ちない洗い物はわからないので、お店の手伝いをした。
少しするとリラが戻ってきて、片付けを始めたので、袋を取りに行くことにした。
休憩室に入ると、開いたままのノートが目に入った。
親子丼の作り方と、親子丼の絵が描いてある。
とても上手な絵だった。リラが描いたのかな。凄いな。
袋を持っていくと、片付けものは終わったらしく、ユリが何か作り始めていた。
凄く良い匂いがする!
ユリのそばに見に行くと、黒蜜を作っているみたいだ!
ユリは作り方を説明してくれた。
さわると熱いから気を付けるように言っていた。
とても良い匂いだ!
ふと思い出し、休憩室で見たリラの絵が上手だったとユリに言った。
「いつ見たの?」
ユリとリラが不思議そうな顔をしていた。
休憩室に袋を取りにいったときだと言うと、リラがノートを閉じていなかったことを思い出したようだ。
ユリからも見せて欲しいと言われ、リラはノートを持ってきた。
感心した様子のユリは、少しお店を見ててと言って、2階になにか取りに行った。
戻ってきたユリは、色鉛筆と鉛筆削り器を持っていた。
「これは色鉛筆。この先の色の部分だけが書ける場所で、これは鉛筆削りといって、先を削る道具。これをあげるから絵に色をつけると良いわ」
「凄い!色が色々有る!」
リラは大喜びだった。
なにかユリは焦ったように呟いた。
「あ、これ・・・」
どうしたかと訪ねると、溶ける色鉛筆だというのだ。
鉛筆本体がぐにゃっと溶ける想像をし、何でできているんだろう?と考えた。そして聞いてみると、水で濡らすと絵の具になるという。
なんだそれ?
ユリは筆を取って来ると言って、また2階へ行った。
「これ水筆。ここを開けて水を入れると使えるわ。10分くらいやってみてても良いわよ。はい、要らない紙」
リラと一緒に急いで休憩室に行き、色鉛筆で少し絵を描き、水筆で塗ってみた。
少し線が残って、大体溶ける。
葉っぱを描いて葉脈を引いて水筆で塗ると、葉脈の線が残ったまま葉っぱに色がつく感じた。
面白いけど、リラの絵をみると、描くより見る方が良いかなと思った。リラの絵は凄い。
リラが時計を見て、10分立ちました!と言うので、お店に戻って片付けを始めた。
お店がだいぶ落ち着いた頃、ソウと大人が戻ってきた。
ユリはすぐにアイスを作り始めるらしい。
「先にバニラ6回、黒蜜きな粉4回、ココット40、中デッシャー140です」
何度も手伝ったので、いつも用意するものを用意して、できあがったアイスはさっさと冷凍庫にしまい、順調だ。
作りながらユリが、黒蜜を持ち帰る方法がないかと聞いていた。
きかねつ?だんだん難しい話になり、意味がわからなくてリラと他の話をしていた。
きな粉が何でできているのか知らないらしいので、リラに教えておいた。
確かに、きな粉は不思議だ。豆なのにお菓子で美味しくて。
今日は、早く終わったらしい。
ユリがたっぷりアイスをくれた。
とりあえず冷凍し、ごはんを食べることになった。
リクエストを聞かれたので、甘いのが食べたいと答えておいた。
リラも食べたいと言ったけど、大人は何か調子が悪そうだった。
「鶏肉の照り焼きはいかがでしょう?」
「確かに甘いな」
ユリが言い、ソウが肯定した。
リラも同意したら、調子の悪そうな大人は同じものを、お願いします。と言っていた。
食べたくないのなら違うものを言えばいいのにどうしてだろう?
ユリはリラに教えるらしいので、一緒についていった。
鶏モモ肉を5枚用意して、ユリはタコ糸を持ってきた。
「私が3枚作るから、リラちゃんとユメちゃんは、自分の分を作ってみる?」
とユリに聞かれた。
作れるなら作ってみたい!
まずは1枚作って見せてくれた。
広げた鶏モモ肉を平らになるように少し切ってから、塩、胡椒をして丸めて、タコ糸で巻くようにして形を整えるらしい。
教えて貰ったようにして作ってみた。
ものすごく難しかった。
ユリは簡単そうにくるくるっと巻いていたけど、太さが同じにならない。糸が綺麗に巻けない。
リラにも難しかったらしく、やはり苦戦していた。
「焦らず作ってちょうだい」
ユリはにっこり笑いながら、さっさと3つ作っていた。
少し待ってもらい、少し直してもらい、ようやく5個が完成した。
リラも、ふーと息を吐いていた。
フライパンに並べ、皮を焼いていく。
ユリは器用に焼き色の場所を変えながら焼いていった。
「これをね、色づくまで焼いたら、お酒と味醂と砂糖と醤油で味をつけるのよ」
リラと一緒に見ているが、美味しそうだし、良い匂いだ。
「煮詰まってくると艶が出てくるから更に美味しそうになるわよ」
リラと一緒に皿やカトラリーを出し、食べられるように準備した。
「これを、くるくるーとほどいて、包丁で食べやすい厚さに切ります」
糸をほどくのをやらせてもらった。
お肉がくるくる回って面白かった。
切るのは熱いので、ユリがやってくれるらしい。
リラがサラダを用意していたので、ご飯をよそった。
ユリがトレーに3皿持っていくので、リラと一緒に自分の分を持って行った。
「お!ロールチキン!」
「お手伝いしてくれる人が居ると作るのが早いわねー」
ソウに、手伝って作ったことを自慢しておいた。
いただきますと言った後、みんなで大人を見ているので、一緒に見てみた。
「こ、これは! 甘くてうまい!!、あ、いえ、とても美味しいです!」
みんな安心して食べ出した。
そういえば、調子が悪そうだったの治ったのかな。
できた料理はとても美味しかった。
自分で作ったから美味しいのか、ユリが教えてくれたから美味しいのか、きっと両方だと思う。
「デザートに、ゼリーはいかが?」
もちろん全員が食べると言った。
明日はイチゴアイスをつくるらしい。
次回 09月11日 13時00分です。




