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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇女王ユメ◇

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夢の葡萄

今朝6時台に、昨日の分を投稿しておりますので、先にお読みいただけると幸いです。

木製容器の店につくと、店員の男性が出てきた。

ユリに話しかけていた人だ。


「ユリ・ハナノ様!ようこそいらっしゃいませ!」

「見学に参りました」


ユリは挨拶をしたあと、店にあるものを尋ねていた。


「これはなんですか?」

「それは、磨いただけの器です。他に、加工したものが色々ございます」


店内の柱に看板がついていた。

「ココナツ食器店」

あーココナツの器なんだ。

ユリは店員に案内されて色々説明されているようなので、好きに見て回ることにした。

ソウが横にいるから危険もないだろう。


螺鈿細工も扱っているらしく、装身具や食器も、キラキラしているものがたくさんある。

その中に、猫のシルエットが描いてある皿があった。

桜の花びらのような形で、キラキラな縁取りと、木と猫がデザインしてある。

欲しいな。買ってもらえるかな?

ユリを探した。店の奥で、店員と話しをしている。


「ユリ、この器買って良いにゃ?」

「ユメちゃんにお給料払うとなると物凄い金額だから、何買っても問題ないわよ?」

「お、螺鈿細工か!」

「猫の柄が素敵ねー」


買っても良いらしい。

ソウが尋ねてくれた。


「これはいくら?」

「こちらは国民旗のデザインで、10000☆でございます」


10000☆かぁ。結構するけど、これだけキラキラだからしょうがないかな。


「全部で61000☆かしら?」

「60000☆でございます」


再びソウが質問する。


「国民旗ってなに?」


私も知らない。


「王国旗は、四角い紺色の中に、白抜きのこんな形のその中に、金縁に緑色の世界樹様ですが、実際の国土は、長細いこの皿の形らしいです」


店員は、両手の親指と人差し指で、ハートの形を作りながら説明していた。


王国旗かぁ。私が決めた旗と、少し変わったのかな。

昔は(のぼり)のような縦長の旗だったはずだけど、そういえば、城には横長の旗が飾ってあったなぁ。


ユリがなにか交渉したあと、紙袋をうけとり、帰ることになった。

帰りは、自力で自分の部屋に転移した。


買ってもらったキラキラの器を飾り、少し眺めたあとリビングに行った。

ユリもソウもいなくて、下から声が聞こえる。


階段を降りると、ユリは何か作るらしく、秤と粉の入った袋を用意していた。


「ユリ、なに作ってるにゃ?」

「フレーバーをつけたラムネよ」

「ラムネにゃ! 手伝うにゃ!」


あのお菓子は、なんだかあとを引く。


「そう?なら、計量してもらえる?」

「任せるのにゃ!」

「粉糖50g、コーンスターチ10g、クエン酸小さじ1/4、重曹小さじ1/2、これを4回ね。重曹は混ぜないでね」

「わかったにゃ!」


この袋は粉糖だったのか。

クエン酸と重曹は、色違いの瓶に入っている。ユリが蓋に中身を書いてくれたので、間違うこともない。


ユリは何か煮ていた。良い匂いがする。


鍋の火を消してボールに移し、冷ますために氷水に浮かべていた。

私が量った粉糖の袋に、ユリは何かを入れていた。


「2g位かしらね・・・あ!ドバっと入っちゃった。うわー5g・・・。ま、取り除けないしこのまま作りましょ」

「ユリ大丈夫にゃ?」

「ちょっとイチゴが入りすぎちゃった」


珍しい。ユリが失敗してる。

袋のまま水分を入れて混ぜていた。


「うわー、水いれたらイチゴ色が濃くなった。真っ赤だわ」

「イチゴの色にゃ!美味しそうにゃ!」

「そう?ユメちゃんが美味しそうなら、それで良いわ」


袋の中身を網で濾してから、最後に重曹を混ぜて、袋を振っていた。


「丸くするのにゃー!」

「ソウに計量スプーンを用意してもらったから、有るわよ! はいどうぞ」

「ありがとにゃ!」


私がイチゴラムネを丸めている間、ユリはさっき煮ていたもので、ラムネの素を作っていた。

それを渡すと、次も煮ていた違う色のものでラムネの素を作っている。


4個目は、黄色い粒を、イチゴのように、袋の中で粉々にしていた。

袋を開けたら薫ったのでわかった。柚子らしい。


少し疲れて休んでいたら、ユリが柚子味は、型に入れて押していた。

ふと見ると、ブドウと言って渡された。ラムネが、明るいピンク色になっていた。


「ユリ、ブドウは何で、桃色にゃ?」

「え?紫色じゃない?・・・あ!重曹入れ忘れたかも!」

「食べられないにゃ?」

「シュワっとしないだけで、美味しいわよ」

「ならそのままで良いにゃ」

「せっかく量ってくれたのにごめんなさい」


食べられるなら問題ないかな。


「いつ食べられるにゃ?」

「明日、早くても今日の夜かしら」

「楽しみにゃ!」


また、リラに分けてやろうかな?



「ユリ、ちょっと良い?」


ユリは、ソウに呼ばれていた。

ユリがそばに行くと、オーブンを設置していた人が、ソウに何か言っていた。


「ソウ君、ちゃんと紹介してくれるかな?」


ソウは少し嫌そうな顔をしたあと、仕方ないと言わんばかりの紹介をしていた。


「ユリ、こちら、何でも屋のカナデ・サエキ、こちらマッドサイエンティストのリツ・イトウ」


マッドサイエンティストって職業なの?

その後、本人たちが自己紹介していた。


ソウはあまりユリと話させたくないんだろうなぁ。と思い、何か食べさせたら良いかなと思って、お茶の用意をした。


「ユリ、これ出すにゃ?」

「ユメちゃんありがとう!」


予想通り、ユリのパウンドケーキを食べると、その美味しさに黙って食べ出した。

ソウが私だけに見えるように、片手をあげて感謝を表していた。


でも、パウンドケーキが欲しいと言って、通うようになったら、御免なのだ。

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