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第1章09話

第1章09話


 自慢では無いですが、昨夜普通に夫婦となりました。

 2人で相談なんかしてません! 普通に夫婦になりました。本当です!


 と言う訳で朝早くから御飯を食べて、お弁当を3個作って貰い薄暗いうちに旅立ちました。


「これで夕刻前に宿場町に着く筈です」


 知世さんにお任せしてタラタラ歩いて街道を進んで行く。天狗皮袋をカバンに使おうと提案したのだが、着替えなどは知世さんの風呂敷にまとめて知世さんが背負っている。

 俺は刀を腰に差し、編み笠をかぶって進んでいる。知世さんが買ってくれたマントは暑いので皮袋の中にしまってある。全員背中にお弁当を背負って、時代劇の旅行そのものだ。


「旅は楽しいのう」


 一眼姫も楽しそうに歩いている。


「茶屋は無いのかな? 団子なんか有ると良いな」


「こちらにも団子は有りますよ」


 皆で取り留めの無い会話をして歩いて行く。 30分くらい歩いていると鳥居が見えた。


「松木神社だ!」


「こんな所に在ったんですね」


 鳥居の上で神様が手を振っている。


「神様ー」


 神様が降りて来た。


「もう旅立ちか?」


「ハイ! 夕刻までに宿場町に着きませんと」


「そうか、そうか」


「参拝客は帰って来ました?」


「少しずつな」


「これ食べます?」


「哲司殿の弁当ではないか」


「俺は団子を狙ってますから」


「済まんな」


「気にしないで下さい」


「この後2時くらい歩いた所に茶屋が有る。団子で有名だぞ」


 ヤッターと思った。でも2時だから4時間か、疲れるな。


「飛翔枝が有るのだから、時折遊びに来てくれ」


「「「ハーイ」」」


 神様にお別れしてまた歩き出した。


「お腹がすいたら、飛翔枝で松並村に飛ぶ手も有りますよね」


 知世さんは頭が良いなと思った。明日から弁当は止めようと真剣に考えてしまう。


「桜鱒とあの凄く大きな川エビがまた食べたいですね。日本にはあんなエビは存在しません」


「水郷境にも、あのエビ居ます!」


 歩いて2時間くらいで皆、無口になって来た。基本的に体力不足なのだ。

 道場で稽古はしていたが、草履で長距離を歩くなんて経験が無い。


「本当に休み時間で松並村に食べに行こうか」


「お弁当は?」


「俺、持って無いモン」


「ず、ずるいです!」


 二人でじゃれていると、顔のひょろ長い1メートルくらいで小坊主スタイルの妖怪が寄って来た。頭が歩く度にフラフラしている。頭が大きいので座りが悪いみたいだ。

 不思議と可愛い。性別は有るのかな?


「小者さん、茶屋までどの位だ?」


「何だ、人間。見えるのか?」


「見えるよ」


「小者ではない! ピョコリ瓢箪だ」


「わかったから教えてよ」


 知世さんが、取りなすように話し掛ける。


「お前の弁当くれたら教える」


 知世さんが自分の背負っている弁当を渡してやると、ピョコリ瓢箪が機嫌を直した。


「半時くらい先だ」


「何が有る?」

 

「団子屋と蕎麦屋だ。川沿いですぐ分かるぞ」


 良い事を聞いた。我々は一休みして一眼姫の弁当を分けて食べる事にした。


「塩むすび3個にタマゴ焼きとタクワンですね。分けて食べましょう」


 山側の土手に並んで座って食べ始めると、ピョコリ瓢箪も並んで食べ始めた。


「人間の食べ物は美味いな」


「タクワンも迷い人が持ち込んだの」


「相当昔に持ち込んだ」


 一眼姫が教えてくれた。


「そうなんだ」


 背中にイヤな感じがすると何か飛んで来るのを感じた。


「風壁」


 我々の背中に風の壁を作ると、飛んで来た矢が全て吹き飛ばされ、壁の近くに居た槍を持った者も3人くらい空中に吹き上がって行った。

 盗賊のようだ。


「氷球」


 氷球を連射して弓を持った4人を倒し、刀を抜いて妖力を通す。青く光った刀で近くの奴等から切って行く。

 今日も快調に動きが見える。6人くらい斬ると、空から先程吹き上げた3人が落ちて来た。

 一人だけ木の枝に引っ掛かってから落ちたので、まだ息が有る。


「おい、盗賊。何処が本拠地だ? まだ仲間は居るのか?」


「仲間が後4人で、この上の洞窟だ」


 一眼姫が心を読んだのか、教えてくれた。

 林をかき分けて登って行くと本当に洞窟が在った。


「氷球」


 洞窟から顔を出したのが居たので、吹き飛ばして洞窟に入る。


「光りを」


 洞窟を明るくすると奥に3人盗賊が刀を構えて、中央の盗賊は裸の女に刀を向けている。


「女を刺すぞ!」


「氷球」


「氷球」


「氷球」


 俺は気にしないで氷球を放つと、瞬時に盗賊3人の頭が吹き飛んだ。

 女は30歳前後で、見た目はマアマアだが意地悪そうと言うか根性が悪そうだ。

 床に落ちている着物と持ち物から見て旅人臭い。


「持ち物を持って逃げなよ。俺はこれ以上関わらないよ」


 女は荷物を集めて洞窟から飛び出して行った。


「礼も言わないな」


 一眼姫が盗賊の財布を渡してくれた。

 洞窟の奥に箱が有り、中を見ると金貨と大銀貨が沢山入っている。

 天狗皮袋を出して入れていると、一眼姫が全部を瞬時に入れてくれた。

 山を降りると、知世さんとピョコリ瓢箪が待っていた。


「裸の女の人が荷物持って走って行きましたけど……」


「気のせいですよ」


 知世さんが《?》という顔をして、女が消えて行った方を見ている。

 周りを見渡すと盗賊がいない。


「盗賊の残害は?」


「洞窟の前にまとめといた」


 一眼姫が気楽に応える。あ


「役人でも呼ぶ?」


「牛鬼がすぐに片付ける」


「ここ牛鬼が居るの!」


「この山の裏側が巣だ」


 物騒なので早足で立ち去る事にした。



「昨日さ、陰陽師みたいの切ったらナンか力が増えたような気がするんだけど」


「哲司の妖力と妖術の力は増えておるぞ」


 一眼姫が俺を見て応える。


空蝉うつせみ傀儡かいらいが増えたな」


 傀儡は何となく分かる。


「空蝉って?」


「幻覚の妖術じゃ。そこに居るように見せかけて自由に動けるのだ。強い妖術使いにはすぐ見破られるがな」


「陰陽師みたいのを退治すると能力が上がる?」


「悪徳陰陽師とか盗賊陰陽師もおるから退治すると喜ばれるぞ」


 そういうのを出来るだけ探さないと。



 少し歩くと茶屋が見えて来た。皆で御団子屋さんに入る。


「御団子は何が有るの?」


「醤油と餡ですだ」


 お婆ちゃんが応える。


「醤油4本に餡を4本ね」


「ハイハイ」


 お婆ちゃんが温かい麦茶を置いて、御団子を焼き始めた。


「なんかワクワクするね」


「旦那様は御団子が好きなんですか?」


「好きですよ。久し振りですけど」


 知世さんと話していると、一眼姫とピョコリ瓢箪もワクワクして待っている。


「ピョコリ瓢箪、俺達と歩いていて良いのか? お前の里から離れてゆくぞ」


「良いのだ」


 一眼姫みたいに家出なのかな?


 お婆ちゃんが御団子を持って来た。好物の醤油団子を食べてみる。


「美味い」


 醤油あんかけで、とても美味しい。


「餡も美味しいです」


 知世さんが嬉しそうに応える。一眼姫は足を交互に振り、モクモクと食べている。

 餡団子まで食べると余裕が無くなるので一眼姫にあげると喜んで取った。

 ピョコリ瓢箪が羨ましそうに見ているで知世さんが醤油団子をあげている。俺と知世さんは半分食べたのを交換して、両方楽しんだ。


「団子が4個差して有るのが良いですよね」


 知世さんは2人で取り替えっこしたのが嬉しそうだった。




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