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第3章14話

第3章14話


 疲れてしまったので水の里に寝に帰り、半日くらいグダグダして水郷城の屋敷に戻ると朝ご飯が出て来た。


『また複製しているの』


『ヤヤの御飯は美味いからな』


 最近、水美はヤヤさんの御飯コレクションをしている。確かにヤヤさんの御飯は美味いし胃がもたれない。

 2人供、店屋物に飽きて来ているのかもしれない。

 オリジナルを確保して、複製を食べる。


『水の里で食べる物を増やさないとな』


『大分確保したんじゃない?』


『したけどヤヤが次々と目新しい食事を出して来るのでな』


 季節が変わればメニューも変わるので、水美の言う事も尤もだ。


 食後に他の神様達の所へ情報収集に行こうとしていたら、今日も水神様から呼び出しが入った。


「哲司殿、毎日の呼び出しで済まないな」


「いえ、知世にも会えますし」


「仲が良くて、羨ましいな」


 水神様が微笑んでいる。


「朝まで大変だったようなので、私が情報収集をしておいた」


「それは助かります」


「悪霊召喚師はもう1人存在しているようだ」


「目撃者は居るのですか?」


「二社の神だ。あそこらの悪霊を召喚して、空間の裂け目から何処かに送っているらしい」


「死んだ兵士の悪霊化した奴ですかね?」


「そうだろうな、あそこは樫の国と笹美の国で取り合っている」


「水郷境や水郷城に送られて居ないみたいですね」


「全く感知してない。戦争地域だし危険だから放置しよう」


 水神様の意見に俺も賛成して。二社神社は放置になった。


「二社の神様は無事です?」


「今回は両陣営共二社神社に気を使っているらしい。元気だったぞ」


 それは良かったと心から思う。


「万穣村の辺りに悪霊が溜まっていると万穣神社から報告が来ている」


「近くですから、それは今晩片付けますよ」


「そうして貰えると有り難い。万穣神社の神が頑張ったが数が多くて困っているようだ」


「あそこの神様は強いのに」


「哲司殿達で手伝ってやってくれ」


「はーい」


 暁九ッに水郷境神社に集合で、話しが決まった。

 帰りに知世さんに会って少し話しをした。


「旦那様、そろそろ終わりですか?」


「終わりになってくれないと寂しくて俺が困りますよ」


 本心から知世さんが居ないと寂しく思う。


「今日はこれから何を?」


「道具屋に行って、妖力を通せる武器を家の見回り番に買ってあげようと思っているんだ」


「旦那様、それは良い考えです! 皆さん喜びますよ」


 知世さんも一緒に行く事になった。宣姫や一眼姫、ピョコリ瓢箪も当然一緒だけど。

 全員で歩いて道具屋に向かっていると、天狗さんも現れた。


「何処に行くんだ?」


「道具屋に行って、水郷境の見回り番に妖力を通せる刀を買って配ってあげようかと思いましてね」


「俺の所もカラス天狗に配ってある。良い考えだと思うぞ。だが道具屋で一度に50本とかの妖力を買おうとしても、有るものではないぞ」


「……無理ですか」


「そんなに簡単に揃うものじゃ無い。それに河瀬の家は5~60本くらい持っているぞ」


「そうなんですか?」


「先々代の時には見回り番に配っていたからな。たまにしか使わないし、持っていると勘違いして問題を起こす者が出たので回収した筈だ」


 皆、考える事は同じで既にやって失敗していたのか。


「現在水郷城に勤める河瀬の者は全員、第6感持ちで妖術も使えるし親から受け継いだ妖力くらい持っていると思うぞ」


 天狗さんの言う通りだと思う。刀なんて自分の物でないと思うように扱える物では無い。


 結局全員で寿司屋に行く事になった。


「御屋形様が大活躍と街中の話題ですぜ」


「俺1人でやっている訳じゃ無いよ」


 一眼の寿司屋のオヤジが街の噂を教えてくれた。妖怪さん達から見ると、弱くて直ぐ死ぬ人間が活躍するのが珍しいらしい。


「人間で一番強い河瀬の家の男が暫く弱かったので、目立つのは仕方無いですよ」


 知世さんが言うとシャレにならない。


「善姫さんも呼んであげたら?」


 話題を変える為に言うと宣姫と知世さんが飛んで行った。普段相当仲良くしているのだろう。

 善姫さんが直ぐに飛んで来た。


「あれ? スミさんは?」


「スミさんは今では水郷城のヤヤさんみたいな役目になっていて、とても忙しいんですよ」


 宣姫が笑って説明している。


「私と違ってスミは何でも出来ますので」


 善姫さんも嬉しそうに応えた。


「善姫さん、服装を変えたんですね」


「宣姫さんに勧められて」


「とても似合いますよ」


 神官服に小刀がカッコ良い。善姫さんは妖力も結構有ると聞いている。


「哲司殿も何かの討伐の時は、私も使って下さい」


 早速、今晩の悪霊討伐に誘うと喜んで承諾してくれた。話しを聞いて俺だけ少し食事を抜けて道具屋に行った。


「これはこれは御屋形様。本日の御用命は」


「飛行数珠、有ります?」


「1本だけなら」


「それください」


 値上がりしていて1700金貨だった。屋敷に金貨を取りに行っているうちに数珠を作っておいてくれた。

 何とか飛行数珠を手に入れて寿司屋に帰った。


「善姫さん、これ使って下さい」


 宣姫さんの喜び方は尋常では無かった。知世さんも宣姫も大喜びしている。本当に仲が良いのだなぁと思った。

 早速、食後から飛行練習するらしい。


「旦那様、本当に有り難う御座います』


 知世さんが礼を言って来た。善姫さんが良い人で美人だからとは言えなかった。


『哲司は優しいな。人が一生食べれるような物を簡単にあげてしまう』


 水美にからかわれてしまった。


『あれで戦力になってくれれば、簡単に元を取るよ』


 寿司とビールの勢いも加勢して善姫さんのテンションの上がり方は凄かった。宣姫に聞いたら数日前に水神様から世界を超えられる飛翔も貰ったらしい。


「笹美の国と戦う時は是非先鋒を務めたいと思っております」


 自分の父親や兄弟が領主をしていると、民が苦しむだけなので滅ぼすべきと真剣に考えているようだ。


『姫達が盛り上がっておるなぁ』


『好きにさせておけば良いよ』


『そうだな』


 食事が終わると善姫さん、宣姫と知世さん、一眼姫にピョコリ瓢箪で水郷城の空を飛び回っていた。



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