夢の優夢
お母様・・・
優しく抱かれている夢を見た。
良く顔は見えないけど、優しく微笑む人だった。
「ルレーブ」
優しく呼び掛けられて、答えられない私に優しく微笑んで、いつまでもそばにいてくれた。
ハッと目が覚めると、馬車の中だった。
知らないはずの懐かしさに涙がこぼれそうになって、慌てて黒猫に変身した。
変身するのと同時くらいにユリが上着をかけてくれた。
イリスが慌ている声が聞こえたけど、リラが「ユメちゃんは黒猫様だからね!」とイリスに言っているのが聞こえた。
イリスにじっと見られている気がする。
私の前に座っているようだ。
それでも、馬車が動き出すとユリと話しだし、こちらへの注意がそれたようだ。
「あら?北に向かうのではないのですね?」
「そうなんですか?」
あー、ソウは説明しなかったんだなぁ。と考えていると、又眠りに落ちた。
次に気がつくと、馬車が止まってみんなが降りるところだった。
ユメに変身し、私も馬車を降りた。
「にゃー、ついたのにゃ?」
みんなは辺りを見回していた。
特に何もないので、見るものもないけど、見渡す限り何もないというのも又面白いのかもしれない。
「あ!始まりの場所!」
ユリは来たことがあるのか。
あ、ここを使って呼んだのか。ユリは、次元の扉の先の国って言ってたな。
「正解。お、ユメ起きたか」
片腕をあげて答えた。
「ホシミ様、馬だけあげました」
「ありがとう。馬車は俺があげるから、後で繋いでくれ」
「かしこまりました」
ソウは、馬車を転移で舞台にあげていた。
スロープを作ってあげるより、早いのか。
馬を先に送った方が良いかと思い、マーレイの手を引いて呼び掛けた。
「一緒に行くのにゃ」
マーレイが少し驚いていたが、マーレイと馬に触りながら先に転移した。
「ソウが馬車と来るから馬をこの枠から出してにゃ」
「かしこまりました」
マーレイか馬を引いて高さのない舞台から出してくれた。
すぐにソウが馬車と一緒に現れたので、馬車に乗り込んだ。
先日も来た、世界樹の森のそばだ。
「暗い森ですね
「お化けが出そうー」
イリスとリラが外を見て不気味がっていた。
「え?何処に森があるの?」
まあ、ユリには森は見えないよなぁ。
「ユリ、窓の先、何が見えるにゃ?」
ユリに一応聞いてみた。
「芝生?短く刈り込んだ芝生が見えるけど?」
なんと、ソウよりも草が短く見えているらしい。
「え?」「え?」「にゃ?ユリ、ソウより魔力多いにゃ!?」
「え?なあに?」
ここで全員に種明かしをした。
「世界樹の森にゃ。魔力が少ないと、背より高い森に見えるにゃ。魔力が多いと、背より低く見えるにゃ。ソウは、草原と言ったにゃ」
「ユメちゃんには何に見えているの?」
「一面の白い布にゃ」
白く見えるのは50000p以上だから、ユリやソウには見えないのだろう。
王城では断ったが、実は、1000以上あれば、立ち入ること自体は可能である。
ただし、魔力の高いものと共にいることが条件になる。
単体で入るには、やはり10000p必要なのだ。




