表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/114

第4章05話

第4章05話


 善姫さんを連れて準備の買い物に行く事になった。当然、知世さんと宣姫さん、一眼姫とピョコリ瓢箪も一緒だ。


「まず道具屋に行こう」


 道具屋で知世さんと同じ《呪い除け》と《妖力回復》の髪留に《妖力増加》を一緒にして貰って買った。

 善姫さんは意外と多くの妖術を使えるので、それ程多くの道具を必要としない。

 知世さんが何か羨ましそうに見ている。


「知世さんも髪留に《妖力増加》を足して貰いなさい」


 気が付いて良かった。知世さんが嬉しそうにしている。


「つい最近になって力を三つ付けれるようになったのですよ」


「細工師さんが変わったの?」


「同じですが技術が上がったのと、石の良いのが入ったので」


 結局知世さんのは、まるごと買い換えだった。


「作って貰っている間に古着屋に行こう」


 古着屋と言っても、呉服屋と同じ所だ。


 全員でゾロゾロ移動して行くと、呉服屋の番頭が店から飛び出して来た。


「御屋形様、本日は?」


 番頭も店主と同じ三眼で人当たりが良い。


「古着で善姫さんが町民らしくなる着物を選んで。帯や襦袢も」


 知世さんと宣姫さんが羨ましそうにしている。


「2人とも好きなの2~3着買えば? 一眼姫も選んで貰いなさい」


 一眼姫が凄く嬉しそうだ。

 店主も飛んで来た。この世界は着る物が凄く高価なので待遇が良い。

 

「私達は行く訳ではないので……」


 知世さんと宣姫さんは最初だけは遠慮していたが、結局着物探しに必死になっていた。


「宣姫さん、良かったら水神様も呼んだら?」


 公平にしておかないと後が怖い。


「俺は寿司屋に居るから」


 好きなだけ買いやがれといった気分だった。二カ国分の国家予算が有るし破産する筈も無い。

 善姫さんが最初に現れた。


「水神様も現れて大騒ぎです」


「あの方は着物好きですからね」


「私の為に散財させてしまって……」


「気にしないで下さい。使い道の無い金です」


 あなたの城から盗んだ金とは言えなかった。


「これ使って下さい。薙刀だけでは不便ですから」


 妖力の通る中刀と小刀を善姫さんにあげた。


「何から何まで申し訳有りません」


 善姫さんが渡された刀をジッと見ている。


「明日にでも出発しますか」


「宜しいのですか?」


「遅くなる程、生存確率が下がります」


「そうですね」


「着物は複製で10着くらいにしておいて下さい」


「はい」


 水美の皮袋を善姫さんにあげた。


「これに薙刀まで入る筈です。使って下さい」


 善姫さんが着物をしまって懐に入れていると水神様達が現れた。珍しく早い。


「哲司殿、また着物を貰ってしまった。済まんな。変わりに便利な力を授けよう」


 水神様が俺と善姫さんの頭に手を置くと、我々は光りを帯びて何かが伝わって来た。


「万能では無いが、異世界でも言葉が通じる筈だ。これで駄目なら学ぶしか無い」


『哲司、儲かったな』


 水美の言う通りで古着でこの能力は、凄く良い取引だ。


「助かります。この力で何とかなるように祈っておいて下さい」


 水神様はトロを食べながら笑っていた。善姫さんの中刀と小刀を見ている。


「哲司殿に貰ったのか?」


「はい」


 水神様がニヤニヤしながら俺に聞いた。


「何時、出発する?」


「明日の朝にでも」


「早い方が良いからな。留守の間、知世は私が預かる」


「そのつもりです」


 その後は着物を見せ合ったりしながら、お腹パンパンになるまで寿司を食べ、道具屋で髪留めを受け取って帰った。



 朝、起きてから知世さんが暗い。


「旦那様。お気を付けて」


「出来るだけ早く終われば良いのだけれど、予想が付かない」


「理解しております」


 長々と別れをしていても仕方無いので、水郷城に向かった。

 近ければ夜は屋敷で寝れるのだが世界が違って遠い場合、妖力の都合で行きっぱなしの可能性も有る。行ってみなければ分からない。


「おはよう御座います」


 善姫さんと水神様、宣姫さんが待っていた。善姫さんの町民娘スタイルは中々似合う。


「哲司殿、くれぐれも気を付けてな」


「はい」


 善姫さんしか場所を知らないので、善姫さんの飛翔で飛ぶ事になる。

 2人共透明化して両手を繋いで妖力を共有し、かつて善姫さんが捕らわれていたヤマコの村の上空目指して飛んだ。

 凄い勢いで妖力が抜かれてゆく。水美が俺に触れて手伝ってくれている。


 着いた場所は灰色の大型猿の村で、地上だった。善姫さんは妖力不足で真っ青になってヨロついているので使いものにならない。


『氷撃』


 水美が氷撃を連射しているので、俺も猿だけを狙って氷撃を連射する。


『哲司! 善姫を』


 見るとチアノーゼを起こしている。慌てて妖力を善姫さんに渡す。

 仕方無いので口移しで妖力を送ると、少しずつ呼吸が回復して来た。

 合間に人間の女性を連れて逃げるヤマコを倒しながら、善姫さんの妖力不足を治してゆく。

 3回くらい繰り返した所で善姫さんの意識が回復した。


『残りのヤマコは逃げた。人間の女は全員確保したぞ』


 流石に水美だ。


「肝心な所で役立たずで……申し訳有りません」


「気にしないで。思ったより遠い所だっただけですよ」


 残された人間の女を見る。6人居て2人は白人だった。全員、全裸で薄笑いを浮かべて目の焦点が合って無い。


『全員、頭が逝っているな』


 水美が顔をしかめて見ている。女達からは変な臭いがする。


「聞き辛いですが、母君らしい人は居ます?」


「居ません」


 俺は倒したヤマコを皮袋に回収してゆく。醜い姿の大型猿だ。身長180センチくらい有る。


「14匹だね」


 善姫さんは俺が何をしているのか理解して無い。


『売れるかな』


『売れないと、お金が無いよ』


『善姫だけ置いて水の里経由でなら、妖力は半分も掛からんで帰れるぞ』


『そんなに冷たい事言うなよ』


「収集」


 試しに収集を使うと金貨6枚と大小20枚くらいの銀貨が集まった。


『猿は光る物を集めるからな』


 ラッキーだった。これで暫くは泊まれるし食べれるだろう。


「もう大丈夫です」


 善姫さんの妖力不足も解消して来ている。


『逃げたヤマコがまだ周りに相当居る。女は置いて行くぞ』


「ここを離れてもう少し休みましょう」


 俺は善姫さんを連れて村から脱出した。

 無人の森の上空を飛んでいると、草むらが有り安全らしかったので着陸した。

 大きな木に寄り掛かって座ると、隣に善姫さんが座った。


「哲司殿、先程は有り難く思いますが気持ち悪く無いのですか?」


「何故です?」


「私は先程の猿の化け物の女だったのですよ」


「気にしませんよ。俺はこの世界の生まれでは無いですし、変な偏見は無いですね」


「臭く無いですか?」


「さっきの女達は臭かったですけど、善姫さんは女の人の良い匂いです」


「皆に臭いと言われ続けて、誰も寄って来ませんでした。嬉しいです」


 善姫さんが寄り掛かって来て、肩に頭を預けて来た。

 それを見て水美が俺の膝を枕にして来た。


『対抗意識を燃やすなよ』


『良いでは無いか』


 2人の体温で寝てしまいそうになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ