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クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇女王ユメ◇

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夢の優夢

お母様・・・


優しく抱かれている夢を見た。

良く顔は見えないけど、優しく微笑む人だった。


「ルレーブ」


優しく呼び掛けられて、答えられない私に優しく微笑んで、いつまでもそばにいてくれた。


ハッと目が覚めると、馬車の中だった。


知らないはずの懐かしさに涙がこぼれそうになって、慌てて黒猫に変身した。

変身するのと同時くらいにユリが上着をかけてくれた。


イリスが慌ている声が聞こえたけど、リラが「ユメちゃんは黒猫様だからね!」とイリスに言っているのが聞こえた。


イリスにじっと見られている気がする。

私の前に座っているようだ。

それでも、馬車が動き出すとユリと話しだし、こちらへの注意がそれたようだ。


「あら?北に向かうのではないのですね?」

「そうなんですか?」


あー、ソウは説明しなかったんだなぁ。と考えていると、又眠りに落ちた。


次に気がつくと、馬車が止まってみんなが降りるところだった。

ユメに変身し、私も馬車を降りた。


「にゃー、ついたのにゃ?」


みんなは辺りを見回していた。

特に何もないので、見るものもないけど、見渡す限り何もないというのも又面白いのかもしれない。


「あ!始まりの場所!」


ユリは来たことがあるのか。

あ、ここを使って呼んだのか。ユリは、次元の扉の先の国って言ってたな。


「正解。お、ユメ起きたか」


片腕をあげて答えた。


「ホシミ様、馬だけあげました」

「ありがとう。馬車は俺があげるから、後で繋いでくれ」

「かしこまりました」


ソウは、馬車を転移で舞台にあげていた。

スロープを作ってあげるより、早いのか。


馬を先に送った方が良いかと思い、マーレイの手を引いて呼び掛けた。


「一緒に行くのにゃ」


マーレイが少し驚いていたが、マーレイと馬に触りながら先に転移した。


「ソウが馬車と来るから馬をこの枠から出してにゃ」

「かしこまりました」


マーレイか馬を引いて高さのない舞台から出してくれた。


すぐにソウが馬車と一緒に現れたので、馬車に乗り込んだ。


先日も来た、世界樹の森のそばだ。


「暗い森ですね

「お化けが出そうー」


イリスとリラが外を見て不気味がっていた。


「え?何処に森があるの?」


まあ、ユリには森は見えないよなぁ。


「ユリ、窓の先、何が見えるにゃ?」


ユリに一応聞いてみた。


「芝生?短く刈り込んだ芝生が見えるけど?」


なんと、ソウよりも草が短く見えているらしい。


「え?」「え?」「にゃ?ユリ、ソウより魔力多いにゃ!?」

「え?なあに?」


ここで全員に種明かしをした。


「世界樹の森にゃ。魔力が少ないと、背より高い森に見えるにゃ。魔力が多いと、背より低く見えるにゃ。ソウは、草原と言ったにゃ」

「ユメちゃんには何に見えているの?」

「一面の白い布にゃ」


白く見えるのは50000p以上だから、ユリやソウには見えないのだろう。


王城では断ったが、実は、1000以上あれば、立ち入ること自体は可能である。

ただし、魔力の高いものと共にいることが条件になる。

単体で入るには、やはり10000p必要なのだ。

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