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第5章11話

第5章11話


 屋敷で皆と朝食を食べていると声がした。


「哲司うまそうだな」


「女の数を増やしたのか? スケベだな」


「嫁の胸はなかなか増えないので、違う女を仕入れたのか」


 久しぶりに見る、リスとモモンガの中間みたいな奴等だった。


「お前ら、久しぶりだな」


 知世さんと善姫さんとヤヤさんがおにぎりを作って配ってやっている。妖怪はおにぎりが大好きだ。


「美味いな」


「もっとよこせ」


「嫁も食って太れ」


「所でお前ら飯食いに来たのか?」


 どうせ食べ終わるまで答えは出ない。また松木の神様の伝言かもしれない。


「あなた達、松木神社の神様の使いで来たの?」


 依能さんが話掛けた。


「あれ精霊様だ」


「哲司の所に居ると馬鹿が移るぞ」


「哲司の嫁より胸があるな」


「ちゃんと答えたら、オニギリもう1個ずつあげるよ」


 善姫さんの提案に眼の色が変わった。


「松木の神様と二社神社の神様が薄くなっているぞ」


「哲司。早く松木神社に行け」


「ノロいと役に立たんぞ」


「それを早く言え!」


 俺はヤヤさんに酒を三本貰って知世さん、善姫さんと依能さんで松木神社に飛んだ。


 寂れた松木神社に着くと賽銭箱の前に松木の神様と二社の神様が、半分透き通って座っていた。


「神様。2人でどうしたの?」


 善姫さんと知世さんが神様達にお弁当とお酒を配っている。


「まずは食べて、透き通っている状態から治さないと」


 依能さんが神様達を見守っている。お弁当を食べてお酒を飲むと透き通っていたのが治って来た。


「二社神社が燃やされてしまったのだ」


「誰にです?」


「樫の国の兵隊だよ」


 戦争のとばっちりのようだ。


「松木の神様は?」


「矢張り戦乱で松並村から人が減ってしまってな。誰も来なくなってしまった」


「2人共、水郷境に来ません? 神社も建てますよ」


「そうして貰えるか?」


「大歓迎ですよ。二社神社の御神体も焼けたの?」


「いや、それだけ持って逃げて来た」


 良く見ると松木の神様も自分で御神体を抱えている。


「小者達も少し、移住させて貰えぬか?」


「大歓迎しますよ」


「水郷城に行って水神様と話して下さい。俺は神社を建てる場所を相談します。依能さんは小者達の移住場所を世話してやってくれます?」


「はい、任せて下さい」


 一眼姫とピョコリ瓢箪が現れた。


「移住希望は100体を超えるぞ。二社神社から50体くらい運んで来た」


 俺は神様達を水郷城に運び、知世さん、善姫さんと依能さんが小者達を水郷境に運んだ。


 水神様に神様達を任せて、タマ左右衛門と神社を建てる場所の相談をする。


「お二方とも村の神社で、それなりの大きさの祠が必要ですので」


 とりあえずタマ左右衛門に任せて、水神様の所に行く。


「哲司殿。ご苦労だ。とりあえず二社の神と松木の神は水郷城に泊まって貰う。小者達は水郷城でも引き受けられるぞ」


 水神様が協力的で助かる。


「御神体は水郷境神社で暫くお預かりするのはどうでしょう?」


「良いのではないか」


 天狗さんも現れた。


「天狗の里に空いている神社がある。二社神社なら丸ごと引き受けられるぞ。山の小者達も全部引き受ける」


 二社の神様は山間の神で大きな村が近いのに慣れて無いので、天狗さんと現地を見に行った。


「しかしな、神々にまで影響を与えるようなら笹美の国と樫の国の争いに関与せざるを得なくなるな」


「なるべく関与しない方が良いですよ」


「そうなんだがな」


 樫の国が領主まで一神教を信じているので、神社が焼き討ちを食らったりしているようだ。


「水郷境の人口が増えてますので、神や小者が増えてもなんとかなります。長い眼で見ると得ですしね」


「水郷城も小者不足になっているからな。少し引き受けるぞ」


 空間の裂け目騒ぎで飛ばされた小者が結構多いようだ。


「依能さんと相談して下さいよ」


 神様の移転が仕事をどんどん増やしてゆく。本来なら有ってはならないのだろうが、人と神と妖怪が身近な世界では混乱が増えてゆく。

 神社を支えて来た人々が地元を棄てなければならない事態が異常なのだが。如何に混乱させずに早期に終わらせるかが受け入れ側の仕事になって来る。


 天狗さんが帰って来た。


「二社の神様は天狗の里に移動で納得した。現在神社の修理に掛かり出している」


 これで二社神社の周りの小者達の多くは天狗の里に移住が決まった。


「二社神社の近辺からの小者達の移動はカラス天狗さんも手伝って貰って」


「既にやっている」


「天狗さん、小者達の希望を聞いてね。知人や親戚が水郷城や水郷境に居る場合も有るから」


「わかった」


 どこまで信用して良いのか分からないけど、すぐに動いてくれるようだ。


 二社神社周辺の小者達を運んでいると、田舎道を移動する大集団が居ると報告があった。

 調べてみると小者達が水郷境に移動しているらしい。


「まるで百鬼夜行です。運んでやらないと宿場町や村で問題が起きそうです」


 知世さんと善姫さんがそう言ってすっ飛んで行った。宣姫さんと依能さんと俺、一眼姫とピョコリ瓢箪も小者達の移動に参加して運んでいると、第三集団まで居るらしい。


 タマ左右衛門さんに頼んで炊き出しの用意をして貰って小者達の大移住作戦が始まった。

 300体を超える小者達の移住だ。途中から依能さんは水郷城、水郷境の振り分けに専念して貰って仮住まい場所選びに奔走した。

 多くの小者達は松木神社の周辺に住む事を望んだからだった。



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