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第7章04話

第7章04話


『また10本以上出て来たぞ』


 水美が力妖術封じ除けの数珠を俺に見せている。


『4本くらい欲しいな』


『配るのか』


『戦争も始まっているし、もしも為にね』


 水美がくれたのは俺のと同じ物だった。サピカ村の家の1階で、全員コタツに固まっていた。


「ブリュネちゃん、これ付けなよ」


「嬉しいです! 善姫さんのが羨ましかったんですよ」


 依能さんと林弧ちゃんがジッと見ている。


「依能さんと林弧ちゃんに必要有る?」


「欲しいです……」


 林弧ちゃんが上目遣いで見ている。


「じゃこれ」


 依能さんと林弧ちゃんのを出すと喜んでいる。

 舞花さんが覗き込んでいた。


「舞花さんも要るの? そんなに強いのに」


「哲司さんも使っているじゃないですか。私も防御力があれば、光の精霊に負けなかったと思いますよ」


「じゃ、これ」


 あっという間に4本無くなった。ブリュネちゃんがブレスレットにまとめている。


「旦火の国と吾蔵の国が戦争しているから、念の為ね』


 あれから旦火の国時間で3日経ったが戦線は拡大しているらしい。

 戦争のお陰で、俺は毎日水郷城に帰っている。つまり半日に一度は水郷城に帰っている事になる。

 ヤヤさんの、お節料理をサピカ村に運ぶ役目になっているに等しい。

 知世さんと仲良くしてからサピカ村の家に帰れるとブレスレット作業が終わって、全員でお節料理を待っていた。


「ヤヤさんの、お節料理が楽しみですよ」


 依能さんが待ちきれないようだ。


「お雑煮も貰って来たよ」


 歓声が上がった。

 水美に言われて複製を皆に出して食べ始めた。


「俺も入れてくれよ」


 天狗さんも現れて、賑やかになっている。ヤヤさんの正月料理は美味しくておかわりを出した程だ。


「御屋形様……」


 玄関から情けない声が聞こえる。行ってみると小型の三眼と6体の小物達が居た。


「御屋形様ー! 会えて良かった」


 泣き崩れてしまった。良く見ると松木の神様の所で見た顔だ。

 とりあえず隣りの新しい家に入れて、おにぎりを配ってやる。


「どうした? 飛ばされたのか?」


「はい。水郷境に移転で喜んでいた時に……」


 ツイて無い奴らだ。

 泣きながらおにぎりを食べている。善姫さんが味噌汁とおにぎりを配って、慰めていた。


「お前等だけ?」


「まだまだ居ます」


「100匹はいるぞ」


 小物が答えた。こいつらの数えはあてにならないが、沢山居る事は確かだ。


「全員、ここに集めてから水郷境に運んでやるからな」


 土壁は出来上がっているので、外から見えないので好都合だ。


「私と林弧で集めて来ますよ」


「こいつら食べ終わるまで動かないと思うよ」


 依能さんに応えると笑っている。皆、食べるのに必死だ。


「行くぞ」


 食べ終えた小物が立ち上がった。


「お前、行けるのか?」


「行ける。近くだ」


 依能さんが小物を抱えて林弧ちゃんと飛んで行った。


「三眼。1ヶ所なのか?」


「違います。3ヶ所に別れてます」


「早く言えよ。お前は飛翔が使えるの」


「使える」


 三眼が俺を連れて森の洞窟に連れて行った。


「ここに20匹くらい居ます」


 数えると34匹居た。10を超えると、一杯になる連中だ。こんな物だろう。

 依能さんと林弧ちゃんが来た。


「あれ、御屋形様」


「三眼だけ飛翔が使えるのよ」


 依能さんの力が抜けている。


「三眼。次の所に連れて行け」


 依能さんが三眼の耳を引っ張っている。

 三眼が依能さんを連れて行ったので、林弧ちゃんと俺は小物達を家に連れて行き、皆で往復して回収を終えた。


「連れて来ました。まだ20匹くらい居ます」


 ブリュネちゃんと林弧ちゃんが依能さんと一緒に飛んで行った。


「善姫さんおにぎりは足ります?」


「大丈夫です。舞花さんが十分に用意してくれました」


 小物達を家に入れて、味噌汁とおにぎりを配っている。


「俺は水神様に言って受け入れ体制を整えている。二社神社を望む物は全て天狗の里で引き受けるので、分類しておいてくれ」


「了解」


 依能さん達が帰って来た。


「取り敢えず30匹。後30匹は残ってますよ」


 凄く消耗しているようなので食事を与えるのを最優先する。


「食べた連中から水郷境に送れば良いのだけど、不安になるから全員を集めて食わせてから運ぶよ」


「二社の神様の元を希望する者は、入り口に固まっていて」


 おにぎりと味噌汁を持ってゾロゾロと移動を始めている。

 残りの30匹が到着した。食事を配ってお腹を満たしてあげる。別宅の1階が小物達で埋まってしまっている。


「食べ終えたら移動だぞ」


 天狗さんが帰って来たので、二社の神様の所に小物達を連れて連れて俺も行った。


「哲司殿、久しいな。正月早々に迷惑を掛けて申し訳無い」


「いえいえ、30匹くらい連れて来ました」


「懐かしい顔ぶれじゃ。嬉しいのう」


 小物達が二社の神様に駆け寄っている

 二社の神様にはヤヤさんの、お節料理と酒を渡してあげると異常に喜んでいた。


「小物達には改めて炊き出しをしておく」


 天狗さんがカラス天狗に指示をしている。


「まだ沢山残っているので失礼します」


 二社神社から水郷境神社に行くと、続々と小物達が運ばれて来ていた。一眼寿司とピョコリ瓢箪が小物達と話している。


「次の依能さんが最後ですよ」


 知世さんと水神様、宣姫さんが手伝いに来た。


「正月早々、凄い事になってるな。水郷城にもまわしてくれ」


 水神様と宣姫さんが希望を聞いている。結構人気が良いようだ。


「松木の神様の所に行く奴はこっちだよ」


 小さいのとか中くらいの妖怪がウロウロしている。松木の神様の所を希望している妖怪達は50匹を超えている。


 善姫さんと知世さん、林弧ちゃんと依能さんが松木神社に運び始めた。俺も松木神社に飛んだ。


「哲司殿、世話になってばかりだな」


 松木の神様と鬼熊さんが待っていた。鬼熊さんの人気が良い。松木の神様と鬼熊さんに小物達が駆け寄っている。


「落ち着くまで食べ物は運びますよ」


「済まんのう。こいつらの住処は鬼熊と一緒に考えるから」


「これは大ナマズさん、鬼熊さんと一緒に食べて下さい」


 ヤヤさんの、お節料理セットを3個と酒を渡しておいた。

 依能さんが大量の、おにぎりを持って来た。


「明日にも係りを決めて来させるから」


 タマ三郎さんが知らないうちに来ていた。


「正月休みじゃなかったの?」


「私が正月番ですので、気になさらないで下さい。後は私の方でやりますので」


 せっかくなので、タマ三郎さんに丸投げして水郷境神社に帰ると、こっちの配分も終わったらしく水神様が待っていた。


「正月からの仕事は、ご苦労様だったな。すき焼きでも摘まんで休みたいような気もするのだが」


 思いっきり要求をして来た。


「じゃ行きますか」


「良いのか? 済まんな」


 全員で、すき焼きを食べに行った。



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