表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/114

第6章04話

第6章04話


 ウナギ屋には宣姫さんと一眼姫、ピョコリ瓢箪も現れた。


「俺は中入り鰻重とビール」


 結局全員同じ物を注文していた。


「水神様は?」


「他の神様が来るとかで悔しがっていました」


 水神様の派閥が大きくなったので、以前より忙しくなっているようだ。


「旦那様は朝から忙しかったみたいですね」


 知世さんと善姫さんが心配そうに聞いて来た。


「鬼熊さんと小物達を移住させていたの」


「鬼熊って凶暴で有名ですよね」


 宣姫さんが不思議そうにしている。


「これが全然違っていたの」


 朝からの出来事を説明する。話が長いので鰻重が来てしまった。

 疲れていたので鰻重とビールがとても美味い。


「松木神社と言えば松並村ですよね。そんなに荒れているのですか」


 知世さんが真剣な顔をしている。


「行かないから分からないけど、松木の神様が逃げて来た程だからね」


「そう言えば、私達が初めて会った時も半分透き通ってましたよね」


「そうだね。懐かしい感じがするよ」


「旦那様と知世さんは松並村に行った事はあるのですか?」


 善姫さんが興味を持ったみたいだ。


「俺がこの世界に来て、知世さんと一眼姫に会って最初に行った村だよ。知世さんとの婚姻届も松並村でやったんだよ」


 一眼姫がニコニコして頷いている。


「旦那様が樫の国の敗残兵を2日間で60人くらい討伐して、いきなりお金持ちになったんですよ」


 知世さんも懐かしそうに話している。


「まだ、10ヶ月くらいなのに凄く前みたいに感じるよね」


「食べ終わったら行ってみません? 松並村」


 宣姫さんも見たくなったようだ。


「そうだね、水郷境の開拓地に一番近い村だし見に行ってみようか」


 さっさと食事を終わらせて松並村に行く事になった。



「念のため全員透明化して。取り敢えず松並村の上空に出るから飛行も発動しておいてね」


 村の中は樫の国の兵士で溢れていた。村の外にも野営地が置かれ、200人以上は確実に居る。


『村民が見えませんね』


 宣姫さんがじっくり見ている。


『家の中も樫の国の兵士でいっぱいみたいです』


 知世さんも村民探しをしているが、見当たらないようだ。


『村民が居ないみたいだから、まずは家の外に居る兵士を片付けるから。俺は村の外の兵士をやるから、皆で村の兵士を片付けて。

 空から降雹が良いな。とにかく安全に、無理しないでね。降りたら駄目だよ』


『『『はーい』』』


 俺と水美が移動する前にいきなり3人の降雹が始まった。


『仕方ない人達だな』


『哲司、2人で降雹を落とそう。1度で終わるかも知れんぞ』


 水美と手を繋いで水美に任せる。


『『降雹』』


 本当に広範囲に降雹が落ちて1度の攻撃で終わってしまった。


『妖力も余り減らんし、1度で済むから哲司と一緒は楽だ。強くなったな』


 水美と協力発動は慣れているせいか、とても強力な妖術が発動される。


『哲司、知世達が』


 振り返ると長物を各自手にして、善姫さんは服まで脱いでいる。


『全員駄目だよ!』


『哲司。遅い』


 全員が斬り込んでしまった。水美は苦笑いしながら収集でお金や数珠を集めている。


『全員強くなっているから心配は無いと思うが、見に行くぞ』


 水美と一緒に村の中に戻ると3人は斬ったり突いたり氷撃を発したりして、家から出て来る兵士を片付けている。


『暫く待っていれば全員、家から出て来ると思うのだけど』


『駄目だな。3人供頭に血が上っている』


 善姫さんがヤマコの国で鍛えただけあって、薙刀の技術が凄く上がっている。


『善姫は着ないと5割増しくらい強くなるな』


 水美も感心して見ている。


『疲れるから屋根にでも座ろうか?』


『妾は二社神社を見て来る。哲司は休んでいろ』


 水美が消えて10分もしない内に戻って来た。


『二社神社も樫の国の兵士だらけだな。周囲の集落は誰も居ないみたいだ』


 3人も討伐が終わったようだ。


「降りたら駄目って言ったでしょう! 特に知世さん。先陣切っていたね」


「旦那様、済みません……」


 知世さんがショボンとしている。


「少し休んで二社神社に行くよ。樫の国の兵士だらけだ」


「「「はーい」」」


「財布の中身と数珠は集めたぞ。良い刀類は無かった」


 一眼姫とピョコリ瓢箪が報告して来た。


 3人の妖力は4分の1くらいしか減ってないのでそのまま行く事にした。まあ宣姫さんの妖力を俺が足す訳には行かないけど。


 一眼姫が敵兵士を消して歩いている。相変わらず一眼姫の妖力は凄い。

 俺と水美で村の外の敵兵士の残骸を消して、全員で二社神社の上空に飛んだ。


『ウジャウジャ居るな』


 境内と境内への長い階段が樫の国の兵士だらけだった。

 全員に注意しょうと思ったら3人が攻撃を始めてしまっていた。


『善姫がどんどん強くなっているので、知世と宣姫は一人でも多く倒そうと必死なのた』


『ヤマコの国に一緒に来ればすぐ強くなるのに』


『あそこは気分が暗くなるからな』


 確かに水美の言う通りだ。善姫さんとて好んで行く訳では無いのだが時間が4倍に使えるのと、討伐が多く妖力が上がるのが魅力的なのだと思う。


『知世達に任せるか?』


『そうだね。斬り込まない限り危険は無いから』


『国境に本隊が居るような気がする。見て来る』


 やはり200人以上居たと思われた軍隊が簡単に全滅していた。広範囲の妖術で不意打ちの効果は凄く高い。


『国境の近くに本隊が居た。500人以上居ると思うぞ』


 俺が二社神社の屋根で光球を出したので、全員集まって来た。皆の妖力が半分近くになっている。


「ご苦労様。国境を越えた近くに本隊の陣地を見付けた。俺は叩いて帰るので皆は屋敷で風呂にでも入っていて」


「旦那様! 知世も行きます」


「私も行きます!」


「当然私も」


 3人供、やる気満々だ。


「仕方ないな、妖力の残量を気にしながら妖術を使ってね」


「「「はーい」」」


 水美に本隊の上空に連れて行って貰った。


『本陣まで有る。樫の国は笹美の国の攻め入る気なのか?』


『旦那様の言う通りだと思います』


『では攻撃開始』


 言った時には3人の攻撃が始まっていた。


『降雹』


『降雹』


『降雹』


 3人の念じる声がする。水美が本陣を先に叩いている。


『凄く軍資金が有った。刀類も質が良さそうだぞ』


『そりゃ本陣だからね』


『哲司とまた協力して降雹を撃つか』


 手を繋いで集中する。


『『降雹』』


 一度で3分の1くらい倒れた


『『降雹』』


 水美と一緒に使う妖術は本当に強い。水美曰わく相性で変わるそうだ。


『大分居なくなったから残りは3人にやろう』


 水美が上機嫌だった。


 暫く経つて終わったようだ。

 一眼姫とピョコリ瓢箪が飛び回っている。少し待っていると集め終わったようだ。

 敵兵士の処理にかかっている。余りに多いので水美が上空から手伝っていた。


「皆、妖力が無くなっているので屋敷に帰るよ」


 善姫さんが慌てて服を被っている。

 水美が全員を屋敷に連れて行ってくれた。


「忘れないうちに分けてしまおう」


 一眼姫が財布の中身だけ抜いて来たお金を出すと山のようになっている。水美から貰った松並村の外で集めた貨幣も山に加える。


「何人居た?」


「今日1日で1000人くらいは絶対倒したと思うぞ」


 一眼姫が貨幣を分類しながら応えた。


「半分にしてくれる」


「良いぞ」


「善姫さん半分ね」


「多過ぎです。もらって4分の1が良いところです」


 宣姫さんの取り分は金貨だけで400枚くらいは有ると思う。


「お母さんにもあげなよ」


 知世さんと善姫さんも勧めている。

 納得して金貨と銀貨だけ受け取った。知世さんがジッと銅貨を見ている。


 一眼姫が数珠類を俺に渡してくれた。


「皆、お風呂に入ったら?」


「嬉しいです。城は来客中ですから」


 3人と似妖怪が風呂に行った。


 金庫の銅貨入れに銅貨を入れて、残りを持って水の里に飛んだ。


 水美は本陣で集めた軍資金を出した。金貨が木箱2つ、銀貨が木箱7つだった。


『前より貧乏になっているな』


『兵士を1000人失ったのが辛過ぎだと思うよ。これ以上頑張ると百姓が居なくなると思う』


『床の間がまた狭くなっているね』


『今日の金貨で満杯皮袋が出来たからな』


 銀貨は満杯皮袋をまた皮袋に入れて一袋にしてある。


『哲司。好きなだけ銀貨を使って良いぞ』


 何かウンザリして来た。


『知世達は1時間は風呂に入っているからな。ゆっくりしょう』


 水美と風呂に入って気分と身体をサッパリさせた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ