表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロネコのユメ  作者: 葉山麻代
◇女王ユメ◇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/575

夢の花飾

「30分ほどたって2倍の大きさに膨れたら、生地を傷めないように1個49~50gにカットします。

手早く丸めて、乾かないように濡れ布巾などをかけておきます」


リラが説明を再開した。

丸め方を説明しながら実演して見せている。

少しだけ潰すように力をいれるのがコツだ。

私もできるようになっていたので、混ざって教えてみた。

リラの助手をしていた料理人がカットをしていくが、追い付かない。


厨房にある数台の秤を導入し、手の空いている全員が参加して丸めていった。


ここで二次発酵なのだが、丸めている間にその時間になる。

丸めるのを一旦やめたリラが説明を始めた。


「肉まんの皮の生地を麺棒で丸く、中央に厚みがあるように伸ばします。

肉まんの具40gを中央に乗せて、ひだを寄せながら包んでいきます。これが普通の肉まんです。この先は、花の細工をします」


花の肉まんは、あんまんと同じようにヒダを残さない方法で包んで包み目を下にした。

丸めた色つきの生地をハサミで何ヵ所かカットし、少し厚みのあるレモン型になり、切り目を下に少し潰して薄い花びらを作った。

小さく丸めた黄色い生地を半分に切り、黄色い半球を中心に配置し、回りを先に作った花びらで放射状に配置し、花を作っていく。

花びらを作ったのと同じような作り方で、薄い青緑の生地を切り、花の横に配置した。葉のようだ。


「おー!!」


料理人から歓声があがる。


「リラちゃん、本当に凄いな!」

「是非うちに欲しいくらいだ」


ここは止めないと。


「ユリが困るにゃ」

「ユリ様の迷惑になることはしません。なので、ただの希望です」

「それなら良いにゃ」


リラはニコニコしていた。


「ユリ様からもらってきました、魔法の紙に乗せて、15分発酵させます。蒸し器で15~20分蒸して出来上がりです。紙は回収して再利用してください」


「保存はどの段階でするんだい?」

「一度蒸してから、真冬箱で保存すると長く持つそうです。すぐ食べない場合も一度蒸しておいて、食べるときにもう一度蒸すと良いらしいです」

「とりあえず全部蒸すんだな」

「はい!」


リラが元気良く答えていた。


「先にできる分は普通の肉まんだから、俺たちで食べよう。奥さまたちの分は、リラちゃんが作っている華やかな肉まんが良いだろう。俺たちが練習したのは、メイドにでも出したら喜ぶから、全員が花の飾りを練習するように!」

「はい!」「はい!」「はい!」


食事担当の料理人が、入れ替わる形で、肉まんに参加した。

リラの指導により、器用な者はすぐに花を作っていた。不器用な者は、大きさが揃わないことが最大の原因らしく、あまり美しく見えない。


蒸した後、きれいに見えるものだけアルストロメリア会に提供した。

持っていったメイドが、「皆様とても喜ばれていらっしゃいました!」と、教えてくれ、リラはすごく喜んでいた。


リラは引き続き手伝っていたが、私は見学することにした。

時間差で作っていた肉まんも、結局リラは全て手伝っていた。


「リラちゃん、どうして花の飾りをつけようと思ったんだい?」

「お店でユリ様が作る肉まんは、種類があります。その肉まんの皮は、赤っぽい色と、黄色っぽい色がついていたんです。その生地が残ったのを混ぜていたのを見たときに、どうせなら花みたいにしたいなって思いました」

「ハサミで切るのはどうしてだい?」

「最初は、真っ白で作って色を塗りましたが、蒸したらにじみました。薄く伸ばして型抜きしたものは、だんだん丸まって花に見えなくなりました。ユリ様に聞いたら、ハサミで切ると細いものが作れると教えてもらったので、考えました。ほぼ一日、自由に作らせてもらって色々試して完成しました」


一日自由に?凄いな!と、声が聞こえる。


「あの赤い液と黄色い液はなんでてきてるんだい?」

「赤いのは、ユリ様が言うには、ビーツの煮汁です。(いち)では、スビョークラという名前で売っています。黄色いのは、ユリ様がいうには、くちなしの煮汁です。花屋さんで売っている、ガーデニアの実を乾燥させたもののようです」

「ユリ様の国の言葉か」

「そうみたいです」

「青緑のは?」

「バタフライピーという花の煮汁で、本来は青いのですが、重曹や、卵白があると、緑色になるそうです。こちらのお嬢様が、花を育てていると聞いています」

「あ!あの花か!」


夏ごろ見たことのあった、夏の空色の花を思い出したらしい。


「青色を青色のまま使えないのかい?」

「ユリ様に教えてもらいましたが、私では少し説明が難しいです。やり方としては、お酢かレモン汁を少し加えるのだそうですが、入れすぎると赤紫色になるそうです」

「なんと!加減が難しいのか」

「はい。なので、青い花を作るのを諦めました。お店のクッキーの青色は、ユリ様が調整しています」


途中交代してお昼ご飯を食べ、リラは最後まで肉まんを手伝っていた。


「リラ、そろそろおやつの時間にゃ。ユリのところに行くのにゃ」

「はーい。ユメちゃん、一緒に行きます」

「リラちゃん、今日もありがとうな!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ