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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇女王ユメ◇

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夢の夕飯

「ソウ、早速使ってみて良い?」


ユリはニコニコでソウに尋ねていた。


「良いぞー!なに作るの?」

「要らない野菜焼いてみる」


なんで?


「?・・・なんで?」


あ、ソウも聞いている。


「最初は機械油の匂いがするから試し焼きと言うか、捨て焼きと言うか」

「へぇ。何か手伝う?」


なるほど、じっくり使ってみたいということだな。それなら、夕飯を作った方がユリの役に立つかな。


「ソウ、ちょっと良いにゃ?」


ソウを呼んで、夕飯構想を話した。

どうせならユリを驚かそうとソウが言い、ユリに内緒で作ることにした。


「ユリ、用があったら呼んでくれればすぐ来るから、2階に居るから」

「わかったー」


ソウと二人で2階に来ると、何をつくったら良いか話し合った。


大概の料理は、ユリが作った方が美味しい。

そんな大前提を前に、悩みに悩んだ末に、ならユリが作らないものにしようと決まった。


ユリが作らないものと言えば、魚料理か麺料理だ。


「お寿司食べたいにゃ!」

「寿司かぁ。握れるかなぁ?」

「難しいのにゃ?」

「まあ、無理だったら手巻きにするか」


黒猫のままソウと転移した。

転移前、少しソウが心配そうな顔をしていたけど、たぶん前回を思い出したのだと思う。


あちらのソウの部屋に飛ぶのかと思ったら、知らない場所だった。


「ここはどこにゃ?」

「あ、ユメは初めてだったな。親父とお袋の家なんだ」


「あら、ソウ、どうしたの?」


優しそうな女性がソウに話しかけていた。多分母親なのだろう。


「寿司作りたいんだけど、教えてもらおうと思って」

「えーと、そちらのかたは?」

「はじめましてなのにゃ。ユメなのにゃ」


ユメの見た目は小学校低学年である。

ソウの母が少し悩みながらソウに聞いていた。


「あなたたちは、どういう関係?」

「一緒に住んでるのにゃ!」

「え!?ユリちゃんは?」


あ、言い方を間違えたっぽい。


「ユリも一緒なのにゃ!」


更に悩んでしまった母親を見てソウが言った。


「ちょっとお袋、なに勘違いしてるんだよ!ユメは、黒猫として拾ってきたら人になって、うーん、何て説明したら良いんだろう?」

「怪我してるときソウに拾われたにゃ!」


誤解を解こうと頑張った。


「拾ったときは、黒猫で、つれてきたら3歳児くらいになって、いきなり成長したら今のサイズになった」

「もっと大きくもなれるにゃ」

「どのくらい大きくなれるの?」


お!興味があるらしい。


「ユリより大きいにゃ」

「お袋よりも大きいんじゃないか?俺より少し低いくらいだから」


「変身するにゃ!」

「あ、ちょっと待、ユメ、服ー!」


私が光るとソウが慌てて止めようとした。

でも大丈夫。ちゃんと何か着てるから。


「変身してみました。ルレーブと申します」


ソウの母はかなり驚いたようだけど、すぐ持ち直し、喜んでくれた。


「身長だけではなく、髪の色も変わるのね。でも瞳の色は同じだし、顔立ちも変わらないわね」

「ありがとうございます。色々面倒なので、戻ります」


一度黒猫になってから、ユメに戻った。


「それで、お寿司を作るのは、なに寿司?」

「できれば握りで、無理なら他のものにするけど」

「少し練習してみて考えれば良いと思うわよ」


ソウの親の家に入り、握り寿司の指導をしてもらったけど、二人とも才能がなかったらしい。

同じ大きさにならないのだ。


仕方ないと、手巻きにしようと、材料を聞いてメモした。

猫耳が見えると面倒なので、帽子をかぶって、ソウと一緒にスーパーに行くと、お刺身セットがたくさん売っていた。

ごはんさえ握ることができれば、乗せるだけの刺身セットもあった。


手巻き寿司用に材料を揃えて、次は海苔を売っている店に行くとソウは言っていたのに、急に焦りだした。


「誰か訪問者だ」

「結界にゃ?」

「ユメ、戻るぞ!」


その場からソウの部屋に転移した。

ソウは急いで部屋からでて、階段を降りていった。


私は、買ってきた刺身や野菜を冷蔵庫にいれ、買い損なった海苔がなかったか探してみた。

すぐにソウは戻ってきたが、残念ながら海苔は残りが少なかった。


「ソウ、海苔足りないにゃ」

「バラチラシにするか」

「ばらちらし?」

「刺身たっぷりの豪華なちらし寿司のことだな」

「それにするにゃ!」

「ユメ、(まぐろ)(さけ)(たい)(ぶり)烏賊(いか)を全部一口大に切ってくれ、玉子焼きも小さく、胡瓜はもっと小さく。大葉とってくる」

「わかったにゃ!あ!ソウ、ご飯先に炊くのにゃ」


ソウは米を研いでから部屋に行った。外に転移するつもりらしい。


刺身を全てカットし、玉子焼きも胡瓜も頼まれた大きさにカットし、種類ごとに分けておいた。


ソウは、すし酢を作ったり、紫蘇の細切りを作ったり、お湯を沸かしたりしていた。


炊き上がったご飯にすし酢を加え、団扇であおぎながら切るように混ぜ、ほどよく冷めたご飯を皿に盛り、白胡麻をふりかけ、胡瓜と玉子焼きをチラシ、刺身とイクラを乗せ、最後に紫蘇をチラシ完成した。


「できたにゃ!」

「ユメ、味噌汁作っておくからユリを呼んできてくれ」

「わかったにゃ」


厨房に行ったがユリはいなかった。

ガチャガチャ聞こえる内倉庫に行くと、木の皿のようなものを仕分けしていた。


「ユリ、ごはん食べないにゃ?」

「ユメちゃんお腹すいた?」

「もう7時にゃ」

「え?うわ、本当だ!急いで作るわ」


ユリは急いで立ち上がろうとして、膝に乗せていた皿がジャラジャラと崩れた。


「ソウと一緒に作ったのにゃ」

「え?ごはん作ってくれたの?」

「お寿司を作ろうと思ったら難しくて作れなかったのにゃ」

「え、うん」

「だから、作れるお寿司にしたのにゃ」

「うん?」


ユリはいまいち分かっていない感じだったけど、きっと見ればユリならわかると思った。


階段を一緒に上がり、リビングにつくと、味噌汁もできていた。ソウがちょうどお椀に注いでいるところだった。


「凄ーい!バラチラシ作ったのね!」


やっぱり知ってるんだ。


「お刺身切ったのにゃ!」

「握りが無理で、手巻きにしようかと思ったけど、海苔があまりなくてさ」

「あー、おにぎりにみんな使っちゃったわ」

「お袋に聞いてきたよ」

「えー!おばさまのバラチラシの味なの?うわー楽しみ!」


ユリが嬉しそうに喜んでいた。


「あ、ちょっとまって、良いのがあるわ!」


ユリは何かを取りに行くらしく、急いで階段を降りていった。

ビニールになにか入っているのを持ってきて、手早く切っていた。


「いただきまーす」


ユリ、美味しいって言うかな?

じっと見ていると、


「美味しー!酢の加減が絶妙でお刺身の大きさも食べやすくて、胡麻(ごま)紫蘇(しそ)の香りも良いし、アクセントに入っている胡瓜(きゅうり)も良いわねー!」


いっぱい誉めてくれた。

良かった!


「ユリ、これなに?」

「大根のビール漬けよ」


ユリが持ってきたのは漬物だったらしい。


「へぇ、本当にビールの味しないんだな。なんか妙に旨いな」


え?ビールの味しないの?


「食べてみるにゃ!」


一切れ食べてみた。なんか美味しい。


「本当にゃ!ビールの味しないにゃ!」

「私もお酒は苦手だからね」


ソウがいっぱい食べてすぐになくなった。


「残りどうするの?店で出すの?家で食べるの?」

「ランチに2切れくらい付けても良いけど、追加希望されても、出来上がるのが1~2週間かかるのよ。それに漬物樽無いし大量には作れないわ」

「わかった。ランチで評判良かったら道具揃えよう」


店で出すみたいだ。これだけ美味しければ店で売れると思う。


「バラチラシ、物凄く美味しかったわ!二人ともどうもありがとう!」


ユリからお礼を言われ、とても嬉しかった。

ソウと頑張った甲斐があった!

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